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米 南部で台頭する白人至上主義勢力

2016-11-07 07:15:00 | 報道/ニュース

10月11日 キャッチ!


アメリカの人種別の人口比は
1965年 白人は84%と圧倒的多数だった。
2015年 白人は62%
      黒人18%、ヒスパニック系12%、アジア系6%となっている。
50年後の2065年ごろには白人の比率が50%を切ると予測されている。
共和党のトランプ氏は選挙戦終盤になって
黒人やヒスパニックなどマイノリティーにも寛容な戦略を打ち出しているが
当初はメキシコ人など
移民受け入れの厳格化を訴えて躍進へとつなげてきた。
この背景には
多数派から転落していく白人の危機感があるとも指摘されている。
そして今アメリカ南部では白人の危機感が高じて
人種差別的な白人至上主義の復活を目指す極端な動きにもつながっている。

「トランプ候補はテレビ討論会で健闘。
 支持率も上がりました。」
アメリカ南部ルイジアナ州でラジオ番組を毎朝放送しているデービッド・デューク氏。
「白人の権利を復活させるにはトランプ氏が理想の大統領だ」と
リスナーに熱心に訴えている。
「我々の祖先が築いたこの国で白人は民族浄化されようとしています。
 アメリカ最大の問題です。」
デューク氏は1970年代
白人の秘密結社を率いていた。
KKK=クー・クラックス・クラン 白人至上主義の団体である。
黒人差別が激しい1900年代前半には
黒人の殺人やリンチを繰り返してきたKKK。
アメリカ南部を中心に黒人たちを恐怖に陥れてきた。
戦後は人権意識の高まりとともに会員数が激減したが
今も各地でひそかに活動している。
約35年前にKKKを脱退したデューク氏。
近年は政治活動を控えてきたが
今年 大統領選挙と一緒に行われる上院議員選に立候補を表明した。
そのきっかけはトランプ氏の躍進だった。
国境に壁を作り厳格な移民政策を掲げるトランプ氏とともに当選し
白人の国アメリカを取り戻すと主張している。
(デービッド・デューク氏)
「この国の独立と表現の自由を保障する憲法はすべて白人によって作られました。
 アメリカ国民はトランプ氏を
 私のように
  アメリカ人の価値のために起ち上がる人だと見てるんです。」
しかしデューク氏の立候補で
地元ルイジアナ州では白人と黒人の間で不穏な空気が流れている。
9月には黒人グループとデューク氏率いる白人グループが
第7代大統領アンドリュー・ジャクソンの銅像をめぐって衝突。
黒人を奴隷にした農場主だったとして
黒人グループが銅像の撤去を求めたのに対し
デューク氏のグループは猛反発したのである。
「黒人との戦いで
 白人至上主義のデュークを勝利させるわけにはいかないわ。」
一連のこうした動きに強い危機感を訴えているのが
黒人初の大統領オバマ大統領とその後継のクリントン氏である。
クリントン氏はデューク氏達白人至上主義者が
オルト・ライト=もうひとつの右派勢力と名乗り 
トランプ氏の陣営に深く入り込んでいると指摘している。
(民主党 クリントン候補)
「オルト・ライトは新興の人種差別主義勢力で
 トランプ陣営のキャンペーンに深く関わっています。」
クリントン氏の陣営は
白人至上主義者を明確に批判しないトランプ氏を当選させるわけにはいかないと訴えている。
クリントン氏が指摘するオルト・ライト。
インターネット上の掲示板を舞台に自らの主張を展開する
比較的若者たちが多い勢力と見られている。
(シンクタンク研究員 R・ポヌル氏)
「オルト・ライトは人種による階層を信じている。
 白人がトップで
 アジア人、黒人、そしてヒスパニックが底辺だ。」
上院議員に立候補している元KKKのデューク氏。
オルト・ライトへの支持を広げようと
いまソーシャルメディアを通じて自らの主張を拡散している。
黒人の危機感をあおり
自分とトランプ氏を当選させるよう呼びかけている。
(デービッド・デューク氏)
「オルト・ライトは大きな力だ。
 私はもう60代だが
 若い彼らが私の思想を受け継ぐのは素晴らしい。
 他民族の社会となり対立と嫌悪が満ちている。
 白人はまだ人口の65%もいる。
 白人の存続に専念する政権なら
 我々は復活できる。」

白人の世界を取り戻したいと考える人は
一部の右派性勢力で影響力が限定的である。
デューク氏もトランプ旋風に乗って上院議員の当選を目指しているが
世論調査では支持は低く
当選は難しいとみられている。
しかし気になるデータもある。
KKKなどを監視している団体によると
KKKのメンバーは全米で5,000~8,000人と推測されているが
この1年で数百人増えたとか
KKKの支部や関連組織も倍増したという。
そして増加の一因としてあげられているのが
共和党のトランプ氏がヒスパニック系やイスラム教徒に対して繰り返した差別的な発言である。
多民族国家アメリカでは今までは人種や宗教による差別的な発言はタブーだった。
「ポリティカル・コレクトネス」と呼ばれ
政治的に正しい発言が奨励されてきたのである。
しかしトランプ氏はこのポリティカル・コレクトネスを
「本音を隠す偽善だ」と批判。
その結果 差別的な発言が認められる雰囲気が作られ
白人至上主義者の助長にもつながっているのではないかと見られている。
デューク氏が「大統領はトランプ氏、上院議員は自分」と
セットで選挙運動を展開しているのに対し
トランプ氏は一線を画している。
さすがに元KKKのリーダーと連携すれば
共和党の主流派や穏健派の支持を失うだけに
無視する構えである。
ただトランプ氏を支える熱狂的な支持者の中には
デューク氏のように白人の国を取り戻したいと考えている人は少なくない。
トランプ氏が掲げる「Make America Great Again」というキャッチフレーズは
「アメリカを再び偉大な国にする」だが
隠れたメッセージは「アメリカを再び白人の国にする」だと話す人もいる。
初の黒人大統領が誕生して8年となるが
人種の融和は進まず
むしろ分断が深まっているとすら感じる。
       

  

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