1月18日 BIZ+SUNDAY
ダニエル・ヤーギン氏。
エネルギー問題の世界的権威として知られている。
今後は原油価格がより不安定になるとみるヤーギン氏は日本にとって大きなリスクだと言う。
(ダニエル・ヤーギン氏)
「我々は新たな石油の時代“不確実な時代”に突入した。
価格は乱高下し
金融は混乱
よりく確実で予想が難しくなる。」
原油価格が乱高下する要因としてヤーギン氏があげるのは投機マネーの流入。
2008年のリーマンショック以降
金融緩和によってあふれたマネーが原油の先物取引市場などに大量に流れ込んだ。
価格の予測は市場関係者でさえ難しくなっている。
今回アメリカの大手投資銀行は1バレルあたり75ドル程度の下落にとどまると予測。
しかし実際はそれをはるかに超えて原油安が進行した。
高まる価格変動のリスク。
石油を輸入に頼る日本にとっては安定した価格で原油を確保することが困難になっている。
ヤーギン氏が指摘するもうひとつのリスクは当面加速するとみられる原油安。
(ダニエル・ヤーギン氏)
「春までは原油価格を押し下げる圧力は続くだろう。
1バレル30ドル台まで下がる可能性がある。
今マーケットは非常に敏感で底値を探る動きになっている。」
一見 日本にとっては恩恵がありそうな原油安がなぜリスクになるのか。
大手総合商社 双日は原油安によって思わぬ事態に直面している。
この会社では現在世界7か国20か所以上で油田やガス田の開発に投資。
中東だけに依存しない安定したエネルギーの確保を目指してきた。
ところが原油安の影響で開発コストが高くつく北米やヨーロッパの油田開発が停滞。
地域の分散化が思うように進まないリスクが出てきた。
(双日 川原博司エネルギー本部長)
「70~80ドル程度の原油価格が維持されないと
順調な原油の生産が維持されないのが今の局面。
安定的に生産開発を続けていくシステムに破綻をきたす可能性がある。」
日本が目指す安定したエネルギー確保を揺るがしかねない原油安。
目先の利益に惑わされず長期的な視点でエネルギー政策を進めるべきだとヤーギン氏は指摘する。
(ダニエル・ヤーギン氏)
「日本は原油安によるマイナスの影響を認識しておくべき。
経済の改革を続けより柔軟に対応しないといけない。
原油安はメリットもあるが根本的な問題解決にはならない。」