6月25日 おはよう日本
ガラス張りの屋内公園の行列。
その先にあるのはうどん・そばの自動販売機。
1杯200円でアツアツのうどんとそばが食べられる。
自動販売機が設置されているのは
秋田の海の玄関口 秋田港にある道の駅。
今年4月に設置され
1日平均150杯を売り上げる人気である。
「札幌から。」
「愛媛から。
機会があったら食べてみたいと思って。」
県外から訪れる観光客も多く
今や秋田の観光名所となっている。
自動販売機はかつて秋田港の近くにある商店で
約40年間 地元の人たちに親しまれてきた。
ずっと変わらず
ここにあり続けた自動販売機がある空間。
常連客それぞれの思いがつまった場所だった。
「味ではないですよね。
なんでしょうね。」
しかし今年3月 商店は閉店。
自動販売機は近くにある道の駅に移設されることになった。
新たな場所で営業を再開した自動販売機。
周りの環境は大きく変わった。
これまでのように早朝や深夜に味わうことは出来なくなった。
「来たらもう終わってた。
岩手県から来たんですよ。」
「ツアーを組んでこのために。」
「残念だわー。」
こうした変化に戸惑いを感じているかつての常連客もいる。
「屋内だから風がないので
海風を感じながら食べるおいしいうどんという雰囲気ではなくなった。
寂しいところがありますね。」
10年前から常連だという70代の男性。
移設後も週に1度は様子を見に来るが
まだ1度も食べたことがないという。
「こういうところで食べる気にはならない。
自分でも不思議だと思ってる。
味は変わらないと言ってるけど。」
一方 新たな常連客も増え始めている。
もともと親子連れが多く集まる場所だったこの道の駅。
最近では家からお弁当を持ち寄って
うどんを食べながらママ会を開く母親たちの姿も見られる。
「大きな声を出してもわいわいと遊べる空間なので。」
「子連れでも食べやすくなったよね。」
近所に住む工藤張人さんは
小学2年生の息子 陸央君と2人でよく道の駅に遊びに来る。
遊んだあとに必ず食べるのが陸央くんお気に入りの自動販売機のうどん。
仕事が忙しく平日しか休みが取れない工藤さん。
陸央くんの放課後
2人で出掛ける時間を大切にしている。
うどんを食べながら男同士の会話が弾む。
「きょうママから怒られる時間減るよ。」
「なんで?
パパといるから?
パパといるから怒られる時間は減るね。」
「パパと食べるうどんは最高。」
「男の子同士で最高だね。」
(工藤張人さん)
「毎週このうどんのおかげもあって楽しく過ごしてます。
思い出深い時間と味になってくれればいいと思います。」
訪れる人の日常にそっと寄り添ってきた自動販売機。
場所が変わってもまた新たな思い出を紡いでいく。
この自動販売機は機械が古いために
麺が機械から飛び出すなど
度々故障するが
気にするお客さんはいないという。
設置してある道の駅では
ここがかつての商店のように
ここが皆さんにとって大切な思い出の場所になる日まで
大事にしていきたい
と話している。