5月7日 キャッチ!
まるで刑務所のような雰囲気のジムで行われているのは独房エクササイズ。
このエクササイズを生み出したコス・マルテスさんがビシビシとしごく。
独房のような狭いスペースで
自分の体重だけを利用して体を鍛え上げることができる。
それがこのエクササイズの特徴である。
こうしたハードなエクササイズが評判を呼び
オープンからわずか4か月で会員の数は400を超えた。
「終わりだなんて誰が言った?
戻って位置につけ!」
(会員)
「とても厳しかった。
怒鳴られたりして刑務所にいる気分。
でもだからこそ頑張る気になれるんだと思う。」
「多くのクラブを体験したけどここのは素早く効果的に痩せられる。
本当にいいエクササイズだよ。」
コスさんのエクササイズは実は自分の体験から生まれたものである。
貧しさと犯罪がまん延するニューヨークの下町で育ったコスさんは
10代のころからドラッグの売買に手を染めるようになった。
(コス・マルテスさん)
「あたりはドラッグだけだったし
簡単に金が稼げる手段だった。
アパートに住んでたんだけど屋上ではドラッグを売ってたよ。」
ついに23歳で7年の懲役を受けた。
そのとき何よりつらかったのが息子と離れ離れになることだった。
(コス・マルテスさん)
「更生したいと思ってたけど出来なかった。
でも息子が刑務所を訪れたとき
帰ってきてほしいと泣かれた。
それを見て心が痛んだ。
2度とここに戻りたくないと思うようになったんだ。」
当時太り気味だったコスさんは健康を取り戻そうと独自のエクササイズを始めた。
そして半年で30キロの減量に成功。
刑務所仲間に教えるほど評判になった。
それが独房エクササイズが生まれたきっかけである。
ようやく出所して息子のカサ二エル君と再会したコスさん。
公園でエクササイズ教室を開き
少しずつ会員が集まり始めた。
せっかく集まった会員を失う不安から
最初は自分が受刑者だったことを言わなかった。
しかし意を決して過去をオープンにすると意外にも好反応。
エクササイズを広めることにつながった。
(コス・マルテスさん)
「過去を認める覚悟をしたらとても自由になれたんだ。
真実を知って会員が離れるならそれも仕方がないってね。」
成功をつかんだコスさんは
出所後の社会復帰に苦しむ元受刑者を積極的に雇用するようになった。
現在10人のスタッフのうち8人が刑務所に入った経験のある人たちである。
コスさんの成功を知り
出所を控えた受刑者たちから就職を希望する多くの手紙が届いている。
(コス・マルテスさん)
「昔は出来るだけ多く稼ごうとし
確かにそれで成功していた。
でも今は他の人を助けたいと思うようになりました。
金は使ってしまえばそれで終わり。
でもそうやって与えた影響はずうっと後まで残ると思うんです。」