5月17日 キャッチ!
中国上海の中心部。
正午になると荷物ケースを積んだバイクが数多く行きかうようになる。
食事の宅配サービスのバイクである。
注文はスマートフォンなどから受け
提携する飲食店から依頼主のオフィスへ届けている。
スマホなどのモバイルネット利用者が6億人を超えた中国では
このようにネットを介して商品を届けたり
自宅を訪れてサービスを行う
いわゆる“出張訪問ビジネス”が盛んになっている。
市内のマンションに住むペットの飼い主宅に向かう荷物満載のバイクは
ペットのケアをするスタッフである。
道具の重さは約20キロ。
これでサービスのすべてを訪問先で行うことができる。
会社がこの訪問サービスを始めたのは去年。
利用客がペットをわざわざ店舗に連れていくことなく
自宅で手軽にサービスを受けられるという
一般の店との違いをアピールしている。
客はスマートフォンのアプリを使って
自分の都合のいい時間に予約を入れる。
バスルームが臨時のペットサロンに変身するとサービスの始まりである。
ペットの爪磨きや耳掃除
歯磨きにシャンプー。
普段慣れ親しんでいる自宅にいながらいたれりつくせりのサービス。
それでも料金は日本円で約2,800円である。
店舗設備などへの初期投資や
上海の高額な家賃がかからないため
料金は店舗とほぼ変わらない。
(利用者)
「店に出向かなくてもいいので時間が節約できますし
自宅なので衛生的で犬もリラックスしてサービスを受けられます。
個別サービスなので犬の近くに居られて安心です。」
年間の販売台数が2千万台以上。
世界最大の自動車市場の中国。
特に上海は車の保有台数が年に10%以上も伸びている。
そんな上海で人気が出ているのが洗車の出張サービス。
このサービスも簡単にスマホで注文を行うことができる。
市内に待機する300~400人の契約スタッフの中で
利用者の最も近くにいるスタッフが駆けつける仕組みである。
しばらくしてマンションの駐車場に現れたのは出張サービスのスタッフ。
まずスマホで車種やナンバーを確認。
バイクに積んだ専用の道具を使い
約40分かけて車体と室内の清掃を行う。
このサービスでも諸経費が節約できるので
料金は約700円。
町中に多くある一般店舗の料金とほぼ同じである。
洗車終了後に利用者はスマホの電子マネーで料金を支払う。
(利用者)
「忙しくて洗車に行く時間がなく渋滞もあるので。
満足しています。」
(出張サービス会社代表)
「中国での車の保有台数は毎年急速に伸びています。
利用者菜毎月120%~150%増で
この市場の将来は明るいです。」
こうした出張訪問ビジネスのブームに乗って業績を伸ばしている日系企業もある。
家庭向けの清掃モップをスタッフが直接訪問してレンタルしている会社。
10年前に中国に進出した当初は
日系企業向けのフロアマットが主力だったが
ここ2,3年一般の家庭向け清掃モップでも業績を上げている。
この会社が売りにしているのが日本が得意とするきめ細かな訪問サービスである。
月に1度レンタルしたモップを交換する際
訪問スタッフがモップの使用状況を見ながら
利用客に掃除の方法を懇切丁寧に説明している。
なじみのないサービスをしてもらおうと会社は積極的なプロモーションを展開。
マンションの敷地内やスーパーマーケットの店頭などで
1か月に述べ80回宣伝活動を行い
利用者が家庭で商品を体験する機会をつくってきた。
出張訪問ビジネスのブームの広がりと相まって
契約件数を3年で3倍に伸ばしてきたという。
(ダスキン上海 上野進一朗さん)
「我々の商品は使っていただかないとわからない。
まだ中国にはレンタルという仕組みが無いので
訪問というスタイルが一番いいのかなと思う。」