10月14日 国際報道
1992年のスペイン・バルセロナ大会。
四半世紀近くが経った今も
開催の遺産が高く評価されている。
パウラ・アリアスさん(16)。
テニスの4大大会の1つ全仏オープン・ジュニアの女子ダブルスで今年優勝。
スペインで将来をもっとも期待される選手の1人である。
アリアスさんが練習をしているのは
バルセロナ大会に合わせて建設されたトレーニングセンターである。
この施設では選手たちが普通の高校と同じ内容の授業を受けられる。
医療施設や寄宿舎などもあり
若手選手の育成の育成の拠点になっている。
(パウラ・アリアスさん)
「学業とトレーニングの両立を支援してくれています。
おかげでテニスに打ち込めます。」
大会の施設は観光にも活用されている。
ヨット競技の会場だった港には
ヨットハーバーとビーチを整備。
新たな観光スポットとなり
ここを訪れる人の数は年間830万人と
大会直後に比べ4倍以上に増えた。
バルセロナ大会の最大の特徴は
都市の形を大きく変えたことである。
バルセロナのビーチのそばにあるマンション群は
すべてオリンピックのとき選手村として使われていた建物である。
建物は改修されて2,000戸分の住宅に。
ひとつの街が作られた。
当時の建設計画に加わった建築士のフランセス・グアルさん。
「オリンピックはバルセロナのイメージを一新するチャンスになりました。」
グアルさんが重視したのはアクセスの改善である。
オリンピック開催以前は海岸部と都市部を結ぶ大動脈が無かったが
国が用地を買い取り
海岸近くの線路は地下に移すとともに環状道路が整備。
これによって新たな街と中心部がつながり
新しいバルセロナの姿を作り出した。
(建築士 フランセス・グアルさん)
「選手村の建設によって都市と海をつなぐことに成功しました。
五輪の遺産だった選手村は地区の1つとなり
市の財産となったのです。」