7月3日 経済フロントライン
東京田園調布にあるスーパー。
午後3時
運ばれてきた魚介類は朝 各地で獲れたもの。
なぜこんなに早く届いたのか。
秘密は羽田空港にある。
羽田空港の滑走路近くにある建物は去年9月にできた鮮魚センター。
魚は築地などの市場に預けられ小売店に送られるのが常識である。
ここでは全国から飛行機で運ばれてきた魚が仕分けられ
そのまま小売店に発送されていく。
マイクに向かって魚の名前を言えば
ラベルに瞬時に重さや産地が記される。
徹底的なスピードアップにこだわっている。
(鮮魚センターを経営 CSN地方創生ネットワーク 野本良平社長)
「仕分けをしたり加工したりするのに
空港内でできればこれ以上の場所はない。
今まで絶対にありえなかったこと
かなりの流通革命だと思っている。」
魚が羽田に送られてくるまでの時間も早い。
宮崎県延岡市の沖合。
午前3時
定置網の引き揚げが始まった。
この日の一番の大物は「メイチダイ」。
「このメイチダイは高級魚。
非常に珍しくておいしい魚。」
羽田の鮮魚流通の会社がすべて買いあげる契約を結んでいるため
競りにかけられることなく運ばれていく。
水揚げから7時間後
メイチダイは羽田空港に到着した。
すぐに仕分けを完了し納入先のスーパーを目指す。
水揚げから12時間後
メイチダイは刺身になって売り場に並んだ。
「とれたてってことで臭みが全く無い。」
8切れ 1280円。
完売した。
(鮮魚センターを経営 CSN地方創生ネットワーク 野本良平社長)
「大都市圏に1分1秒でも早く鮮度のいいものを届ける。
鮮度のいいものに日本人は敏感。
そこが絶対にお金になる。
新しい流通を作って付加価値を上げていく。」
一方 都内にあるIT企業。
社員がのぞいているのは魚の画像。
「きょうはこれは始めて見ました。
スミヤキ。」
この会社は
知名度が低かったり数が揃わなかったりして通常の流通のルートに乗りにくい魚の売買を
専門のサイトで仲介している。
例えばアオハタという魚。
水揚げされたのは長崎県西海市である。
タコツボに身を隠す習性があるためタコと一緒に獲れることがあるアオハタ。
数が少ないためこれまでは漁業者が持ち帰って食べるのがほとんどだった。
でも1匹から売買できるこのサイトに掲載したところ
買い手がつくようになったのである。
(大瀬戸町漁協 堤裕亮参事)
「手間をかけることである程度の値がついて
漁業者の収入がちょっと増える。」
“アオハタのカルパッチョ”
今では東京のレストランのおすすめメニューになっている。
「コリコリしていておいしい。」
「ここまで身が締まっている魚は経験がない。」
ニッチな市場に応えるこの仕組み。
登録している飲食店は4,000軒を超えている。
(仲介サイトを運営 フーディソン 山本徹CEO)
「我々がITをこの業界に取り入れることで
実は伝わっていなかった情報を伝え
出荷される流れにもっていける。
すごくポテンシャルがある。」