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日韓関係 進む経済連携

2016-07-07 07:15:00 | 報道/ニュース

6月21日 キャッチ!


韓国南部ウルサンで日本の化学メーカーが新工場の建設を始めた。
投資額は5,000万ドル。
日本円で約52億円にのぼる。
メーカーはウルサンで
自動車のフロントガラスなどに使う特殊なフィルムを生産。
今回の新工場によって
現在の生産量を大幅に増やしアジアの生産拠点とする。
(クラレ 伊藤正明社長)
「ウルサンはフィルム事業における最も重要な国際生産拠点です。」
メーカーがウルサンで工場を起ち上げた理由は
消費地である中国や東南アジアに近く
輸送コストを削減できるメリットがあるからである。
さらに現地に化学メーカーが多いことから
優秀な人材が豊富で
より効率的な生産が出来ているという。
一方 韓国側もウルサンで新たな雇用創出が期待でき
進出する日本企業には法人税を5年間100%免除するなど
自治体が積極的に支援している。
(ウルサン キム・ギヒョン市長)
「両国の地方自治体や民間企業と経済交流を活発にすれば
 お互いはさらに発展すると思います。」
日韓双方にとって利益となる経済連携は海外においても進められている。
赤道直下 インドネシアのスラウェシ島。
日本と韓国から約5千キロ離れたスラウェシ島が連携の最前線である。
日本と韓国のビジネスマンが協力してLNGの生産と供給に取り組んでいる。
天然ガス輸入量で世界1位の日本と2位の韓国との連携。
日本の大手商社と韓国のガス公社が共同で運営にあたっている。
プラントには日本と韓国の他
現地インドネシアのエンジニアもいる。
これまで資源開発の業界では
生産量のコントロールなど重要な意思決定は欧米の石油メジャーが行ってきたが
このプラントはアジアの企業だけで運営される初めての事業である。
所長の中西和生さんはプラントを主導的に運営することで
ノウハウを蓄積していきたいという。
(ドンギ・スノロLNGプラント 中西和生所長)
「オーナーとして関わって
 実際にLNGを作り操業している。
 実際に直接関わっているので非常にいい経験ができています。」
予期せぬ機材の不具合などトラブルもあったが
コミュニケーションを重視して乗り越えてきた日韓のエンジニアたち。
4年半の日韓の連携が実り
去年から液化天然ガスの出荷を開始した。
今後12年間 毎年200万トンを日本と韓国に輸出する計画である。
前途洋々に船出したプロジェクト。
しかし業界はいま大きな困難に直面している。
天然ガスの価格下落である。
この2年で約6割下落したのである。
そこでプロジェクトでは今 作業工程の見直しを進めている。
困難を乗り越えるため
日韓がこれまで輸入で培ってきたコスト削減のノウハウを生かしている。
インドネシアのジャングルで手を携える日韓のエンジニアたち。
両国が協力すれば今後の可能性は大きく広がると感じている。
(ドンギ・スノロLNGプラント ペク・スンギエ工務部長)
「石油メジャー抜きでも成功したので
 協力すれば他の事業も上手くいくでしょう。」
(ドンギ・スノロLNGプラント 中西和生所長)
「一緒にやっていくことに多くのメリットがあるとわかったので
 今後もこういう関係を続けていきたい。」

両国は共通の課題を抱えている。
エネルギー資源を輸入に頼っている点
急速に進む少子高齢化や低成長などである。
共通の課題の克服に向け
一緒に取り組むことはお互いにとって利点だという。
またそれぞれ異なる強みを持っていることが挙げられる。
日本の企業はこれまで高品質でよい商品多いものの
必ずしも市場のニーズに則していないと指摘されることがあった。
その点韓国企業はトップの意思決定のスピードが速く技術力も高いため
ニーズを察知し
実際の製品や契約に結びつけるスピードや突破力があり
特に新しい事業を始めるときなど
日本企業にとっては手を組むメリットが大きいという。
一方 韓国企業にとっても
日本企業には長年培った信頼・調整能力・資金力があり魅力だという。
このため両社が手を組めば
互いの強みを生かし辱点を補うことができるというわけである。
資源開発やインフラ整備など
日韓の大手企業同士の連携だけで世界20カ国余40件以上にのぼっている。
さらに大規模プロジェクトだけでなく
流通の分野でもさまざまな連携が行われている。
例えば海外で人気の日本酒の販売である。
オーストラリアのスーパーに並んでいるのは
岐阜県の小さな蔵元が製造した日本酒である。
実は販売しているのは韓国の酒造メーカーである。
この韓国のメーカーは現在世界40か国以上で日本酒を販売している。
海外販売を拡大したい日本酒メーカーにとってはその販売網は魅力で
今後も連携を強めていくとしている。
日韓がwin-winとなる経済連携は今後も広がっていくとみられる。
政治面で過去最悪と言われた時期にも
連携は直実に深まっていたからである。
インドネシアのプラントも
過去最悪と言われてきた時期に日韓の企業が建設し
操業を開始した。
両国のエンジニアたちが
「日韓は違いではなく共通点に目を向けて連携すれば
 より大きな力を発揮できる」と話していた。
日韓関係は
歴史問題などをめぐり今後も政治面では紆余曲折があるかもしれないが
経済面ではメリットがあるからこそ日韓の連携は強まっていくとみられる。
経済のみならず
安全保障や環境対策など
日韓の連携が不可欠な分野で協力できるところから協力していけば
日韓関係全体にもより前向きな雰囲気が広がっていくのではないかと思われる。



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