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アメリカで広がる「刑務所ビジネス」

2013-06-28 09:15:32 | 海外ネットワーク
6月16日 NHK海外ネットワーク

現在アメリカで刑務所に入っている成人の数は220万人。
大人の10人に1人が受刑者という計算になる。
日本の場合は受刑者は未成年を含めても6万人前後である。
受刑者がこれほど多いと刑務所の維持管理費も膨大な額で
全米で日本円で年間7兆円余にのぼる。
こうした負担をいかに軽くしていくかがいま大きな課題となっている。
そこで受刑者を労働力にして収益を上げようというビジネスが拡大している。

一見普通のコールセンターのようだが窓の外には鉄条網。
全員着ているのはオレンジ色の作業服。
アリゾナ州の刑務所の中。
働いているのは受刑者である。
コールセンターをコストが安い海外に移す企業が多いなか
ここではなまりの無い英語を話すアメリカ人がオペレーターである。
(コールセンター社長)
「彼女たちは仕事に集中し楽しんでもいる。
 受刑者をビジネスウーマンに変身させることができる。」
コロラド州の刑務所では魚の養殖を始めている。
60ある水槽で年間70万匹を育てている。
魚は併設された工場でそのまま加工。
切り分けて袋づめし刑務所で作られたことを示すシールを貼ってレストランなどに卸す。
オリジナルのオートバイも扱っている。
中古品をもとにお客の注文に応じたデザインに仕上げる。
(受刑者)
「まさか刑務所でこんなことするとは思いもしなかった。」
このビジネスでは刑務所の中に民間の企業が工場を設置。
受刑者はそこで働く。
企業は刑務所に州ごとに定められた最低賃金を支払う。
刑務所は受け取ったお金の一部を報酬として受刑者に渡す。
受刑者に支払う報酬を最低賃金より安く抑えることができるので
刑務所は余ったお金を運営費に充てることができる。
ビジネスに参加できるのは“刑が軽い”あるいは“仮釈放が見込める”受刑者である。
現在38の州で行われ売り上げは年間2,000億円余にものぼる。
コロラド州中部のキャノンシティー。
ここでも刑務所ビジネスに力を入れている。
牧場を作ってヤギや牛を飼育したり
フラワーアレンジメントでできた花束は結婚式やパーティー用として出荷される。
そのほかパソコンの修理やクリーニング、釣り用品づくりなど
手掛けるビジネスの種類は60まで増えた。
事業の拡大を州政府も後押し。
州で使う事務用品は刑務所で作られた製品を購入するよう義務付けた。
こうした結果 去年1年間で8億円余の経費を節約できたということである。
(刑務所の幹部)
「このビジネスで経費を自分たちで賄おうとしている。
 受刑者を訓練しより多くの収益をあげたい。」
このビジネスによって新たなメリットも生まれている。
出所した人の再犯率が下がったのである。
コロラド州では働かないまま刑務所を出所した人の再犯率は38%。
一方 1年以上働いた後出所した人の再犯率は14%と半分以下になった。
(受刑者)
「ここで学んだ仕事は出所してからも生かせる。」
「普通は金のために働くが
 ここでは刑務所に戻らないための大きなチャンスも得られる。」
担当者は
この刑務所ビジネスの効果もあってコロラド州では3年間で受刑者が約3,000人減った
としている。
受刑者も更生しようという意欲を高める有効な手段だと強調している。
(刑務所の幹部)
「多くの人が犯罪者を雇おうとしないが
 受刑者も向上する意思を持っている。
 このビジネスはみんなに利益をもたらす。」
その一方で人件費の安い受刑者を使った刑務所ビジネスは民業の圧迫につながる
と批判の声も上がっている。
コロラド州の白身魚の養殖業者では
刑務所が同じ魚の養殖を始めたため取引価格が3分の1になり
ほとんど利益が出なくなってしまった。
出荷量は最盛期の10分の1以下に落ち込んだと言う。
(養殖業者)
「このままでは私たちの仕事どころが受刑者の出所後の仕事までもなくなる。
 刑務所が金儲けをするのは間違っている。」

受刑者が働く刑務所ビジネス。
影の労働力としてアメリカ全土に広がっている。
こうしたビジネスによって得た収益の一部を
犯罪被害者の支援団体に寄付するという例も出ている。
犯罪を減らすために社会はどう向き合うべきなのか。
その中で刑務所はどういった役割を果たすべきなのか。
アメリカの取り組みはその一つのモデルケースになるのかもしれない。
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技能五輪 タイ躍進の秘密は

2013-06-28 08:11:42 | 報道/ニュース
6月25日 おはよう日本

若者たちが工業の分野などで世界一を競う2年に1度開かれる技能五輪。
これまで日本の代表は自動車の生産にかかわる種目で好成績を収めてきたが
いま新興国の選手が頭角を現してきている。
その代表格が前回まで2大会連続で金メダルを獲得したタイである。

大手部品メーカーのデンソーがタイに構える工場。
3大会連続の金メダルを目指し連日の猛特訓が続く。
訓練に励むタイ代表のプリチャー選手は
薄型の金属を工作機械でけずりその制度を競う種目に出場する。
タイの工場が初めて技能五輪に選手を送り込んだのは2007年。
タイ人の社員を日本に送って訓練を積み重ね初出場で銀メダルを獲得した。
プリチャー選手はその銀メダリストのコラコットさんから指導を受ける。
今では訓練の場はほぼすべてがタイである。
日本に頼らず世界一を目指す。
(プリチャー選手)
「日本の技術が高いのは知っていますが
 先輩たちの功績を見るとタイ人も負けていない。
 金メダルの自信はあります。」
タイの工場では日本の現場より多くの従業員が生産ラインで働いている。
人件費の安いタイでは日本のように高価な設備で機械化を進めるより
人の手を活用する方がコストを抑えられるからである。
(デンソータイランド 飯田康博社長)
「タイでどんどん生産が高まっていくという面では
 本当に技能の重要性が高まりつつある。」
高い技能が求められるタイの生産現場。
タイ人自らの力でその一翼を担う人材を増やそうという動きも加速している。
技能五輪の銀メダリストのコラコットさんは
選手指導の合間に生産設備を作る現場に頻繁に足を運びアドバイスを繰り返す。
(指導員 コラコットさん)
「技能を職場のみんなに伝えていきたいです。」
さらにトレーニング施設では連日従業員が素早く正確に部品を組み立てる研修に励んでいる。
(指導員)
「テストは100点満点だ。
 ミスをすれば減点するぞ。
 何点残るかは君たちの実力次第だ。」
高い技能を身につけることは出世や収入の増加にもつながるとあって
技と知識を吸収しようと力が入る。
(従業員)
「技能をもっと高めるために必死に学んでいます。」
「高い技能都市式を仕事に生かしたいです。」
大勢の若者が高い技能を懸命に身につけようとしているタイ。
その種をまいたものづくり大国日本を脅かす存在になりつつある。
デンソーは
タイの従業員が高い技能を身につけても新しい製品を生み出す技能はまだ日本にしかない
と話している。
その力を維持してタイとともに成長していけるかどうかが
日本のものづくりの将来を占うカギになりそうである。
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