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親子のキャッチボール

2016-11-23 08:45:00 | 編集手帳

11月18日 編集手帳

 

 キャッチボールに興じる親子を見つめた詩が杉山平一さんにある。
一球一球に感応して言葉が紡がれていく。
〈投げる
 受ける
 声にならないもの
 言葉にならないものを
 吐き出している
 受けてなぐさめている〉

『父と子』という一編である。
ボールのやりとりを通して子供の心を受け止め、
確かめて、
そっと寄り添う。
親としての役割を果たしていくひとつの姿なのだろう。

透徹した詩句とかけ離れた現実もある。
幼子の声にならない叫びが、
誰にも届かなかったのか。
行方不明になっていた堺市の男児(4)とみられる遺体が見つかった。

逮捕された父親の供述通り、
大阪府南部の山中に埋められていたという。
父親は何度も言を翻した末、
「私の暴力で死んだ」と認めた。
虐待が繰り返されていた疑いもある。
さぞ怖くて、
苦しかったことだろう。
母親も関わっていたというから、
なおさら胸が痛む。
児童相談所も自治体も何をしていたのか。

先の詩はこう結ばれる。
〈勝ち負けもないのに
 父と子が
 キャッチボールをしている〉。
許し難い事件の戒めに、
無私の情愛でつながる親子の姿を夢想してみる。



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話題の“文庫X”とは?

2016-11-23 07:15:00 | 報道/ニュース

11月2日 おはよう日本


表紙は手描きの文章でぎっしり埋め尽くされている。
この本を薦める書店の店員が書いた文章である。
題名も著者も隠された“文庫X”と呼ばれるこの本が売れている。
(ジュンク堂書店ロフト名古屋店 遠藤愛子さん)
「先週1週間はお店のすべての本の中で一番売れました。」 
この売り方の発案者は岩手県盛岡市にある書店にいる 長江貴士さん。
“文庫X”の中身は長江さん自身が読んで感動したというノンフィクションだった。
(さわや書店フェザン店 長江貴士さん)
「本当に1人でも多くの人に呼んでもらいたいなと思える中身だったんですけれども
 ノンフィクションとなると読んでくれる読者の方がそう多くない。
 先入観を全部排除して
 手に取ってもらうようにできないかなと思って。」
表紙に書き込まれたのはこの本を読んだ長江さん自身の感動である。
この著者の生きざまにあなたは度肝を抜かれ
そして感動させられることでしょう。
あなたもこの作品と出会って欲しい。
そう切に願っています。
7月下旬“文庫エックス”として店頭に並べると
3か月間で売れたのは約3,000部。
(訪れた客)
「ちょっとなんか興味をそそられましたね。」
「“どうしても読んでほしい”って書いてあるじゃない。
 意外にあんまりない。
 こうやって“どうしても読んでほしい”と薦める本って。」
同じ本を“文庫X”として売る動きは各地に広まっている。
名古屋の書店にも上陸。
書店員の久田かおりさんは“文庫x”という売り方に
これがあったかと刺激を受けた。
(精文堂書店 中島新町店 久田かおりさん)
「これは売らなきゃいけない。
 書店員として絶対売らなきゃいけない本だという思いがあったので
 単行本として出た時に一生懸命売ろうとしたがなかなかたくさん売ることができなくて
 そういう思いがずっとあった本でした。」
久田さんも盛岡の書店の長江さんと同じように
この本への思いで本の表紙を覆った。
私は震えるほどの衝撃を受けました。
「信じられない」「まさかそんな・・・」と
何度も何度も読み返すほど
この本を読むことで
あなたの中の何かがきっと変わります。
“文庫X”はいま全国200を超える書店で取り扱われている。
各地の書店員がそれぞれの“文庫x”を作り始めたのである。
(久田かおりさん)
「“本が売れない”と言われていますけれども
 皆さん 何か面白いもの
 何か気になるような
 読んでみたい本を探していらっしゃるのではないか。
 あと1歩 背中をちょっと押すきっかけみたいなものがあれば
 もっとたくさん本は買われるし読まれるんじゃないか。」
“文庫X”は本との出会いの新たな可能性を気づかせてくれたのかもしれない。




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