6月25日 おはよう日本
キューバの首都 ハバナ。
今アメリカの美術関係者から熱い視線を注がれているのが
色彩豊かなキューバのアートである。
ハバナのアートギャラリーには多くの外国人が買い付けに来ている。
ここを訪れるツアーには
観光客に混じって数多くの美術品のコレクターやプロのバイヤーが参加している。
人気の理由は質の高い作品が比較的安い値段で手に入ることである。
社会主義で教育費が無料のキューバ。
国立の芸術学校で質の高い教育が行われていて
専門の技能を身に付けた画家のレベルは欧米に引けを取らないという。
(買い付けに来たアメリカ人)
「予算をオーバーしましたが
あまりにもいい作品だったので買いました。」
「コレクターの人たちを連れてアートの買い付けに来ました。
アートが好きな人はいま間違いなくキューバに注目しています。」
ビジネスで訪れるアメリカ人が増えたきっかけは
アメリカとキューバの国交回復である。
長く続いたアメリカによる経済制裁が段階的に緩和され
ビジネスの一部が解禁されたのである。
(アメリカ オバマ大統領)
「アメリカとキューバの貿易を拡大していく。
両国は距離も近い。
貿易のパートナーだ。」
ビジネスマンの視線はキューバの音楽にも注がれている。
マンボやルンバを生み出したキューバだが
優れたミュージシャンの才能はアメリカのマーケットから大きな注目を集めている。
キューバ出身のグループ ヘンテ・デ・ソナ。
スペイン語で「地元の人たち」という意味である。
独特のリズムとスペイン語の歌が受け
今アメリカで爆発的な人気を呼んでいる。
彼らのビデオは動画共有サイトyou tubeで3億回以上再生され
主要な音楽チャートで1位に輝いた。
ヘンテ・デ・ソナを売り出したアメリカフロリダ州のレコード会社。
CEOのミシェル・ベガさんは
国交回復前のキューバを訪れたときに出合った彼らの音楽に魅了されたという。
(レコード会社 CEO ミシェル・ベガさん)
「彼らの曲を聴いたとき心を奪われました。
聞いたことのない新鮮で活気にあふれたサウンドで
すぐに契約しようと思いました。」
ベガさんのビジネスを後押ししたのは
アメリカがキューバに対して行っていた規制の緩和だった。
これまで
アメリカのレコード会社がキューバのミュージシャンと直接契約することは出来なかったが
道が開けたのである。
(レコード会社 CEO ミシェル・ベガさん)
「両国が国交を回復したことによって多くの障害が取り除かれました。
この雪解けをさらに進め
ビジネスはもちろん
文化の面でも
アメリカとキューバの距離がもっと縮まっていってほしい。」
ビジネスの動きは芸術の分野にとどまらない。
南部ケンタッキー州でタレント事務所などを経営する ジョナサン・ブルーさん。
ブルーさんはこれまで
数々のスポーツ選手やテレビの司会者、モデルなどを生み出してきた。
2004年には
ボクシングの元世界チャンピオン マイク・タイソン氏の試合を企画したこともある。
ブルーさんはいまキューバのモデルたちをアメリカに売り込もうと計画している。
きっかけは去年雑誌の撮影でキューバを訪問した際
現地のモデルやデザイナーと一緒に仕事をしたことだった。
欧米と同じくらい洗練されていて
しかもどん欲に学ぼうという姿勢に感銘を受けたという。
(タレント事務所会長 ジョナサン・ブルーさん)
「彼らはとても謙虚で
成長したいという意志にあふれていました。
これは才能です。
彼らが海外のマーケットでビッグになるよう
私たちもぜひ手伝いたい。」
ブルーさんは今年4月
アメリカの企業として始めてキューバ国営の娯楽企業と提携することで合意。
今後はモデルやデザイナーだけでなく
現地の企業を通じて発掘したタレントや
さらには料理人など
あらゆる分野の優秀な人材をアメリカで売り出したいと考えている。
(タレント事務所会長 ジョナサン・ブルーさん)
「キューバは長い間
アメリカにとって未知の市場でした。
キューバの人材はまだ開拓されてない。
だからこそ将来性があるのです。」
国交回復で市場が大きく開かれようとしているキューバ。
知られざる人材大国に
アメリカ企業はビジネスチャンスを虎視眈々と狙っている。