10月8日 経済フロントライン
広島で生まれ
今や全国に展開する企業は結構ある。
100円ショップのザ・ダイソー。
あらゆる雑貨が100円で買えるという驚きの商法でまたたく間に広がった。
知る人ぞ知るデニムのトップメーカー 福山市のカイハラ。
もともと絣(かすり)を作っていたがその技術をデニムに応用。
リーバイスやユニクロなど国内外の主要ブランドに使われている。
広島企業の強さの秘密は
1つは斬新な発想力である。
東広島市にある靴下メーカーのコーポレーションパールスター。
主力商品は編み方の工夫でつま先が持ち上がる靴下である。
足の筋力が弱った高齢者がつまずかないよう開発された。
これまでは足の裏側部分にゴムをつけるのが主流だった。
この会社では
裏側を伸びやすく甲の部分を伸びにくくする編み方で
はくだけで自然につま先が上がるようにしたのである。
(コーポレーションパールスター 新宅光男社長)
「高度の技術じゃなしに逆転の発想なんですよ。
くるっと回ったら違う目線で物事が見える。
それで解決の道があると思うんですね。
『そうだったんか』というのが世の中いっぱいある。」
9年前に発売したところ
福祉分野のコンテストで優秀賞を受賞。
月に1万足売れるヒット商品になった。
そのほかにも新たな発想で細かいニーズに合わせた商品の開発を行っている。
(コーポレーションパールスター 新宅光男社長)
「独自性というんですかね
人のまねはしたくないというのはあります。
カープ球団の経営も他の球団と全く違うじゃないですか。
企業風土と言うより
広島風土にあるのかもわからないですけど。」
8月のリオ五輪でも広島の企業が存在感を示した。
バレーボールの公式球を手掛けたのは広島市のメーカー ミカサである。
ゴム製品で長年培った技術がボール作りで生かされ
世界に認められたのである。
熊野町の化粧筆。
江戸時代から続く筆づくりの技術を生かした化粧筆は
ハリウッド女優御用達となり
世界中に販路を広げている。
特殊な技術を磨き上げ世界に飛躍する企業はまだまだある。
100年以上にわたって漁業用の網を製造してきた福山市の日東製網。
網を作るのは巨大な機械。
製品の大きな特長は結び目がないこと。
ひも同士をそれぞれの間に通して編み込む。
これによりひもを結び合わせて作るよりも格段に強度が増すのである。
この会社が世界で初めて実現した。
(日東製網 小林宏朗社長)
「業界では常識ではなかったこと
非常識を導入していった。
編むという技術に関しては我々の右に出る人たちはいない。」
今この技術が思わぬところから注目されている。
JAXA宇宙航空研究開発機構である。
12月に打ち上げられる予定の宇宙輸送船「こうのとり」に
この会社が製造している金属製のひもが載せられる計画である。
地球の周りに漂う人工衛星やロケットの破片などの宇宙ゴミ。
その処理に使う長さ10キロほどの特殊なひもである。
極めて高い強度が必要になるため
この会社の技術が認められたのである。
(日東製網 小林宏朗社長)
「我々の技術を使っていただけるという要望があるかぎり挑戦していきたい。」