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フィンランド 建設進む核燃料の最終処分場

2016-02-18 07:30:00 | 報道/ニュース

2月3日 キャッチ!


フィンランドの首都ヘルシンキから北西に240キロの町ユーラヨキ。
ここに原子力発電所から出る使用済み核燃料の処分施設「オンカロ」がある。
極めて高い放射線量を持つ核燃料の
世界で唯一の最終処分場である。
オンカロとはフィンランド語で穴蔵を意味する。
建設途中の現場は
大型車が入れるトンネルが地下深くまで続いている。
地下400mの岩盤に
アリ塚のように無数のトンネルが張り巡らされ
そこに放射性物質を固めて完全密閉した容器を埋めていく。
完成すればトンネルの総延長は70キロに達し
合わせて9,000トンの使用済み核燃料が運び込まれる予定である。
計画では数年内に燃料の運び込みが始まり
その作業が終わるのは2120年ごろ。
その後は完全に入り口を埋めてしまい
誰も近づけないようにする。
こうして放射性物質が環境に影響を与えなくなるまで
半永久的に閉じ込める。
その期間は10万年という長期にわたる。
使用済み核燃料の最終処分場は世界中で検討されているが
住民の反発が強く
建設許可が下りたのはここだけである。
(運営会社広報部長 パシ・トゥオヒマー氏)
「事前に十分打ち合わせをして
 何か起きたらすぐに情報を出します。
 何か起きたらすぐ知らせれば信頼を築くことにつながります。」
会社の情報開示の一端として
広報担当者に案内されたのは
オンカロ近くにある放射線量の低い廃棄物の処分場。
40mほどの地下に設けられ
規模こそ小さいものの構造はオンカロと基本的に同じということである。
施設は約19億年前に形成された花こう岩の岩盤を掘って作られていた。
極めて強固な岩盤である。
ただ問題があるという。
地下水である。
水が放射性物質と混ざり
周辺に漏れる恐れがある。
施設の中でも地下水の漏れ出ている場所は算定された。
広報担当者は
水が廃棄物に接触しないよう容器に措置を施したうえで
排水処理で水を取り除いていると説明した。
視察に来た地元の中学生に遭遇した。
こうした視察はオンカロの安全性に理解を示してもらうために頻繁に行われている。
(中学校の教師)
「この施設が公開されているのはとてもいいことだと思います。
 原発反対の子もいますが
 このような施設が必要だということを学ぶようです。」
オンカロがあるのは人口6千人ほどの小さな町である。
この地域では花こう岩のせり出している光景がいたる所で見られ
町全体が固い岩盤の上にあることがわかる。
しかしオンカロの建設には長い議論を要した。
1994年にフィンランド政府がオンカロの設置を決めて
この町を建設候補地の1つとすると
住民の多くは反対した。
(地元住民)
「処分場で事故が起こる可能性もあるので
 私には安全かどうかはわかりません。」
町全体での議論は6年に及んだ。
そして2000年
議論の末 町議会は20対7でオンカロの建設を承認したのである。
町長は
運営会社が情報開示に向けて積極的な姿勢を示したことが住民の信頼を得ることにつながり
それは今も続いていると話した。
(ユーラヨキ ヒーティオ町長)
「原発で何が起きているか
 それが良い情報でも悪い情報でも
 運営会社はすぐ我々に情報を知らせてくれています。」
町長が案内したのは庁舎内の地下にあるシェルター。
思い扉の向こうには体に付いた放射性物質を洗い流すシャワーが設置されていた。
もともと東西冷戦時代の核戦争に備えて作られた施設だが
今は放射能事故に備えて使われているという。
何重もの扉の先には
仮にオンカロで事故が起きた際に
町役場の職員が避難して作業を続ける部屋があった。
こうした地下シェルターは規模の大きな建物には設置されており
住民の避難場所としても使われるということである。
オンカロの建設が可能になった背景には
運営会社の情報開示に加えて
万一に備えた自治体の備えもあったのである。
(ユーラヨキ ヒーティオ町長)
「もちろん万が一の事故に備え訓練も続けています。
 それが我々の務めです。」


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