6月22日 キャッチ!
ルテルテ氏の地元 南部ミンダナオ島で
6月5日
大統領選挙の勝利を祝う集会が開かれた。
つめかけた人の数はなんと30万人。
ドゥテルテ氏への期待の高さがうかがえた。
「フィリピンのドナルド・トランプ」とも呼ばれるドゥテルテ氏の過激な発言はここでも止まらない。
(ドゥテルテ氏)
「もし危ない目にあったら犯罪者を殺していいぞ。
犯罪者を殺したら勲章をやる。」
凶悪な犯罪が相次ぎ
治安対策が依然として課題のフィリピン。
地元ミンダナオ島ダバオで犯罪の取り締まりを強硬に進め
治安を劇的に改善したルテルテ氏への期待は
人々の圧倒的な支持へとつながった。
しかし最高の外交課題である南シナ海の問題をめぐっては
先行きに懸念も広がっている。
立ち遅れているインフラ整備などの経済支援と引き換えに
中国に譲歩するような姿勢を示していることである。
(ドゥテルテ氏)
「領有権問題を棚上げして
南シナ海の海底資源を中国と一緒に調べたらいい。」
ドゥテルテ氏の姿勢に中国も期待感をあらわにしている。
(5月10日 中国外務省 陸慷報道官)
「フィリピン新政権が中国と同じ方を向き
立場の違いを適切に処理するよう望む。」
こうしたなか南シナ海の領有権争いの最前線の現場では
いま中国の対応にある変化が起きている。
その現場は
フィリピンから西に約200㎞にある南シナ海のスカボロー礁。
2年前に中国が突如 実効支配を始めた場所である。
海域には中国の監視船が常駐し
フィリピンの船ににらみを利かせている。
そのスカボロー礁にほど近いフィリピン北部のルソン島にある漁村。
村の人たちは代々
キハダマグロなどの良質の漁場として知られる
スカボロー礁周辺の漁で生計を立てていた。
漁師のジュンマール・プミクピックさん(25)は
一家の生活を支えるためにはある程度の危険は覚悟の上で
スカボロー礁周辺に漁に行くしかないという。
プミクピックさんが今年4月にスカボロー礁周辺で撮影した映像。
次々と逃げ出す仲間の漁師たち。
現れたのは中国の監視船である。
監視船の乗組員は小型船で近づいてきて
プミクピックさんらの船を強引に海域から追い出したのである。
(プミクピックさん)
「中国の監視船糊区民に『出て行け!出て行け!』と警告されました。
中国の船が漁船に穴があくまで何度も追突してきました。
すごく怖かったです。」
これまで中国の乗組員に銃口を向けられるなど
命の危険を感じる経験を何度もしてきたというプミクピックさん。
ところが大統領選挙の直後から
中国の監視船の対応が大きく変わったという。
(プミクピックさん)
「中国側の態度がガラッと変わりました。
乗組員が水やタバコをくれたり
すごく友好的です。」
この中国の変化はいったい何を意味するのか。
地元メディアは
中国は態度を軟化させてドゥテルテ氏との距離を詰め
そのまま取り込みたい思惑があるという。
(大手地元紙 インクワイアラー ジョン・ネリ-編集委員)
「中国側がドゥテルテ氏と対話する機会をうかがっているのは明らかです。
彼は外交経験が乏しいので
中国に取り込まれないように適切なアドバイスをするブレーンが必要です。」
スカボロー礁で中国の変化を間近で見たプミクピックさん。
ドゥテルテ氏に期待する一方
不安も隠せない。
(ジュンマール・プミクピックさん)
「南シナ海問題は次の大統領にかかっています。
中国と物別れに終わったら
再び妨害行為を受けるのではと心配です。」