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マレー半島横断 タイ運河計画

2016-02-23 07:30:00 | 報道/ニュース

2月9日 キャッチ!


マレー半島を横断するタイの運河計画。
タイのバンコクや日本など東アジアからインド洋に向けて海上輸送する際には
これまでシンガポールを経由してマラッカ海峡を通ってきたが
マレー半島の括れた部分に運河を建設して
最短距離でタンカーなどが航行できるようにするものである。
実現すれば従来のルートに比べて航行時間や燃料費に大幅な削減につながると
地元では期待の声が高まっている。

タイ南部のマレー半島。
東側がタイ湾に
西側がインド洋に面し
その距離は短いところでわずか50キロしかない。
タイ南部のこの地域は平坦な土地が多く
古くから運河がたくさん作られ農業用水などに利用されてきた。
20年前に整備された運河は新たに計画されている運河のモデルになるとされている。
この地域には運河が大小合わせて100以上ある。
運河の建設御推進しているオーパス教授は
かつて上院議員を務めた際に運河の開発を政府に進言。
2005年に開発計画をまとめた。
計画図では候補となる運河のルートは合わせて11。
中でも大きな山がなく工事がしやすい全長120キロのルートを教授は有望と考えている。
総工費はタイの国家予算の3分の1に相当する約2兆9,000億円。
それでも運河の整備によって新たに300万人の雇用が生まれる。
(運河建設を推進するオーパス教授)
「重要なのはこの運河が日本と中国に石油を運ぶための近道になるということだ。
 推計ではにとびとの所得月3万3,000円を
 少なくとも5倍に増やせるだろう。」
10年以上前の計画にいま脚光が当たり始めた理由は
AIIBアジアインフラ投資銀行が発足したためである。
アジアの旺盛なインフラ需要をその莫大な資金で掘り起こそうとしている。
(中国 習近平国家主席)
「AIIBが発足してアジアへのインフラ投資を有効に増やせる。」
こうした中国の国家戦略を追い風に
教授たちは運河の建設を進めたいと考えている。
現に教授のもとには
これまで数回にわたり中国の団体や企業から問い合わせがあった。
(運河建設を推進するオーパス教授)
「中国は我々の計画に注目している。
 中国が投資する可能性は高い。
 この計画は彼らの利益になるからだ。」
中国から投資の可能性が浮上したことに地元では期待が高まっている。
魚の養殖に使うエサなどを生産する会社。
工場が半島の東側にあるため
これまで輸出先は中国など東アジアに限られていた。
運河が建設されれば
インドやミャンマーなどにも輸出ができるようになると期待している。
(魚飼料製造会社 ルチャティット社長)
「運河で輸送費削減と輸出拡大ができる。
 将来はきっとよくなるはずだ。」
オーパス教授によると
この運河を通った場合
従来のマラッカ海峡を通るルートに比べ
3日間の航行日数の短縮になるということである。
また深刻化するマラッカ海峡の渋滞解消にもつながるという。
建設予定地にある地元の自治体も運河建設に期待している。
運河周辺に企業の進出が加速し
経済の活性化につながると考えている。
(地元自治体 ソンチャイ市長)
「運河は地元経済に多大な利益をもたらす。
 タイ政府の予算は限られており
 技術的にも他国の協力が欠かせない。」
しかしこの計画は周辺国に波紋を呼んでいる。
特にマラッカ海峡に面するシンガポールでは危機感を強めている。
マラッカ海峡を通るタンカーの多くは荷物の積み替えなどのためシンガポールの港を利用する。
シンガポールのGDPの7%を海運産業が稼いでおり
国の経済を支える一大産業である。
もしタイに運河が建設されればこうした利益を脅かされかねない
専門家はシンガポールの懸念をこう説明している。
(民間調査機関 G・オンシェブ研究員)
「運河建設によるシンガポール経済への影響を懸念している。
 現在マラッカ海峡を通る海上交通大部分が運河を使うようになる。
 ビジネスはシンガポールからタイに移行し
 そのタイが新たな海上交通の中心となるだろう。」

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