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“日中の懸け橋”を育てる 日本人教師

2016-07-29 07:15:00 | 報道/ニュース

7月9日 おはよう日本


経済成長が続く中国湖北省武漢。
ホテルでの仕事や会計などビジネスの実務を教える専門学校。
山田祐也さん(27)は日本の大学院で日本語教育を研究した後
2年前に青年海外協力隊の隊員として中国に赴任した。
将来 日本語を使う仕事に就きたいという10代の若者たちに日本語を教えている。
(山田祐也さん)
「ポジティブなことだけではないニュースが流れているなかで
 日本語を勉強してくれる。
 日本に行きたいと言ってくれる学生がいるのは本当にありがたいこと。」
着任以来
山田さんはこの学校の日本語教育の進め方を一から見直してきた。
当時 文法の基礎も教えないまま
ホテルでの接客に使うフレーズを暗記させようとしていたことに疑問を感じたという。
(山田祐也さん)
「初めて日本語を勉強する学生に
 “こんにちは”
 “チェックインをお願いします”
 “いらっちゃいませ。恐れ入りますがどちら様ですか。”
 いきなりやるのかと正直驚いた。」
山田さんは自ら教材を開発。
自分の声を録音してCDを製作し
生徒が1人でも学習できるようにした。
(山田祐也さん)
「教師が工夫してやっていかないと
 学生たちはしんどいことになる。」
山田さんが中国の若者たちに熱心に日本語を教えるのは自身の経験がある。
武漢に来た当初はほとんど中国語ができなかった山田さん。
「中国にすっかりなじんでいるわね。
 あなたちょっと太ったんじゃない。」
「ここのまんじゅうは本当においしいから。」
住んでいた地域の人たちが練習相手となり
上達を助けてくれた。
(山田祐也さん)
「僕が中国語を全くできない状態で来て
 看板が漢字で全く読めない。
 声に出して注文できなくても絶対嫌な顔しない。」
地元の人たちともすっかり親しくなり
今度は中国の子どもたちにお返しをしたいと思っている。
山田さんの生徒の1人 諸雪螢さん(18)。
日本で医療実習生として働きながらホテルビジネスを学ぶ予定である。
(諸雪螢さん)
「山田さんはまじめで努力家で優しい人です。
 先生の授業で日本語のレベルがすごく上がりました。」
勉強を始めて1年半
自宅でも勉強を続けてきた。
石川県のホテルで働くことになった諸さん。
これから1年の間故郷に戻ることは許されない。
中国の1人っ子政策のもと
大切に育ててきた母親の思いは複雑である。
(諸さんの母親)
「娘に隠れて昨日も泣いていました。
 独り立ちして日本で鍛えられるのもい経験です。」
出発の日
諸さんは両親に付き添われ旅立ちの駅にやって来た。
山田さんも日本に向かう5人の教え子を見送りに来ていた。
この2年間日本語を教え続けてきた生徒たち。
山田さんは激励の言葉に代えて1人1人と固い握手を交わし
送り出した。
日本に飛び立つ教え子たちとともに日中の懸け橋となりたい。
山田さんは思いを強くした。
(山田裕也さん)
「泣きそうでしたね。
 赴任してからずっと見ている子たちなので
 大きくなって帰ってくると思うので
 僕も負けないように頑張ろうと思う。」

諸さんはいま東京都内で
接客マナーやフロント業務など基本的な業務の研修を受けていて
1か月後に石川県のホテルに配属される予定である。
生徒たちを送り出した山田さんは
青年海外協力隊の人気を終えて
日本にいったん帰国した。
山田さんは今年9月から
中国の大学で日本語教師としてふたたび中国の学生に教える予定である。


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