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交通各社が競う“外国人を地方路線へ”

2016-02-26 07:30:00 | 報道/ニュース

2月12日 おはよう日本


成田空港にあるJRの窓口。
日本に到着した外国人旅行者たちで多い日には3時間待ちの行列ができる。
ここでJRが売り込んでいるのが外国人旅行者専用の格安周遊チケットである。
このチケットは昨年度は140万枚以上販売。
1年で60%近く増えた。
訪日外国人のおよそ10人に1人が買い求めている計算である。
「とても良いチケット。
 うまく使いこなしたい。」
最近外国人旅行者が多く訪れている町がある。
広島県尾道市。
人気の京都や大阪から離れ
広島駅から在来線で1時間20分ほどかかる。
しかし一昨年 尾道を訪れた外国人旅行者は1年で40%増えた。
その数は市の人口に匹敵する約13万人にのぼる。
多くの外国人のお目当ては瀬戸内海の島々。
駅前で自転車を借りて島をめぐる。
外国人たちが手にしているのが格安周遊チケット。
「とても安い。
 どこにでも行けるから便利。
 博多から尾道に来てあしたは宮島に行きます。
 宮島キレイ。」
JRはチケットによって地方路線を利用する外国人旅行者がさらに増えると期待している。
(JR西日本 営業本部 田原仁担当課長)
「チケットは地域の活性化に寄与できるし
 地域の魅力あるスポットを一緒に磨いていくことで
 さらに外国人客の利用を伸ばしていけると思う。」
対する航空会社でもいま路線を維持するため外国人に熱い視線を注いでいる。
この2年間で国内では少なくとも9つの地方路線が廃止された。
新たな新幹線の開通など競争が激化するなか
地方路線の利用者を増やすことは航空会社の最大の経営課題である。
そこで全日空が始めたのが外国人旅行者を地方に誘導する戦略。
その切り札が3年前から販売を始めた外国人専用の格安チケット。
最も高い羽田ー石垣便では普通運賃の6分の1以下。
大幅な格安料金が人気を呼び
販売は毎年倍増している。
さらに全日空が始めたのが
外国人旅行者が地方のどんなところに魅力を感じているか
その嗜好を調査することだった。
本社勤務の外国人社員を増員。
そのヒントを探る。
「北海道の登別温泉に行ったが
 そこで鬼が岩から出てきたという話がすごく魅力的。」
外国人が喜ぶポイントは日本人と必ずしも一致しないことがわかってきた。
(全日空マーケティング計画部 大崎和之部長)
「外国人が見ると面白い普段見ることができない光景がたくさんあると思うので
 これをどう見つけて発掘するかが我々のミッション。」
そこで取り組み始めたのが
実際に地方を訪れた外国人旅行者がどこに行くのか
その行動パターンを把握することである。
例えば格安チケットを利用したタイ人9人のグループ。
東京から向かったのはこの2年で4つの路線が廃止された鳥取県の米子空港だった。
その目的地はマンガ「名探偵コナン」の作者青山剛昌さんの記念館。
タイではいま「コナン」が大人気。
作者の生まれ故郷を訪れたかったという。
「私に取って初めて訪れる日本で
 どこに行きたかったかというと ここ」
そして宿泊先に選んだのは雪上車でしか行けない大山の山の中。
タイでは見たことがない雪景色に大喜びである。
雪上車や雪深い宿泊地など
日本人には一見不便に感じることも楽しんでいることがわかった。
「すばらしかった。
 今まで雪上車は見たことなかった。
 みんなで乗れて興奮した。」
外国人が見つけた地方の魅力。
全日空は日本各地の支店などからこうした情報を集め
世界に発信する取り組みも始めている。
去年11月に開設した外国人専用のホームページ。
秋田県にある“ゴジラに見える岩”など
外国人が好む地方の観光地を選りすぐって紹介している。
さらに外国人の視点で47都道府県の魅力を紹介する映像を製作。
旅客機内や世界80カ国のテレビで放映を始めた。
こうした取り組みを続けていくことで
地方路線の維持にとどまらず
拡大にもつなげていきたい考えである。
(全日空マーケティング計画部 大崎和之部長)
「日本全国の魅力あるものを世界の皆様に発信していきたい。
 それによって1人でも多くの訪日外国人のお客様に地方に立ち寄っていただきたい。
 最終的には我々航空会社としても
 新しい国内線のマーケットを開発できればと思う。」
全国の高速道路各社でも訪日外国人向けの料金が設定されている。
北海道の場合 2日間で3,600円で全域が乗り放題。
しかしこうしたチケットは
残念ながら日本人や日本に住む外国人が購入することができない。
航空会社や高速道路各社は
このチケットだけで採算がとれないということだが
外国人旅行者が将来
地方路線のリピーターになってもらうための先行投資として
販売を続けていきたいとしている。



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