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イスラエル流イノベーションとは 

2016-11-11 07:15:00 | 報道/ニュース

10月19日 キャッチ!


イスラエルはここ数年はイノベーション大国として注目されている。
イノベーションを利用して設立され急成長を目指す企業のことをスタートアップ企業というが
イスラエルでは新規のスタートアップ企業の数は年間1,000社以上にのぼる。
GDP国内総生産に占める研究開発投資額の割合は
4,21%と世界1位。
グーグルなど名だたるIT企業が拠点を置き
アマゾンの電子書籍サービス キンドルもイスラエルで開発されたという。

イスラエルの商業の中心 テルアビブ。
9月 年に1度のスタートアップ企業の祭典が開催された。
町の大通りそのものが展示場になり
企業がブースを設ける。
腕に巻いたブレスレットで筋肉の動きを感知して動かす義手。
3Dプリンターでも作ることができ価格を抑えられるのが特徴である。
スマートフォンで入力した文字をレーダーで特殊な板に表示する装置。
失敗を恐れずアイデアをまず形にするイスラエルらしい様々な試作品が並ぶ。
ことし海外からこの祭典を視察に訪れたのは50か国の2、700人。
イスラエル発のイノベーションはいまや世界の注目も的である。
近年 イスラエルを訪問する日本企業も目立ってきている。
9月 日本の大企業などの幹部が作るグループが
イスラエル最大の工科大学 テクにオン工科大学を訪れた。
大学とスタートアップ企業
そして世界最先端の技術を持つ軍が密接に関わり合い
それを政府が後押しするのがイスラエルの強み。
大学はイノベーションに不可欠なエンジンの1つになっている。
今回参加したのは電子機器メーカーから観光まで幅広い業種の20社。
なぜイスラエルでイノベーションが起きるのか。
そのからくりを探るのが目的である。
参加した1人 菊田幸男さんは
福島県に本社を置くカーナビなどの電子機器メーカーで
新たな事業の開発を担当する理事を務めている。
(電子機器メーカー理事 菊田幸男さん)
「イノベーションの方法を学ぶためというのがひとつ。
 もうひとつはイスラエルのスタートアップが有用だと聞いているので
 そういうところを探すことがもう一つの理由です。」
一行が臨んだのは大学が各国の視察団に提供している数日間のプログラム
いわばイノベーション講座である。
(講師)
「“イノベーションとは何か”から始めたいと思います。」
プログラムではイノベーションの定義やノウハウに加え
人工知能を支える最先端の研究についてなど幅広い分野が扱われる。
たとえば「新しいアイデアを生み出すためのワークショップ」。
参加者は4つのグループに分かれ
それぞれ異なる方法でアイデアを出す。
Aチームは各自がアイデアを箇条書きして最後のまとめる方法
Bチームは時間いっぱい自由に話し合う「ブレインストーミング」
Cチームは話し合いはせず各自がアイデアを書き改善を加筆する筆談方式
Dチームは時間の半分を使って各自が箇条書きしそれをもとに話し合う
結果 最も多くのアイデアが出たのはDチーム。
最下位はBチーム。
実は日本でも一般的なブレインストーム。
ほかの意見に迎合してしまうなど欠点があるからだという。
他人の前で意見を控えがちな日本人に対し
講師はさらに工夫が必要だと指摘した。
(講師)
「グローバル社会では外国人と付き合う必要があります。
 誰もが日本人のような“礼儀正しさ”を共有しているわけではありません。」
外国人とともにイノベーションを起こすには何がカギになるのか。
参加者の自問自答が続く。
(電子機器メーカー理事 菊田幸男さん)
「日本の企業と言うのはイスラエルと同じにはならない。
 そこをどうすれば変わるんだろう。」
そんな参加者たちをもっとも強く刺激したのはイスラエルの起業家たちとの交流だった。
世界市場を見据え
型破りな事業を提案する彼らの発想と熱意は
連携の可能性を感じさせるものだったという。
5日間の日程を終えた参加者たち。
異なる文化を乗り越えてでも
ともにイノベーションを起こそうという決意を持つことこそが必要だという声が多く聞かれた。
(参加者)
「問題の答えは私達の心の中にあるのを
 出会ったイスラエル人が見せてくれた。」
(電子機器メーカー理事 菊田幸男さん)
「スタートアップの存在や役割は
 単に新しい技術を満たすクリエーターだけではない。
 一緒になってクリエートしていく存在だと改めてわかった。」

日本では紛争などのイメージからイスラエルは敬遠されがちだったが
2014年に日本のベンチャー企業がイスラエルに拠点を新設し
治安情報など企業の求める情報の発信が大幅に増えた。
2015年には安倍総理がイスラエルを訪問し
官民ともにイスラエルとの関係が強化された。
企業側の変化もある。
日本では伝統的にすべて自社で開発を行い
それが良さとされてきた。
しかしここにきて
最先端のスタートアップ企業と組まなければ
世界的な競争についていけないという危機感が高まってきている。
日本企業によるアメリカのシリコンバレー進出が一段落するなかで
次のシリコンバレーを探そうという動きが重なったという側面もある。
砂漠の土地に今の繁栄を築いたお国柄で
イスラエルは0から1を生み出すことに長けている国だと言われている。
日本は1を100に増やすのが得意な国である。
イスラエルが斬新なアイデアを出し
日本がそれに磨きをかけて量産する
そういった相性の良さが期待されている。
日本政府は今後
サイバーセキュリティーの面でもイスラエル政府と連携を強化していく方針である。
民間でもイスラエル進出を計画している企業もあり
経済関係の強化は当面続く流れだと言える。
9月の国連総会ではイスラエルのネタニヤフ首相が
日本との経済関係の強化されていることを誇らしげに述べる場面があった。
しかしパレスチナ問題での国際的な批判をかわすためのトリックに使われたのである。
民間レベルでの経済関係が今後強化されていくのであれば
日本政府がイスラエル政府に対して
国際法違反である入植政策や
パレスチナ人に対する人権侵害などについて
毅然と言うべきことを言い続けていく。
それが今後ますます重要になっていく。




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