10月11日 国際報道
リオデジャネイロ五輪で大きく躍進したのがイギリスである。
獲得したメダルの総数は67個。
自国で開催したロンドン大会を上回った。
成功のカギは選択と集中。
強化費を専門の機関が徹底した成果主義に基づいて配分している。
強化対象になるのは「メダル確実」「メダル有望」「国際レベル」の3つで
ランクの応じてその額が変わる。
配分にあたっては
国際大会の成績や選手の育成計画など
数多くの項目を厳しくチェック。
メダルが期待できるボートや自転車には多額の強化費を出す一方
望み無しと判断した競技は強化費を容赦なくカットする。
(イギリス 選手の強化担当機関)
「8年以内にメダル獲得の可能性を持った選手や競技に絞って
重点的に投資します。」
強化費の7割は国営宝くじの収益から出ている。
税金に比べ
国民からの理解を得やすいこともあって
強化費はこの20年で13倍の350億円まで拡大。
これに伴ってメダルの数も大幅に増えた。
強化費によって作られたトレーニング施設。
トレーニングルームは気温や湿度、酸素の量を調節することができ
大会が開催される場所の条件に合わせて練習ができる。
施設には最新のスポーツ衣料や化学を取り入れた設備を完備。
各分野の専門家も常駐している。
この日練習していたのは今回4位となった7人制ラグビーの女子チーム。
筋力トレーニングの専属コーチが付き
1人1人に合わせたメニューをこなす。
選手は生活費を支給され
専門のコーチや医療スタッフのサポートも受けられる。
(7人制ラグビー選手)
「理学療法や医療サポートもあり
充実の設備や恵まれた環境で練習に打ち込めます。」
今回この施設からだけで26人のメダリストを輩出。
同様の施設が国内に10か所あり
メダルを獲得した選手の93%が利用したという。
(施設担当者)
「ただお金をかければいいわけではありません。
イギリスがうまくいっているのは
お金をどこにどう使うか知っているからです。」
一方 メダル至上主義ともいえる戦略は
弱者切り捨てにつながるという不満も出ている。
成績が低迷し活躍の望みがないと判断されたバスケットボールは
受け取っていた年間数億円の強化費を全額カットされた。
(英国バスケットボール連盟 広報責任者)
「勝てるチームを作るには助成が不可欠です。
私たちは資金がなく苦しんでいます。」
それでもイギリスは次の東京大会でメダルの獲得数をさらに増やすため
この戦略を徹底していく方針である。
(イギリス 選手強化担当機関)
「さらなる高みのために終わりはありません。
今のシステムをさらに改善し発展させます。」
メダル獲得に向けイギリスが進める選択と集中。
イギリスのスポーツ界は結果を厳しく求められている。