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ミャンマー“金色の寺” 輝き生み出す職人

2016-02-07 07:30:00 | 報道/ニュース

1月23日 おはよう日本


ミャンマーでは仏教施設の多くが金色をしていることから「ゴールデンランド」とも呼ばれ
周辺の国々からも多くの人がお参りに訪れる。
寺院や仏像を輝かせているのが金箔である。

国民の9割が仏教徒のミャンマー。
町のいたる所に金色に輝く寺や仏像がある。
使われているのはミャンマーで作られた金箔である。
金は昔から高貴なものとして敬われ
仏への最高のささげものとされてきた。
金箔は境内で10枚400円ほどで売られていて
お参りに来た人たちは金箔を仏像に張って祈りをささげる。
こうすることで寺へ寄進をし
功徳を積むという習慣がある。
「父と母がずっと健康で幸せに暮らせるようにお参りしました。」
「金箔をささげることで
 現生でも来世でも満ち足りた人生を送れると信じています。」
金箔の多くは最大都市ヤンゴンから北へ約600キロの古都マンダレーで作られている。
ミャンマー最後の王朝コンバウン朝の王が
約150年前に職人をこの地に集めたのが始まりで
今も20ほどの工房が残っている。
金箔職人のマウン・カインさん(52)は先祖代々続く工房を受け継ぎ
40年近く金箔を作り続けている。
(マウン・カインさん)
「自分が作った金箔で輝いている寺院を見るとうれしくなります。」
金箔づくりには何人もの人がかかわる。
塊だった金を薄く伸ばす。
リボン状になるまで伸ばしたら小さく切り分け
1枚ずつくっつかないように紙に挟んで重ねていく。
マウン・カインさんはこの束をたたいて金を少しずつ少しずつ伸ばしていく。
薄さを均一にするため微妙な力加減と慎重さが求められるまさに職人技である。
ハンマーの重さは約3キロ。
完成までに6時間ほど打たなければならない。
出来上がった金箔は息を吹くと飛んでしまうほどの薄さである。
12グラムの金から5㎝四方の金箔を約1、800枚を作ることが出来る。
急速に経済発展が進むミャンマー。
そのことが伝統の金箔づくりに影響を及ぼし始めている。
ミャンマーでもっとも名高い寺院のシュエダゴンパゴダ。
これまでは仏塔に手作りの金箔が使われてきた。
しかし1年ほど前に行われた改修工事で金メッキの金属板に張り替えられた。
手間のかかる手作りの金箔は
大量生産できる工業製品が出回るようになり需要が減ってきている。
さらに金箔職人のなり手も少なくなってきている。
経済発展に伴い
建設業や工場などを中心に他にたくさんの雇用が生まれているからである。
高度のスキルを求められる上に不安定な金箔諸君を辞め
安定的に収入が得られる仕事へ転職する人が増えている。
マウン・カインさんも5年前に比べ収入は半減。
5人雇っていた職人も今では1人になってしまった。
それでも伝統の金箔づくりを絶やしたくない。
今は後継者にしようと甥に金箔づくりを教えている。
どんなに機械化が進んでも手作りの金箔にこだわりたいと言う。
(マウン・カインさん)
「私も仏教徒なので金箔を作るときはより良い物を作ろうと心を注ぎます。
 機械で作るより良い物ができると思っています。
 魂を込めて金箔を作っている。」
ミャンマーを照らしてきた金色の光。
経済発展の波に揉まれながらも職人たちがその光を守り続けている。 


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