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中国 “官製住宅バブル”の行方

2016-11-10 07:15:00 | 報道/ニュース

10月18日 キャッチ!


9月に北京で開かれた住宅総合商談会。
北京ではこの1年で新築住宅価格が平均25%上昇。
さらなる値上がりを期待する多くの市民や投資家が大勢訪れていた。
(来場者)
「金融商品は金利が下がったので
 投資先として良い物件を探しています。」
開発業者も需要の高まりを背景に
強気の価格設定である。
(マンション販売担当者)
「ことし6月は平米約17万円でしたが
 9月は役30万円~38万円で分譲します。」
「実勢価格を元に1億5,000万円からと決めました。」
中国では
地方政府が高い経済成長を求めて競うように不動産開発を進めた結果
供給過剰で膨大な数のマンションが売れ残り
景気の足かせとなっている。
新たな不動産投資が冷え込んで鉄鋼などの需要も落ち込み
鉄鋼の大手が経営破たんする事態まで招いている。
こうした状況を改善しようと中国政府が打ち出したのが一連の景気刺激策だった。
(李克強首相)
「住宅在庫を減らして
 不動産市場を安定的に発展させる。」
去年3月
個人が2軒目の住宅を購入する際には
頭金の最低比率を最大70%から40%へ引き下げ
1軒目についても去年9月と今年2月に合わせて10%引き下げ
30%から20%になった。
これによってより少ない手元資金でも住宅ローンを組めるようになった。
住宅ローンに反映される政策金利も
去年だけで5回も引き下げている。
この政策に機敏に反応したのが一部の大都市である。
上海では新築住宅の価格がこの1年半で50%以上も高騰した。
上海市郊外で建設中の分譲マンションは
5,000万円~1億円余の200戸が売り出しからわずか1か月でほぼ完売したという。
(営業担当者)
「物件の魅力ですよ。
 支払いはローンの人が多いですね。」
ただこの住宅バブルを投資に利用しようとするのは一部の人々に限られていて
大都市の格差拡大を助長しているという指摘も出ている。
上海で両親をマンション暮らしをしている陳晟さんは
電機メーカーの営業で月収や役18万円と決して少なくはないが
それでも今の住宅価格の水準は自分の給料では手が出せないと言う。
(陳晟さん)
「今の住宅価格は高すぎて昇給しても変えません。
 お金持ちは裕福になり
 無い人はますます苦しくなります。」
さらに本来需要を刺激すべき地方都市の住宅市場が
依然冷え込んだままである。
黒竜江省の牡丹江市は
新築住宅の価格がこの1年で下落している。
石炭など主力の重工業が不振で構造改革を迫られるなか
景気の先行き不安から
住宅投資を手控える動きが広まっている。
市は独自の住宅ローン緩和策を今年4月に新たに導入。
外部に対しては
「都市開発は順調で懸念は無い」と強調している。
(牡丹江市 幹部)
「市には名だたるデベロッパーが集まり
 開発を手掛けていますよ。」
しかし住宅街で市民の声を聞くと
「空き部屋が多すぎて不動産会社は売り切るのが大変でしょうね。」
不動産が売れない地方都市と大都市との格差を解消しようと
中国政府は大都市をターゲットに
個人で住宅を買える数を限定するなど
一転して販売制限策の強化に踏み切った。
いち早く販売制限策を導入した都市の1つ
南部のアモイ市。
9月からアモイの戸籍を持たない市民は2軒目の購入は原則禁止となったが
不動産業界の関係者は今後の市況も強含みだと言う。
(不動産コンサルタント)
「政府は不動産市場の発展を望んでいるので
 今後も安定的に住宅価格は上がるでしょう。」
しかし専門家は
住宅価格が一方的に上がると過信するのは危険だと指摘する。
(不動産専門家 厳躍進氏)
「不動産価格が上がり続けることはありません。
 急騰すれば必ず下落します。
 不動産は鉄鋼や金融などが関わっており
 価格の暴落は多くの業界も打撃を受けます。

中国の場合
住宅などの販売用地は政府が企業などに使用権を売り渡し
その収入で地方の財源としているので
日本など先進国と比べて国の関わり度合いが大きい。
中国政府は昔も今も
不動産市場は景気をコントロールするための調整面の役目を担っていると捉えている。
しかし不動産市場を政府の思惑通り誘導するのは難しい。
中国の不動産関係者や投資家の多くは
バブル崩壊は無いと見ている。
最大の理由は中国では今後都市化が進むと考えていることである。
中国の都市化率は56%。
これは日本の昭和32年ごろとほぼ同じ水準である。
政府は5年間で70%にまで引き上げる計画で
中国政府を信じれば都市にはまだまだ農村から人口が流れ込み
住宅の需要が伸びて
バブルははじけないということになる。
一方 中国はいまや世界第2位の経済大国として
貿易や投資など世界的なプレーヤーとなったことで
国内の経済の動きと世界経済の動きが互いに影響し合うようになってきている。
不動産に関しても今後大都市で価格が急落したり
地方のプロジェクトの破たんが続けば
世界が中国経済の先行きを不安視し
それが中国国内にも伝わって不動産価格の急落全体の急落を招く懸念もある。
不動産バブルに踊る中国のリスクは軽視はできない。
中国では9月から10月にかけて
約20の主要都市が新たに販売抑制政策を打ち出した。
しかし肝心の地方の住宅在庫は依然高止まりしているとされていて
地域間の格差の解消は簡単ではない。
政府が目指す都市化も
地方で特色ある成長産業を生み出して企業を育てることができなければ
働く場が無く
地方の都市から人口が流出してしまう。
中国の目論見どうりいくかどうかは不透明である。
景気が減速傾向にあるなか
現在の不動産市場の活況が成長目標の維持に貢献したという見方だが
不動産に足元の成長を頼りすぎると
将来の成長に向けて進めている構造改革が遅れるという指摘もあるだけに
不動産市場の動向は今後の中国経済にとって重要なカギとなる。



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