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北極圏 極寒の中の「世界種子貯蔵庫」

2016-02-02 07:30:00 | 報道/ニュース

1月22日 キャッチ!


北極圏に位置するノルウェーのスバルバル諸島にある世界種子貯蔵庫。
世界中から農作物の種 種子を預かり冷凍保存している。
去年9月 内戦が激化するシリアの農業研究機関が
始めてこの施設に預けた農作物の種子を引き出したことで注目を集めた。
世界種子貯蔵庫は
2008年 ノルウェー政府が100カ国以上の支援を受け建設した。
深刻化する気候変動や自然災害、病気のまん延などに備えて
農作物の種子の絶滅を防ぐことを目的としていて
「種子の箱舟」とも呼ばれている。
運営は
FAO国連食糧農業機関の関連団体「グローバル作物多様性トラスト」が
欧米諸国や民間財団などからの資金を受けて運営していて
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が設立した財団が支援していることでも知られている。
農作物の種子を保存する施設は世界各国にあるが
この世界種子貯蔵庫はそうした施設から種子を預かって
保存のバックアップをする役割を担っている。
現在では53か国、66の機関から87万種の種子が預けられている。
世界種子貯蔵庫は人の出入りが制限され厳重に管理されている。

スバルバル諸島の山中に地球上で最も安全だと言われる場所。
厳しい自然の中 そこへ向かう科学者たちは貴重な種子を運ぶ。
あらゆる気候変動から守るためである。
年に3回の頻度で運ぶ。
全部で6つある関門の1つ目を通過する。
山を削って作られたトンネルまで降りてきた。
ここは海抜130m。
地球温暖化で北極と南極すべての氷が溶けたとしても種子は確実に保護される。
次の関門へ移動する。
奥へ進むにつれて気温が下がる。
貯蔵庫はあらゆる自然災害に耐えられるように作られている。
(世界種子貯蔵庫 サイモン・ジェップス部長) 
「種類にもよるが種子は長期間保存できる。
 4000年以上保存できるものもある。
 エジプトの王たちもピラミッドは残ると信じ
 実際に残っているでしょう?」
貯蔵庫にたどり着くための最後の扉。
中の温度はマイナス18度。
立ち並ぶ棚は世界中から運ばれた種子でいっぱいである。
半分近くは最も重要な食物の種子で
万一に備えここに運ばれた。
種子のサンプルは依然は試験管に保存されていたが
今ではプラスチック製の小さな袋に入れられている。
80万袋あり
いかに重要なものか書かれている。
シリアの干ばつに強い植物の種子。
先日 中東に送り返されたものもある。
厳しい天候により収穫できなかったり
種子が保存されていることは重要である。
洪水も大きな脅威である。
フィリピンでは保管されていた種子が被害を受けた。
大規模生産で使われる種子は一部に限られている。
遺伝子の異なるものを保存し将来に備える。
人里離れたこの貯蔵庫は世紀の大災害にも耐え
温暖化の被害が出たときの保険となってくれる。

シリアは内戦で農業ができない状況が続いていて
将来必要な農作物の種子の確保が難しく絶滅の恐れもある。
そこで去年9月に貯蔵庫に預けていた小麦、大麦などの種子128ケース分が引き出された。
引き出された種子は今後 隣国レバノンなどの農場で栽培し種を増やしていく計画である。
日本は一昨年 岡山大学の資源植物科学研究所が
長年採取してきた大麦の種子575種を預けた。
(岡山大学 資源植物科学研究所 佐藤和弘教授)
「2011年に起きた東日本大震災によって
 国内の一部の保存施設が故障し
 種子などの重複保存の重要性が改めて認識されました。
 かけがいのない種子を安全にバックアップする手段の1つとして
 世界種子貯蔵庫への預け入れがあります。
 岡山大学のオオムギ575点の種子は
 日本 朝鮮半島 中国 ネパールで収集した在来品種です。
 最終的は5,000点を世界種子貯蔵庫に預け入れる予定です。
 実は作物の在来品種は作物の起源した途上国に多くあります。
 例えばムギの起源地は中東の紛争地帯です。
 しかし途上国の種子の保存施設は条件も悪く
 災害に対する備えも十分ではありません。
 世界種子貯蔵庫は作物の種子を無償 無条件で保存するための施設です。
 預けた機関以外が保存された種子を使うことはありません。
 そのためすべての国が安心して種子を預けることができます。
 世界種子貯蔵庫は途上国の作物多様性の保存を重要な任務にしています。
 途上国でも品種改良が進んで新しい品種が植えられると
 古くから栽培されていた在来品種は数年でなくなってしまいます。
 これらの種子を効率よく保存する必要がありますが
 途上国は自前の資金で作物の種子を安定的に保存することはできません。
 そのためスバルバルの貯蔵庫に預け入れして保存できるように
 “世界作物多様性トラスト”が活動しています。」




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