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展望2015 ③アジア成長の“3つのカギ”

2015-01-13 08:00:00 | 報道/ニュース

1月7日 キャッチ!

2015年 アジア3つのキーワード
・ASEAN共同体
・中国
・「イスラム国」の影

ASEAN10か国が国際競争力強化をめざし今年12月に発足させるASEAN共同体。
域内の国と国の壁を可能な限り低くして人・もの・金の往来をスムーズにし
東南アジアをひとつの地域として機能させるというものである。
関税は原則ゼロ。
規制を緩和し外国企業の参入をしやすくする。
国境を越えたmade in ASEANを促進する広大な生産基地としても
6億人の巨大市場としても
魅力的な地域を作り出そうという野心あふれる戦略である。
そのために欠かせないのが交通網の発達。
インドシナ半島を縦横に結ぶ幹線道路「経済回廊」の整備が急ピッチで進んでいる。

タイ北西部人口約10万に町メーソート。
ミャンマーと接するこの町はいま好況に沸いている。
国境にはミャンマーへの輸出品を乗せたトラックが並んでいる。
積み荷は農業用のトラクターや建築資材など。
去年のメーソートの貿易額は約2,000億円(前年比30%増)。
(運送業者)
「ミャンマーから来る車も増えて国境はいつも大渋滞だよ。」
「“経済共同体”への期待で利益も増えているよ。
 給料も上がりそうでうれしいね。」
輸出品の中にはちょっと変わったものもある。
中古の自転車のほとんどは日本で使われていたもの。
(自転車輸出企業 社長)
「3か月で輸出量は倍になった。
 こんなに急増したのは初めて。」
町はいまショッピングセンターやマンションの建設ラッシュで地価も値上がりしている。
総工費50億円の建設中のマンションは1戸約1,000万円で売り出したがすでに8割が売却済みである。
購入しているのは貿易の拡大を見越したビジネスマンや投資家である。
中には中国や韓国の投資家もいると言う。
(不動産会社 社長)
「“ASEAN共同体”の発足で最も大きな影響を受けるのがこの町です。
 この町が発展し続けるのは間違いありません。」
ミャンマー政府も貿易促進の政策を打ち出している。
増加する貨物に対応するため税関施設を拡張。
大量の積み荷の検査を書類の申請を同時に行うことで通関業務をスムーズに行うためである。
この日 タイの副商務省がミャンマーの税関を視察。
両国はさらなる貿易の拡大に向け今後も協力していくことで一致した。
(タイ商務省 アピラディー副大臣)
「ASEAN共同体の影響はタイだけでなく周辺国にも拡大します。
 この国境からインドやバングラデシュにも輸出できるようになり
 期待を上回る闘志がこの地域にもたらされるでしょう。」

政治的にも国力にも差がある10か国のため一筋縄というわけではない。
だが発足がそこに見えてきたということで内外の期待は膨らんでいる。
日本企業もASEAN全域に進出を加速させている。
この地域の元々の成長のスピードに加えてチャイナ+1の選択肢としても進出を突き動かした。
この動きはASEANの主要国でありインドシナ半島の中心に位置するタイで顕著である。
進出企業をささえるため日本のメガバンクがタイ資本の銀行を統合あるいは提携しこの地域での展開力を確保。
地方銀行や信用金庫も拠点を相次いで開設した。
この地に日本が営々と築いてきた足場をここにきて急速に拡大強化をしている。
国別のタイへの直接投資額は日本が他を引き離してトップであること
タイ在住の日本人がこの10年で倍増していることがデータとして裏付けている。

ASEANでは道路だけでなく鉄道網の整備
工業団地の開発
電気、水道などインフラの整備が不可欠でしばらくは膨大なインフラへの投資が見込まれる。
これを狙って存在感を増しているのが中国。
中国は有り余る生産力を途上国に輸出することに国策として取り組んでいて
中心に鉄道を据えている。
日本も新幹線のノウハウと技術を前面に打ち出して安倍総理自ら売り込みを図ってきたが
中国が強力なライバルとして浮上している。
12月19日 中国の李克強首相とタイのプラユット暫定首相が
タイの南北を縦断する鉄道の建設計画について双方で協力を進めていくことで合意した。
(中国 李克強首相)
「この鉄道を発展させインドシナ半島の総合的な鉄道網にしていく。」
タイ東北部のノンカイから南北を縦断し首都バンコクや港湾地帯にあるラヨーンまでを結ぶ総延長約860㎞にわたる。
中国政府としてはこの鉄道を将来的に中国南西部の昆明までつなげ
ASEANへの物流網を確保する狙いがあるものとみられる。
鉄道が建設されるタイ東北部の町コンケン。
現在の鉄道の運行は1日6~7本でバンコクまで約8時間かかるため新たな鉄道の建設に期待を高めている。
中国による鉄道建設に期待する理由は他にもある。
地元経済界は鉄道建設を機に交通インフラの整備に乗り出そうとしている。
地元の企業経営者で作る団体が計画するのは専用の道路を設けてバスを運行する交通システム。
総工費約900億円で市内に5つの路線を敷く計画である。
コンケンは北に向かうとラオス
東に向かうとベトナムにつながる交通の要所に位置している。
鉄道と道路の整備でASEANのハブとして発展できると期待を高めている。
(物流関連企業 社長)
「コンケンは経済共同体の中心都市になれる。
 交通や貿易などによってコンケンは徐々に発展を遂げるだろう。」
タイの中央政府もこの計画に注目している。
中国の協力をてこに遅れていたこの地域の開発を一気に進めようとした。
「鉄道の建設で中国との行き来が活発になる。
 貿易や投資 観光やビジネスが促進されるだろう。」
ASEANの成長を取り込もうとする中国。
そしてそれを巧みに利用しようとするタイ。
ASEAN経済共同体の発足を前に駆け引きがすでに始まっている。
(マレーシア マハティール元首相)
「日本はこれまで輸送・技術・投資などでASEANやマレーシアに貢献し
 また東南アジアの人々を受け入れ学ばせてくれました。
 日本の貢献は大きく特に投資分野においては絶大です。
 日本は今後も技術移転に協力してくれると思いますが
 それはあくまでも部分的なものであって残りの技術開発は私たち自身で行わなければなりません。
 今日の開発は日本のおかげで常に学ばせてもらった。
 日本はいまも我々の模範なのです。」

インターネットが発達した今イスラム国の影響は直にアジアのイスラム教徒に及んでいる。
留意しなければならないのはアジアには何億人ものイスラム教徒がいるということ。
2億人にのぼる世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアを始め
マレーシア、フィリピンといった東南アジアは各国の当局は神経をとがらせている。
当局は10年余り前にアルカイダの影響を受けた東南アジアのイスラム過激派組織が
インドネシアをはじめ各地で爆弾テロを起こしていることを忘れてはいない。
アジアの専門家はアジアにおけるイスラム国について
アルカイダより巧妙かつ強力だと警告している。
すでにインドネシアだけでも500人がイスラム国に渡ったと当局は公表している。
当局が恐れるシナリオは
イスラム国帰りの過激派のメンバーが足もとでテロを引き起こすことや
イスラム国をアジアでも作ろうとする動きである。
アジアの成長と期待とともにそれを阻む要因として注視したい。

 

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