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“チャップリン博物館”オープン

2016-05-09 07:15:00 | 報道/ニュース

4月23日 おはよう日本


「20世紀の喜劇王」と呼ばれた俳優のチャーリー・チャップリン。
1人で監督や脚本家もこなし
数多くの名作を世に残した。
労働者の権利をないがしろにしているとして
資本主義や機械文明を批判した「モダン・タイムス」や
ナチスドイツのヒトラーを風刺した「独裁者」などが有名である。
アメリカのハリウッドで活躍したチャップリンだが
晩年を過ごしたのはスイスである。
喜劇王が暮らした街に
没後40年近くを経て
チャップリンの世界を体験できる博物館がオープンした。

スイス西部に広がるレマン湖。
チャップリンが暮らしていたのは湖畔にあるブベイという小さな町である。
町はチャップリンにちなんだものでいっぱいである。
公営住宅の外壁にまで映画のシーンが描かれている。
チャップリンが住んでいた自宅の敷地にオープンしたのが世界初のチャップリン博物館。
博物館を訪れるとまず映画館が人々を迎える。
チャップリンの作品を見終わると突然スクリーンがせり上がり
奥から今見た場面と同じセットが現れた。
映画の世界を体験できるようになっている。
チャップリンの代表作の1つ「モダンタイムス」に登場するj巨大な歯車も展示されている。
映画の舞台を再現したオブジェや実際に使われた衣装など約600点が展示され
チャップリンの世界に浸ることができる。
「チャップリンの作品は楽しくてためになります。
 私も子どもも大ファンですよ。」
ハリウッドで大成功を収めたチャップリン。
世界的に人気を博した理由は
笑いだけでなく
社会への風刺だった。
しかし代表作「モダンタイムス」などで労働者の権利を主張し
資本主義に批判的な作品を手掛けたとして
冷戦のさなか“共産主義者”のレッテルを張られた。
いわゆる“赤狩り”によってアメリカを追われてしまうのである。
そんな彼を受け入れたのが
どちらの陣営にも属していなかった永世中立国のスイスだった。
チャップリンは88歳で亡くなるまでの25年間スイスの家で暮らした。
博物館に展示されている放浪者や労働者
そして迫害されたユダヤ人の人形。
チャップリンは社会的弱者を数多く演じてきた。
その背景にあったのが幼少の頃のつらい経験だった。
チャップリンがわずか1歳の時に両親が離婚。
その後母親が病で倒れ経済的に苦しい生活を強いられた。
その事実はあまり知られていないという。
(博物館プロジェクト責任者 イブ・デュランさん)
「チャップリンが貧しい幼少期を送ったことは
 彼の人生と作品を理解する上でとても重要です。
 貧困を経験したからこそいつも貧しい人や弱い人の立場に立って
 金持ちや上流階級に対抗する役を演じたのです。」
博物館をつくるにあたりチャップリンの遺族も全面的に協力した。
チャップリンの息子 ユージーン・チャップリンさん(62)。
今回博物館として初めて一般にかつての自宅が公開された。
63歳でスイスに渡ったチャップリン。
自伝の執筆に加え
新作の脚本などの構想を練った。
年齢を重ねても仕事に妥協を許さない姿勢は変わらなかったという。
(チャップリンの息子 ユージーン・チャップリンさん)
「仕事に関しては完璧主義者でした。
 日中はすべてドアに鍵をかけて書斎にこもり
 何時間も仕事をしていました。」
一方で忙しい中でも8人の子どもたちにたっぷり愛情を注いだという。
特に大切にしていたのが家族全員が集まる食事の時間だった。
(ユージーンさん)
「食事中は会話を楽しみました。
 父は『学校がどうだ』とか『何か問題は無いか』とか
 聞いたものです。」
博物館ではそのだんらんの様子を映した貴重なプライベートフィルムも公開されている。
権力に対峙し続けた映画俳優であり
子どもへの愛情を注ぐ1人の父親でもあったチャップリン。
この博物館では知られざる喜劇王の素顔に会えるかもしれない。





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