日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

フランス料理を応用 食事で生きる力を

2016-07-26 07:15:00 | 報道/ニュース

7月7日 首都圏ネットワーク


6月29日 さいたま市で開かれた料理の講習会。
料理のレシピは
“サトイモのみそ田楽 フランス風”
“シャケのムース ショウガソース添え”
すべて
固いものを食べなかったりのみ込む力が弱い人たちの料理である。
これまではこうした料理は味や色が単調なものが一般的だった。
このレシピでは食材ごとに盛り付け
味・香り・彩りを生かすのが特徴である。
料理を教えているのは元フランス料理のシェフだった多田鐸介さん。
「フランス料理は
 トロッと溶けるとかまろやかって表現が非常に多いです。」
フランス料理を応用した“高齢者や病人向けの食事”の普及に取り組んでいる。
講習会には病院や介護施設で働く調理師や栄養士など
毎回大勢の人が参加している。
(介護施設 調理師)
「いつもドロドロに混ぜてしまうが
 食材が個別だったりタレを下にしたり
 工夫されていてすごい。」
(医療施設 職員)
「いろいろと聞いて
 こういうこともできるのかな
 こういうやり方もあるのかな。」
講習会で全国を飛び回る多田さん。
食べやすくておいしいレシピに取り組んだのは20年前のある経験がきっかけだった。
18歳で料理の道に入った多田さん。
パリや国内のフランス料理店などで順調にキャリアを積み上げてきたが
やりがいを見出せず
26歳のときシェフを辞めた。
調理器具メーカーに転職した多田さん。
営業で訪れた病院で
多田さんの経歴を知った末期がんの患者に料理を作ってほしいと頼まれた。
(多田鐸介さん)
「桃をどうしても食べたいと・・・。
 でも食べられる状況じゃない。
 管も入り医療機器もつながれている状況で
 でも食べたいって筆談されて。」
即席で作った桃のゼリー。
口にした患者の姿に心を動かされた。
(多田鐸介さん)
「始めて自分の料理で喜んでくれた。
 度肝を抜かれる体験はなかった。
 自分が今まで習った技術をこういう部分で生かしたいと思った。」
多田さんはその出来事がきっかけで
病気の人や高齢者においしく食べられるレシピ開発に取り組んだ。
コンサルタントとして作ったレシピは1,000以上にのぼる。
その中の1つ
肉をかみ切れない人のために作ったローストチキン。
低温でゆっくり加熱するフランス料理の調理法で鶏肉を柔らかく仕上げた。
多田さんがいま力を入れているのが病院食である。
東京板橋区の病院では
患者が食べる楽しみを感じることで生きる力を見つけてほしいと
去年から多田さんにアドバイスを依頼している。
(多田鐸介さん)
「焼き肉風をやってみましょうか。
 実際に焼かないんですけど
 1回ゆでたものを柔らかく焼き肉風に。」
(竹川病院 栄養課主任 河原井彩乃さん)
「食事は治療の一環を担うのでとても大切なことだと思う。」
塩分制限がある患者のためのメニューに取り組み始めた。
フランス料理で使う調理器具で新しいレシピを試した。
袋に食材と調味料を入れ
中を真空状態にする機械である。
「沸騰することで圧力が高まっている。
 酒と昆布とショウガの味が中に入る。」
少ない調味料でも味がよく染み込むため
薄味でもおいしい料理を作ることが出来る。
心臓病で半年以上入院している97歳の女性は塩分が厳しく制限されている。
この日は新しいメニューを楽しみに待っていた。
多田さんはできたての料理を病室に届けた。
「新しい試作メニューを作ったので意見をいただければ。」
「わたし幸せ。
 作ってきてくれたみたいで。
 おいしい。
 血圧とか体のために塩気が少なく油も少ないなど
 すごく吟味していると思う。
 私の体に合うような料理が出てきて
 感謝しながら食べてます。」
生きる元気を与えるおいしい食事。
多田さんはこれからも多くの人に喜ばれるレシピを作っていきたいと思っている。
(多田鐸介さん)
「病院で入院されている方は食事が一番の楽しみ。
 楽しめるような献立にしたい。
 ここのおかずがおいしいと言われるようにしたい。」




コメント