11月1日 おはよう日本
ワインの産地山梨県では11月3日に今年の新種の販売が解禁される。
約1300年前にワインの原料となる甲州ぶどうが伝わったと言われる山梨のワイン。
山梨県杭州市にあるワインの醸造所で社長を務める井上哲秀さん。
ワイン作りを始めて40年。
しかし本業は奈良時代から約1300年続く寺の住職である。
醸造所があるのは寺の境内。
この地域では明治時代から
農家が商品として出荷できなかったぶどうを使って家ごとにワインを作り晩食を楽しんできた。
それが戦後は近所の人たちが共同でワインを作るようになる。
大善寺でも地元のブドウ農家と昭和28年にワインの醸造会社を設立。
井上住職は寺で栽培したり農家が持ち寄ったりしたぶどうを使ってワインを作り続けてきた。
(井上哲秀さん)
「我々は自分たちで飲むワインだから
昔ながらの作り方で飲めればという形で作っている。」
作るのは年間約9000本。
「ぶどう寺」と知られるようになったこの寺では参拝客に提供している。
寺での楽しみはワインだけではない。
「仏教伝来とともに日本に入ってきて
そのぶどうを行基がこちらへ持ってきて伝えた。」
ワインの原料甲州ぶどうの歴史を知ることもできるのである。
井上住職が紹介するのは寺に残る伝説である。
登場するのがぶどうを手にした薬師如来。
この寺を開いた奈良時代の僧 行基が今の山梨を訪れたときに夢に現れたと伝えられている。
その行基が病を治す薬としてこの地にぶどうを広めたのが
甲州ぶどうの始まりだと言われている。
「ぶどうの歴史を知ることができた。
“ぶどう寺”名前の由来も知ることができ
ワインの味も格別だった。」
「住職の人柄もよく話も楽しく聞けて
ふだんとは違ったワインの楽しみ方ができた。」
ワインとぶどうの歴史を楽しむことのできる大善寺はいま観光業界から注目されている。
この日 「ワインを味わいながら地域の良さを発見する旅ワインツーリズム」を運営している会社の男性が寺を訪れた。
今月のイベントに参加してもらうためである。
(ワインツーリズム運営会社 役員)
「住職がつくられたワインを
この風景のもと1杯いただくのは楽しみの1つになる。」
「まずは立ち寄って学んでから町に出るのもひとつの旅のスタイル。
すごく大切な場所だと思う。」
寺が観光の拠点になる可能性が見えてきた。
(大善寺 住職 井上哲秀さん)
「この勝沼地域ぶどうの産地が世に知られる形になるので
非常に期待している。」
住職が作るワイン。
地域の魅力を発信する大きな戦力となりそうである。