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自動化進むオランダ農業

2016-11-24 07:15:00 | 報道/ニュース

11月4日 キャッチ!


農場の真ん中を進む無人の自動運搬機。
赤外線カメラとコンピューターが育てるひな鳥。
太陽の光を浴びずに生育する野菜。
世界屈指のハイテクを誇るオランダの農業は苦境に立つ農家の手本になるのか。
7,000㎡ある牛舎では300頭の乳牛が飼われている。
世話をしてるのはたった2人。
アベルマンスさんはポロシャツに皮ジャンで仕事をする。
たいていは中2階からスマートフォンを片手に牛舎を見下ろしている。
(酪農業 マルク・アベルマンスさん)
「今は牛舎の通路を清掃するロボットを操作しているところです。」
この5年で85頭から300頭い増えた牛は
1年中温室のような牛舎にいる。
(マルク・アベルマンスさん)
「温度や湿度はコンピューターで管理されていて
 晴れの日も風の日も雨の日も一定に保たれています。」
その結果病気が減って生産性が向上した。
搾乳は多い時で1日4回。
24時間稼働する5台の機械で行う。
(アベルマンスさん)
「搾乳機に入ると牛には飴のような甘い濃縮液が与えられます。
 牛はこれが好物なので自発的に搾乳機に入ってきます。
 そしてゲートが閉まると機械が乳首を洗浄し
 自動的に搾乳が始まります。」
餌の補給も自動である。
昼も夜も1時間おきに機械が行っている。
農場内を行き来して干し草を蓄える。
このハイテク設備は8,000万円と高額で
牛乳の価格が安すぎるため
原価償却にはまだ当分かかる。
こうした自動化のおかげで
オランダの酪農家が飼育する牛の数は平均でフランスの2倍にもなる。
そして生産性も上回っている。
ハイテク化は他の業種でも採用されている。
コルベールさんも規模を拡大するために導入し
2万5千羽だったニワトリを12万羽に増やした。
(養鶏業 コルベールさん)
「鶏舎は機材だらけです。
 マイクが仕掛けられていて自宅でも聞くことができます。
 問題が起きればわかるのです。」
天井に設置された赤外線カメラは常時鶏舎を監視し
コンピューターが解析して暖房や換気を行う。
(コルベールさん)
「ニワトリが鶏舎のどこに分布しているのか見てとれます。
 空いているのは寒すぎるからです。」
この装置の導入後
ニワトリの死亡率が下がって収益が上がったと言う。
生産性や効率を追求するのは農作物でも同じである。
栽培されている野菜は日光を必要とせず
LEDの光だけで成長する。
見渡す限り並べられた照明は光合成に有用な光線だけを発し
完璧な野菜を作り出す。
(農業研究者 ウーター・スターツさん)
「光と肥料を与えています。
 青い光を増やせば栄養濃度が上がります。
 従来の栽培方法よりも丈夫に育てられます。
 すべてを厳密にコントロールできるんです。」
オランダの農家は農業の魅力を犠牲にして常に技術革新を進め
いまやアメリカに次ぐ農産物輸出国の地位を得ている。

オランダの農産物輸出(2014年)
1位 花き  (世界1位)
2位 肉類 (世界4位)
3位 乳製品(世界3位)
4位 野菜 (世界1位)
5位 食用油(世界4位)
付加価値が高い品目が並んでいてこれも輸出額が多い理由になっている。
(東京大学大学院 川島博之准教授)
「オランダは西ヨーロッパの極めて小国で
 歴史の中で大国にもまれてきた。
 農業が第二次大戦後に斜陽産業となるなか生き残りを真剣に考えた結果
 私たち日本がなかなか適応できなかった合理的な農業をいち早く取り入れた。
 それが現在 輸出国になった原因。
 オランダ農業で必ず出てくるトマトは
 温室で栽培するとたくさんの量を少ない面積で生産できる。
 もちろん品種改良もしている。
 トマトに目をつけ推し進める経営戦略が見事だと思う。
 世界から情報を集めて
 どうやったら儲かるかという工夫を
 世界を見据えた農業をしていたのがオランダの人たち。
 機械化は日本の農業でもかなり進展してる。
 日本農業のジレンマなのだが
 機械化が進むということは少ない人で済むということで農業人口の減少につながる。
 それはひいては地方の人口の減少につながるので
 地方からすると合理化が進むということは反面はうれしいけれども
 半面は人が少なくなるということでジレンマに陥っている。
 1にも2にも農業の人たちにもっと経営者としての感覚
 大きな設備を導入する場合は10年20年先を見据えて
 利益を出していくんだという経営判断
 例えば1,000万円の機械を導入していくかという訓練の中で
 世界的な視野を持った経営判断ができる農家が育っていく。
 何を世界の人たちが求めているのか
 常に農家の人たちも知っていなければオランダ型農業はできない。」
オランダの農業はEU内の自由貿易によって激しい競争にさらされるなかで
独自のスタイルを築いてきたともいえる。
日本の農業もTPPへの参加などによって自由貿易が拡大するなかで
得意分野への集中や技術革新が求められていると言える。

 

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