6月17日 おはよう日本
平等で自由な社会を求め続けてきた南アフリカ。
その南アフリカでは
貧困を乗り越えて成長する少年の姿を描いたアニメが
いま子どもたちに希望を与えている。
南アフリカのテレビアニメ「ジャブの冒険」。
主人公のジャブは貧困の地域にあるトタンで作られた家に住んでいる。
ひょんなことから魔法の太鼓を手に入れた少年ジャブ。
太鼓をたたくと
ジャングルの動物たちが駆けつけてくれる。
そして様々な困難を乗り越えながらアフリカ中を旅していく。
アニメを製作したパスカルさん(33)。
日本のアニメにあこがれて独学でアニメを学んだパスカルさん。
「ジャブ」の制作をメインで担当している。
(パスカルさん)
「アフリカのアニメがあまりなかったので
アフリカのアニメを作りたかった。」
今回パスカルさんがアニメの舞台に選んだのは
ケープタウンのタウンシップと呼ばれる地域。
若者の2人に1人は仕事がなく
貧しい住民が多く暮らしている。
貧困地域の暗いイメージを変えたいと思ったパスカルさん。
アニメを通して
貧しいながらも明るく過ごしている子どもたちの姿を
世界中の人たちに伝えたいと考えた。
(パスカルさん)
「アフリカの悪いことばかり取り上げられ
良いことはあまり知られていない。
タウンシップ(貧困地域)の生活を知ってもらいたかった。」
こだわったのはアニメの役の声。
タウンシップに住む子どもたちの中から選ぶことにした。
主人公ジャブの声優に選ばれた ンコサーナくん(9)。
学校の先生に勧められオーディションを受けた。
元気な中にもやさしさのある声がジャブの雰囲気に合うと選ばれた。
ジャブの声を演じながら
ジャブがどんどん好きになっていったと言うンコサーナくん。
例えば
旅の途中 橋が落ちていて渡ることができないというシーン。
「どうやって渡れるか君も考えてよ!」
「僕ならあの枝に舌を引っ掛けて向こう側に飛び移れるよ!」
どんな困難にも動物たちと助け合いながら乗り越えていくジャブの姿勢に
心を動かされたと言う。
(ンコサーナくん)
「ジャブのことが大好きなんだ。
たとえ失敗しても何度も挑戦することが大事だと教えてくれたんだ。」
ンコサーナくんはこれまであまり考えなかった将来の夢を思い描くようになったと言う。
(ンコサーナくん)
「将来は小説家になりたいんだ。
ジャブの役をやる機会をもらったことで
もっと頑張ろうと思ったし
いつか夢は叶うと思うんだ。」
南アフリカの貧しさの中から生まれたアニメ。
アフリカの子どもや若者に
新たな夢とチャンスをもたらしている。