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A350 初の試験飛行 市場めぐり熾烈な競争

2013-06-17 08:05:29 | 報道/ニュース
6月15日 おはよう日本

エアバスが開発を進める最新鋭の中型旅客機A350。
エアバスの本社があるフランス南部のトゥールーズの空港でテストフライトに臨み
4時間あまりにわたって空を飛んだ。
A350の特徴は期待の軽量化である。
機体や主翼など多くの部分に炭素繊維の複合材を使っている。
また最新型のエンジンを搭載し燃費が向上している。
さらに客室が広いことも売りにしていて
世界各地の航空会社から600機を超える受注を獲得している。
(エアバス社 ファブリス・ブレジェ社長)
「長距離を飛べる新しい飛行機で世界最先端の技術を備えている。
 いまの航空会社が求めているのはまさにこのような飛行機であり
 日本の大手航空会社も興味を持ってくれると思う。」
A350機のライバルにあたるのが一足早く一昨年市場に投入されたボーイング787型機。
そのエアバスとボーイングの開発競争の背景にあるのが
民間の航空機市場をめぐる両社の熾烈なシェア争いである。
日本航空機開発協会によると世界全体での民間機の受注機数は
2000年まではボーイングがエアバスを上回っていたが
その後は激しく競い合う状態が続いている。
両社が注目したのは中型機の分野だった。
燃料費の高騰などから低燃費で
しかも航続距離が長く国際線の運航可能な旅客機の需要が高まっているからである。
開発競争が激しさを増す中で課題となってきたのが安全性である。
ボーイング787型機は今年に入りリチウムイオンバッテリーのトラブルが発生。
バッテリーシステムの改修を終え今月から全日空と日本航空が定期便の運航を再開させた。
これに対してエアバスは当面は実績のある従来型バッテリーを使用することを決め
A350のシェアを伸ばそうとしている。
エアバスは今後1年余かけてテストフライトを重ねた上で
来年後半に中東カタールの航空会社に1号機を納入する予定である。
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経済成長続く東欧 原発めぐる状況は

2013-06-16 08:18:04 | 報道/ニュース
6月16日 おはよう日本

安倍総理大臣はG8サミット主要国首脳会議や東ヨーロッパ4か国との首脳会談に臨むため
最初の訪問国ポーランドに到着した。
日本時間の今夜東ヨーロッパ4か国との初めての首脳会談に臨み
安全保障や経済面での関係強化を確認し
首脳間を含むハイレベルの会談を定期的に行うことなどを盛り込んだ共同声明を発表することにしている。

ポーランドは信用不安がくすぶるなかでも海外からの投資が盛んである。
チェルノブイリ原発の事故のあと原発建設を凍結。
原発は1基もない。
電力の80%以上を石炭火力発電でまかなっている。
そのポーランドでは今経済成長が続き電力の安定供給が課題になっている。
そこで政府は安全性を高めた最新型の原発の導入を目指している。
早ければ2020年にも2か所で建設を始める予定である。
(ポーランド経財相 ハナ・ロヤノフスカ原発担当次官)
「電力の安定供給や新たな電源構成の実現に
 原発はとても重要な役割を果たすでしょう。」
日本をはじめ各国が関心を示すポーランドの原発建設。
しかし建設候補地の住民には反発が広がっている。
候補地近くの村では原発反対の表示をいたるところで目にする。
村でペンションを経営するタデウシュ・パストゥーシャクさん。
ペンションはバルト海沿いの保養地として夏場は多くの宿泊客でにぎわっていた。
しかし村から5キロのところが建設候補地になったことで状況が一変したと言う。
(ペンション経営 タデウシュ・パストゥーシャクさん)
「見てください。
 7月と8月の予約はほとんどありません。
 キャンセルです。
 これもこれも。」
建設候補地となってからパストゥーシャクさんのペンションでの収入は半分に落ち込んだ。
土地の価格の半分以下に下落。
(ペンション経営 タデウシュ・パストゥーシャクさん)
「客に原発建設後も来てくれますかと聞くと『もう来ません』という答えばかり。
 政府は原発建設計画を白紙にしてほしい。」
全国規模の世論調査でも賛否はほぼ五分五分で世論は真っ二つに割れている。
「なぜ原発がだめなのでしょう。
 原発は安価なエネルギーと聞いている。」
「原発は多くのリスクも抱えている。
 チェルノブイリ そして最近日本で起きたことがいい例。」

6基の原子炉が稼働している隣国のチェコ。
チェコ政府は南西部のテメリン原発でさらに2基の原子炉増設を計画。
落札先はこの夏にも決まる予定で
東芝の参加にあるアメリカの企業とロシアの国営企業が受注を競い合っている。
しかし増設計画に対しては政府の閣僚から疑問の声も出ている。
(チェコ ガロウセク財務相)
「テメリン原発の増設は経済的に見て非常にリスクが高い。」
費用は日本円で約1兆円。
電力の価格が下落傾向になるなか
将来 建設費が回収できるのか見通しが立たないからである。

原発建設の是非に揺れる東ヨーロッパ諸国。
電力の安定確保と安全性、コストの狭間で揺れている。 
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そして祈りは果たされた

2013-06-15 12:42:12 | 編集手帳
6月5日 よみうり寸評

MF本田圭佑の左足に日本全国のファンの目が集まった。
祈る思いが込められていた。
入れてくれ!

サッカーの2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会出場のキップをかけてPKをける瞬間だ。
左足を思い切り振ってゴールのど真ん中にけり込んだ。
本田のその度胸に驚嘆する。

サッカーは〈宗教儀式〉で、
その試合は祭礼、
スタジアムは神殿、
フィールドの選手は若き神々という例えがある。
オーバーだと思うが、
本田の足に祈りを込めたときは、
うなずけた。
そして祈りは果たされた。

4日夜のオーストラリア戦、
埼玉スタジアムは沸きに沸いた。
1点ビハインドの試合終了間際で感動もひとしお。
同点引き分けに持ち込みW杯出場が決まった。

20年前の予選敗退が〈ドーハの悲劇〉なら、
今度は〈さいたまの歓喜〉だ。
歓喜は全国に広がった。
試合が祭礼ならお祭り騒ぎのファンはさしずめ氏子だろう。

「みなさんは12番目の選手。
 フェアプレーで」と東京・渋谷で交通整理のお巡りさん。
これもよかった。
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やさしい梅雨であれ

2013-06-15 08:03:52 | 編集手帳
5月31日 編集手帳

<国道沿いの二階の部屋では 目覚めるときに天気がわかる…>。
南こうせつさんが歌った『今日は雨』(詞・喜多條忠、曲・南こうせつ)である。
<今日は雨 アスファルトに流れる雨を大きな車が轢ひいて走る>
と続く。

窓に吹きつける音ではなく、屋根を叩たたく音でもない。
平年よりも10日早く梅雨入りした関東地方ではきのう、
歌のように、
アスファルトとタイヤと雨が織りなす静かな合奏で夜が明けた。

落雷や集中豪雨をともなう“暴れ梅雨”になることもめずらしくない昨今である。
しおらしく登場しても、
油断はならない。

昔の人は雨音を耳の法楽にしたという。
平安京の清涼殿は、檜皮葺ひわだぶきの庇ひさしとは別に、
雨音を響かせるための板庇いたびさしを設けていたと聞く。
古人の風流を現代に受け継いでいるのは幼い子供たちのようで、
傘を〈雨の音がよく聞こえる機械〉と表現した詩を読んだことがある。
楽しい機械に耳をすますことのできるような、
災害と無縁の梅雨であればいいのだが、今年はどうだろう。

震災以降、眉根まゆねを寄せずには聞けない話題が身辺を離れず、
誰の耳も疲れていよう。鼓膜にやさしい梅雨であれ。
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ILC国際リニアコライダー 日本が誘致を

2013-06-14 08:19:27 | 報道/ニュース
6月14日 おはよう日本

2020年代の完成を目指すILC国際リニアコライダー。
完成すればヒックス粒子などの性質を測定することも可能になり
宇宙の謎にさらに迫ると期待されている。
その候補地として注目されているのが日本。
その理由は。

ILS建設を推進するイギリス人のリン・エバンスさんは日本への期待を示した。
(リニアコライダー コラボレーション リン・エバンスさん)
「日本にはリーダーシップを発揮してもらい国際的な研究所を作ってほしい。」
ILCは全長30キロにもなる「加速器」。
直線型の内部のトンネルの中では電子と陽電子が同じ速さで衝突。
ヒックス粒子などの粒子が飛び出すのをとらえその性質をさらに詳しく調べることができるという。
ILCの日本以外の候補地はロシア・ドイツ・アメリカ・スイス。
この中で「信頼性が高い」と日本が期待を集めている。
(リニアコライダー コラボレーション リン・エバンスさん)
「以前にも大きなプロジェクトが建設が始まってから取り消しになってしまうことがあった。
 信頼のおけるパートナーが必要です。
 日本は技術的にも知的にも能力があってしかも信頼のおける国だ。」
日本の候補地は東北の北上山地と九州の脊振山地の2つ。
ILCを受け入れると8,300億円がかかると試算され
国がその半額を負担することになっている。
それでもエバンスさんは大きなメリットがあると主張している。
(リン・エバンスさん)
「最先端の研究所。
 世界の人たちがそれを利用する。
 大変誇りに思うべきこと。
 いろいろな意味で日本にとって素晴らしい投資になる。」




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世界農業遺産認定で広がる保存活動

2013-06-13 08:43:34 | 報道/ニュース
5月30日 おはよう日本

FAO国連食糧農業機関が認定する世界農業遺産。
5月29日に日本から新たに熊本、静岡、大分の3つの県の地域が認定された。
一昨年認定されたのが美しい棚田が広がる能登の里山里里海である。
認定をきっかけに保存活動が大きく広がって
貴重な景観や文化を守っていく先進事例として注目されている。

29日に開かれた世界農業遺産の会議で能登半島の代表は
千枚田を含む里山と里海を維持するためにも多くの人の支えが必要だと強調した。
(能登半島の代表 泉谷満寿裕珠洲市市長)
「消費者やサポーターの支援を得ることによって持続可能なのとの実現を目指す。」
なぜ消費者やサポーターの力が必要なのか。
平地が少ないこの地域では江戸時代中期から斜面に田んぼが作られてきた。
その後明治時代の開拓活動で約千枚の田んぼが並ぶ現在の姿になったとされている。
地元の人が田んぼの神様をもてなし豊作を祈願する2月に行われる伝統行事。
こうした独特の文化も育まれている。
美しい景観と文化が評価されて世界農業遺産に認定された千枚田を含む能登の里山里海。
高齢化や後継者不足で耕作を放棄する農家が相次ぎ
千枚田を所有する農家17軒のうち実際に耕作を続けているのはわずか3軒。
そのままでは維持できない状況に追い込まれていた。
認定前のピーク時には荒れた田んぼが全体の40%を占めていた。
そこで動いたのが地域のサポーターたちだった。
作業にあたったのは周辺地域の農家が作るグループである。
世界農業遺産認定をきっかけに去年から競作放棄地を復活させる活動を始めたのである。
(周辺農家のグループ代表 堂前助之新さん)
「日本の原風景ともいえるこの千枚田を今まで以上に丁寧に耕作していかなければならない。
 強い思いに駆られた。」
参加メンバーも当初の4人から30人ほどに増え
この2年で24枚の田んぼを復活させ田植えから収穫まで管理にあたっている。
地域以外の人たちからも支援が広がった。
世界農業遺産に認定されたこと千枚田を一目見ようと
去年は認定前に比べて約40パーセント多い46万人が訪れた。
「すばらしいなと思う。」
「迫力がある。
 残ってほしい景色。」
知名度が上がったことで
平成19年から行なっている棚田のオーナー制度に参加する人が大幅に増えた。
オーナーが払う会費は地元の農家などが田んぼを管理維持していく費用に使われ
オーナーには収穫された米が届けられる。
世界農業遺産になって今年は去年のオーナーの1,6倍にあたる121組に増えた。
こうした取り組みの結果 
今年耕作されなかった田んぼは全体の2%程度の25枚を残すのみとなった。
しかし課題も残っている。
輪島市では基金を作って保存活動を支援しているが
世界農業遺産ではFAOや国からは財政的な支援は一切ない。
耕作を続ける農家は減る一方で厳しい状況に変わりはなく
景観と文化を守るためにも消費者やサポーターの支えは欠かせない。
(堂前さん)
「育成していく 教えていくことが重要。
 未来の子どもたちに残していきたい。」

世界農業遺産への認定をきっかけにかつての姿を取り戻しつつある千枚田。
どう後世に引き継いでいくか
挑戦が続いている。
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難民が伝える祖国の味

2013-06-12 08:05:33 | 報道/ニュース
5月29日 おはよう日本

兵庫県の関西学院大学の学生食堂に
難民の人たちが祖国の味を再現したレシピ集がもとになったメニューが期間限定で登場した。
日本が1981年に難民条約に加盟して以降
難民と認定した数は約500人。
人道的な配慮から在留を認めた数も約2,100人にとどまっている。
祖国の味がメニューに登場した陰には
もっと難民に関心を持ってほしいというひとりの学生の思いがあった。

約2万3,000人の学生が学ぶ関西学院大学。
昼時になると学食は安くてボリュームのある料理を求める学生で行列ができる。
色鮮やかな野菜をレモンや酢でさっぱり仕上げたアゼルバイジャンの“さっぱり味のカラフルサラダ”。
香辛料をたっぷりと効かせ甘辛く炒めたスリランカの“鶏肉と野菜のスパイシー炒め”。
他にもミャンマーの家庭料理など登場したメニューは5種類。
大好評で初日は用意したメニューのほとんどが売り切れた。
(学生)
「みずみずしい感じ。
 食べやすい。」
「さっぱりしていて朝食のメニューには非常にいい。」
ミャンマー人のテュアン・シャンカイさん(19)は
大学が6年前に設けた難民を対象とする推薦入学制度で入学した。
シャンカイさんはこの企画を実現させようと半年前から活動をしてきた。
(テュアン・シャンカイさん)
「食を通じた難民支援なので少しでも難民を知ってほしいのが根底の第一の目標。
 まずは第一ステップを超えられたらいい。」
25年前 政権を握っていた軍部とスー・チー氏ら民主化を求める人々が激しく対立。
軍による迫害を恐れた人々が国外へと逃れた。
民主化運動に参加していたシャンカイさんの両親も親戚を頼って日本にやってきた。
シャンカイさんはその2年後に生まれた。
慣れない土地で懸命に働く両親を見て育った。
大学入学後 難民のことを多くの人に伝える活動を始めたシャンカイさんだが
日本の学生があまりに難民について知らないことにショックを受けたという。
(テュアン・シャンカイさん)
「僕は難民ですと言ったところ
 『ネットカフェで寝泊まりしてるんですか』と言われ
 それはちょっと違うよと感じつつかなり落胆した。」
そんなときシャンカイさんは1冊の本と出会った。
認定NPO法人難民支援協会が発行した“海を渡った故郷の味”。
15の国と地域の難民が伝える45のレシピが掲載されている。
なかでもシャンカイさんが目にとめたのが“きなこ入りビルマ風サラダうどん”。
幼いころから母親が作った料理である。
シャンカイさんは食を通じてなら難民のことを伝えられるのではないかと考えた。
(シャンカイさん)
「難民について知るときはたいてい講演会になると思うが
 それを食に変えることでその一歩が少しでも気軽になると考えています。」
メニュー公開の2週間前 シャンカイさんは大学で行われた試食会に参加した。
シャンカイさんの働きかけを受けて準備を進めてきた大学側は
半年前からメニューの種類や料理の味を検討してきた。
(関西学院大学 生協 新井豊料理長)
「今回 難民のことを知ってもらうことが主旨なので
 それが少しでも役立てればと思う。」
そして5日間の期間限定で“難民が伝える祖国の味”のメニューが登場した。
シャンカイさんは学生の反応が気になる。
「どうですか。
 食べてみて。」
「意外と辛くて
 でもきなこのまろやかさとマッチングしている感じがする。」
「ぜひ読んでみてください。」
料理に添えて渡すパンフレットには日本に暮らす難民について書かれている。
(学生)
「料理を通してですが安眠を知るきっかけのひとつになると思う。」
「この企画を機に僕もちょっと考えていけたらと思う。」
(シャンカイさん)
「当初 思っていた以上に難民について知りたいという学生が多くびっくりしていますし
 こういう食を通じ導入したことにより人の考えが変わったということでは
 すごくこのメニューをやってよかったなと思う。」

今回のメニューは6月の後半に再び学生食堂に登場することが決まっている。

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大統領選に見るイラン最新情報

2013-06-11 08:02:39 | 海外ネットワーク
6月9日 NHK海外ネットワーク

欧米諸国との対立を深めるイラン。
アフマディネジャド大統領は核開発を推し進め対決姿勢を貫いてきた。
そのイランで次の大統領を選ぶ選挙が行われる。
(保守強硬派の候補)
「アメリカの支配に対抗していく。」
保守強硬派が台頭するなか欧米による経済制裁は市民生活を直撃。
国民の不満が高まっている。
(改革派が支持する候補)
「この国を危機から守る!」
14日に投票が行われるイランの大統領選挙。
過激な発言で知られる現職のアフマディネジャド大統領は憲法で三選が禁じられているために
今回の選挙で新しい大統領が誕生することになる。
立候補開始直後から大勢の人が訪れた。
なかには花束を持ったり
国旗を身につけた人たち
イランの映画俳優になりきった人などユニークな人の姿も見られた。
立候補を届け出た人の数は686人。
ただ正式な候補者として認められたのはわずか8人。
聖職者などによる事前審査でほとんどが失格とされた。
失格となった人の中には欧米との関係改善を模索した元大統領など有力な候補者も含まれ
最高指導者のハーメネイー師の意向が働いたとみられている。
欧米との対決路線の継続を訴える保守強硬派が4人
関係改善を目指す改革派と穏健派が2人となっている。

体制批判が許されないイランでは抗議行動は最近起きていなかったが
6月4日 イラン中部で大規模な抗議行動が起きた。
厳しい経済状況に国民の不満が高まっていることがうかがえる。
「国民はインフレで何も買えない。」
「根本的な問題として政権を運営する政治家に能力がない。」
改革派の選挙運動にかかわっているハメッド・シャフィエさん。
大規模な反政府デモにつながった4年前の大統領選挙後
治安当局に拘束され3か月近く刑務所に入れられた。
シャフィエさんは当局に最もマークされている改革派系の新聞社で編集長を務めている。
オフィスにはケネディ元大統領やオバマ大統領の写真が貼られていた。
(ハメッド・シャフィエさん)
「実は改革派の政治家たちの写真があったが
 今朝 すべてなくなっていた。」
いつの間にか剥がされていた写真。
シャフィエさんは活動をやめろという治安当局からの警告だとみている。
言論統制が厳しさを増しシャフィエさんは国の将来に危機感を募らせている。
(ハメッド・シャフィエさん)
「あそこに座っていた経済部の記者
 この席に座っていた社会部の記者
 さらに文化部の記者1人と政治部の記者2人
 みんな拘束された。
 このまま改革派の声が通らなければこの国はさらに孤立し明るい未来なんて期待できない。」
長く沈黙を強いられてきた改革派の間でいま期待を背負っている候補者がいる。
改革派のハータニ―政権時代に省の責任者を務めたロウハニ氏である。
(ロウハニ氏)
「我々が政権を運営していた時代は
 いかなる欧米の経済制裁や圧力も英知を結集して切り抜けてきた。」
ロウハニ氏は2004年に欧米側とウラン濃縮活動の停止に一度は合意するなど
国際経験の豊富な柔軟な政治家として知られている。
聖職者のロウハニ氏は保守層の一部の支持も見込めるうえに
疲弊する国内経済の打開をアピールして改革支持者の受け皿となっている。
(ロウハニ氏)
「すべての問題は“知恵と希望のカギ”によって解決できる。
 核開発問題も経済制裁もだ。
 経済成長も夢ではない。」
ロウハニ氏の集会では支持者の中から改革派を支援する歌まで聞かれる。
誰もこの結束を破ることはできない
わたしたちなら成し遂げられる

「彼ならアメリカの交渉に成功し経済制裁を取り除いてくれるはず。」
「改革派が勝つことこそ重要。」
しかしこの直後に治安当局は反体制的な言動があったとして集会の参加者10人余を逮捕した。
改革派は当局の厳しい警戒のなか困難な戦いとなっている。 

これに対し選挙戦を優位に進めているのが保守強硬派。
ジャリリ氏(47)はイラン・イラク戦争で片足をなくした戦争の英雄である。
最高指導者ハーメネイー師の秘蔵っ子として知られ
イスラム体制の支持者から絶大な人気を集めている。
(ジャリリ氏)
「われわれはイスラムの影響力を世界中に拡大させ
 アメリカの支配に対抗していく。」
核開発問題では最高指導者の代理人として交渉の責任者に抜擢され
欧米からは一切妥協する姿勢を見せない“タフ ネゴシエーター”と呼ばれている。
(ジャリリ氏)
「すべてのイラン国民は核開発に向けて団結している。
 今後もこの道を歩み自分たちの権利を主張していく。」
(支持者)
「彼は最高指導者に忠実で信仰心も厚い。
 まさに革命の守護者だ。」
「欧米に妥協せず制裁の解除を勝ち取れるのは彼だけ。」

9日 テヘランで行なわれたロウハニ氏の集会では現状への不満や変革を求める声が聴かれた。
一方保守強硬派は最高指導者の側近を務めるジャリリ氏や
テヘラン市長を務めるガリバフ氏などが優位に戦いを進めている。
8人が乱立する今回の選挙は
各勢力の一本化工作が進まなければ上位2人による決選投票にもつれ込む可能性がある。
核問題や対米政策などの根幹は最高指導者のハメネイ師が握っているが
保守強硬派の大統領で国内がより右傾化すると
外交交渉によって核問題のなどの妥協点を見出すことがいっそう難しくなる。
ただ欧米諸国との対立が軍事的な緊張を帯びる中で
決定的な衝突に陥ることはイランとしても避けたい。
国際社会が注視するなかイラン国民は誰を大統領に選ぶのか。
16日には大勢が判明する見通しである。
 
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“DJポリス”に称賛の声

2013-06-10 08:03:05 | 報道/ニュース
6月9日 ニュース7

いま評判の警察官がいる。
サッカーの日本大ひゅおうがワールドカップ出場を決めた翌日
その警察官の映像がインターネットの動画投稿サイトに掲載された。
サポーターが歓喜に沸く東京渋谷の交差点での様子である。
車道にいる方を歩道に上がれるようにしてあげてください
みなさんのチームワークをお願いします
日本代表のようにサポーターの皆さんのチームワークを見せてください
お巡りさんもこんな良き日に怒りたくありません
いいですか みなさん
だからおまわりさんの警備・誘導に合わせてゆっくりと安全に進んでください
いいですか皆さん 約束してくれますか?
(サポーター)「はーい」
ありがとうございます

巧みな話術が評判の警察官。
ネット上では“DJポリス”と呼ばれている。
(あの名調子を実際に聞いた人)
「警察官なのに面白いこと言っていてギャップにやられました。
 ちょっと従おうかなという気になりましたね。」
「“フェアプレー”と言っていたので
 私生活でもフェアプレーは大事なんだなと思った。」
ネット上にも称賛の書き込み。
“取りまとめご苦労様でした。
 当日のMVPの称号を与えたいです!”
警察官も皆さんが憎くてこういうことをやっているのではないんですよ
警察官も日本代表のワールドカップ出場
実は心の中では喜んでいるのです

ネット上で“DJポリス”と評判のこの警察官は
警視庁第9機動隊の広報係に所属する20代の隊員で5年前に入庁。
機動隊の広報係は大規模なイベントやデモで問題が起きないよう誘導や注意を呼びかける。
どうしたら人々が聞いてくれるのか日々アナウンス力を磨いている。
この20代の隊員は警視庁の機動隊員約3,000人中
合格者がわずか数人しかいない「警備広報上級検定」に合格している。
本人は「まだまだ実力不足でさらに広報技術を磨きたい」とコメントしているが
今回の警備で隊員には警視総監賞の授与が検討されているということである。
(警視庁警備部 近藤智和管理官)
「相手の方に気持ちで伝えるように広報するよう
 日ごろから指導している。
 彼は非常にいい警備広報をしたと思う。」
警視庁の機動隊は10隊ありそれぞれに数人の広報係がいる。
人々の安全を守る名調子がこれからも響き続ける。




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天安門事件から24年 中国を離れた人たち

2013-06-09 08:07:04 | 報道/ニュース
6月5日 おはよう日本

中国の北京で起きた天安門事件では
民主化を求める学生たちの運動が武力で鎮圧され多くの死傷者が出た。
この事件から4日で24年。
本国を離れアメリカに渡った人たちは中国の人権に状況に批判の声を上げ続けている。

1日 ワシントンの中国大使館前で天安門事件の犠牲者を追悼する集会が開かれた。
事件のあと毎年開かれているこの集会にこの日は30人余りが集まった。
しかし参加者は年々減っている。
(集会の参加者)
「中国政府は表面上は経済面で成果を上げているので
 多くの人は民主化を訴える運動から去って行きました。」
風化しつつある天安門事件の記憶。
しかしアメリカには今も中国の人権状況に不満を持つ人たちが入国し続けている。
ロサンゼルス郊外に住む朱喬夫さん(49)。
今年2月 着の身着のままで家族を連れてロサンゼルスに到着した。
政治犯として服役中の兄の朱慮夫受刑囚の窮状をアメリカに訴えるためである。
兄は中国政府が違法だとする「中国民主党」の中心的メンバーである。
一昨年インターネット上で中国ジャスミン革命という反政府デモが呼びかけられた。
(兄 朱虞夫さんの詩)
中国人よ その時が来た
中国は皆のものだ
選択は個人のものだ
自らの意思で中国の未来を選択しよう

こうした動きに裁判所は国家の転覆を図った罪で懲役7年の有罪判決を言い渡した。
月に1度の面会のたびに兄の顔は腫れあがり
持病の影響で歩くことすらままならなくなっているという。
刑務所の中からひそかに持ち出された兄の手紙には
刑務所の外で医師の診察を受けたいという希望が綴られていた。
(兄 朱虞夫さんの手紙)
寒くなってきた
体に相当こたえる
刑務所生活は本当につらい

(朱喬夫さん)
「『次の面会のときの私がいなくなっても悲しまないでほしい』
 と兄は話していました。」
朱さんは今週行われる米中首脳会談で
オバマ大統領に中国の人権状況の改善を訴えてほしいと考えている。
(朱喬夫さん)
「民主国家のアメリカがなぜ兄の釈放を働きかけてくれないのか。
 オバマ大統領には兄を釈放するよう習主席に伝えてほしい。」
期待と懸念が交錯するなか朱さんは首脳会談の行方を見守っている。

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尖閣諸島返還直前 米の議論 録音記録発見

2013-06-08 08:42:34 | 報道/ニュース
6月7日 おはよう日本

沖縄県の尖閣諸島がアメリカから日本へ返還される直前
アメリカ ホワイトハウスで録音されていた議論の録音記録が新たに見つかった。
日本への返還に反対する意見に対し
安全保障担当の大統領補佐官が反論する様子などが克明に記録されていて
専門家は返還に至る経緯を示す資料として注目している。

今回見つかったのは1971年 日米両政府が沖縄返還協定に調印する直前に
ホワイトハウスでかわされた議論の録音記録である。
議論のメンバーはニクソン大統領と
国際経済担当のピーターソン補佐官
安全保障担当のキッシンジャー補佐官の3人である。
まず国際経済担当のピーターソン補佐官が“返還に反対”する意見を表明した。
(国際経済担当 ピーターソン補佐官)
「日本にとって尖閣諸島はそんなに重要か
 最優先の重要事項と言えるのか。」

返還に反対した背景には
当時アメリカが中国の政党政府として外交関係を持っていた台湾の存在があった。
尖閣諸島を日本に返還しないよう求めていた台湾に配慮すれば
当時行われていた“繊維製品をめぐる台湾をめぐる貿易交渉が進展する”と進言したのである。
これに反対したのが安全保障担当のキッシンジャー補佐官だった。
(安全保障担当 キッシンジャー補佐官)
「尖閣諸島は日本に返されるべきものだ。
 日本から取り上げることはあり得ない。
 変換しなければ日本が自分のものと思っている島を
 繊維交渉をまとめるため台湾に与えるかのように見られてしまう。」

最終的にニクソン大統領もこの意見を取り入れた。
(日米外交史が専門 東洋英和女学院大学 増田弘教授)
「沖縄の返還とともに尖閣諸島も返還されるのが当然であると
 こういう判断を下した。
 キッシンジャーがそれに対してきわめて決定的な判断を下している。
 興味深い。」
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トルコ 反政府デモ なぜ拡大したのか

2013-06-07 08:20:25 | 報道/ニュース
6月6日 おはよう日本

トルコのアルンチン副首相は5日 デモ隊の代表者と対話したが
その後も各地でデモは続いていて混乱が収束する見通しは立っていない。

トルコの最大都市イスタンブール。
中心部の広場には5日夜になってもエルドアン政権に不満を持つ多数の人々が集まって
“われわれは自由と権利を求めてデモを続ける”などとシュプレヒコールを上げている。
「政府が行った数々の政策に抗議する。」
「引き続きデモを行なうつもりだ。」
トルコでは5月31日以降 若者や一部の野党支持者などが
エルドアン政権は社会のイスラム化を進めている
などと主張して大規模な抗議行動を続けている。
トルコのメディアによるとアルカラではデモ隊と警官隊との間で衝突も起きていて
混乱が収束する見通しは立っていない。
一連の事態を受けてトルコのアルンチ副首相は5日 首都アンカラの首相府で
デモ隊の代表数人と対話した。
対話は約1時間にわたって行われデモ隊側は
デモの発端となったイスタンブール中心部の再開発計画を中止することや
デモ隊の鎮圧にあたった警官隊の責任者をやめさせることなどを求めたということである。
それについて政府側からはこれまでのところ公式なコメントは出ていない。

今回のデモの発端となったオリンピック招致活動を目指した再開発計画。
5月28日にイスタンブール中心部にあった数本の木が切り倒された。
これをきっかけに再開発に反対するグループが座り込みを始め
さらにエルドアン政権に不満を抱く若者などがなどが加わって反政府運動へ拡大した。
イスラム教徒が国民の多数を占めるトルコだが
政治と宗教を厳格に分ける“政教分離”を国是にしている。
欧米と同じような服装の女性も多く
アルコール飲料を飲むのも自由である。
ところがエルドアン首相はイスラムの価値観を重んじる政策を推進。
5月には夜間にはアルコール類の販売を禁止する法律が国会を通過した。
こうした動きに対し若者や一部の野党支持者などが抗議行動を継続している。
アメリカも事態の鎮静化を求めた。
(ワシントン3日 アメリカ ケリー国務長官)
「警官隊が過度な力の行使を行った置いう報道を聞き懸念している。」
オリンピック招致活動への影響を懸念する声もあがっている。
トルコのスポーツ担当相はツイッターで
“イスタンブールが大きな夢に近づいているときに許し難い行為だ”と述べた。
イスタンブールのオリンピック招致委員会は
“招致に向けたトルコ国民の団結に変わりはない”と声明を出した。

5日の抗議行動には労働組合を始め同じようにエルドアン政権に不満を持つ新たな勢力も加わっている。
ただこうした行動が国内に広く浸透しているかというと
現時点で参加しているのは若者や野党支持車など国民の一部にとどまっている。
首相退陣という事態までにはならないだろうというのが支配的な見方である。
というのも民主化運動によって指導者が次々と退陣に追い込まれたアラブの国々と異なり
トルコでは民主的に行われた一昨年の議会選挙で与党が議席の過半数を獲得するなど
政権は圧倒的な支持を受けている。
このため民意が反映されずに独裁政権が続いてきた国々とは事情が異なる。
ただこの規模のデモがこれだけの期間続いたことは現政権では初めてのことで
エルドアン首相が譲歩の姿勢を示さなければ混乱が拡大することも懸念される。
エルドアン首相は6日に北アフリカの外遊から帰国する予定で
帰国後にどのような発言をするかが当面の焦点となっている。

コメント

フランス 日本へのまなざし③ “対日”キーマンが語る 大統領訪日のねらい

2013-06-06 08:25:25 | 海外ネットワーク
6月2日 NHK海外ネットワーク

成長を実現するためには経済や社会の構造改革が欠かせないという点で
フランスと日本は共通の課題を抱えているというのがオランド政権の認識である。
加えて前のサルコジ政権が中国との関係にばかり熱心だったという印象があるため
今回の大統領の日本訪問は日仏関係の重要性をアピールする絶好の機会だととらえている。
大統領は日本との間でどのような関係を築こうとしているのか。
フランス政府きっての知日派 フランス外相特別代表 ルイ・シュバイツァー氏(70)。
大叔父はアフリカで医療奉仕しノーベル平和賞を受賞したシュバイツァー博士。
哲学者のサルトルも遠い親戚である。
フランスの対日関係の推進役を務めるシュバイツァー氏は
フランスの厳しい現状を打開するヒントが日本にあると考えている。
(フランス外相特別代表 ルイ・シュバイツァー氏)
「日本でも実施された政策を参考にすべきだ。
 それは構造改革の着実な実施だ。
 オランド大統領は日本をとても重視している。
 今こそ日本とフランスは戦略的パートナーシップを確立すべきだ。」
フランスの自動車メーカー ルノーの会長を13年間務めたシュバイツァー氏。
日産自動車と資本提携を進めた経験があり日本経済を熟知している。
(ルイ・シュバイツァー氏)
「アベノミクスの成功は世界経済にとって重要だ。
 日本政府が再び経済を成長させることができれば
 日本は世界における役割や存在感を増していくことになる。」
4月にブリュッセルで行われた
日本とEUヨーロッパ連合との自由貿易自由化を目指すEPA経済連携協定に向けた交渉。
フランスはEUの中核を担う立場から食品の安全基準などの非関税障壁などについて
日本に柔軟な対応を求めている。
(ルイ・シュバイツァー氏)
「貿易の自由化だけが目的ではない。
 お互いの長期的な成長と雇用の増加につなげていくことも目指している。
 双方の貿易を強化し成長につなげるため非関税障壁を撤廃しなければならない。
 『非関税障壁は撤廃されつつある』と日本が主張するのであれば
 実際にEUから日本への貿易が増えていることを示す必要がある。」
福島第一原発の廃炉に向けた作業が続く日本。
電力の80%近くを原子力でまかなう原発大国フランス。
日本とフランスはともに原子力発電の将来に責任を負っていると指摘している。
(ルイ・シュバイツァー氏)
「安倍首相もオランド大統領も少なくとも今後数10年間は
 原子力エネルギーが経済発展のために欠かせないと認識している。
 首脳会談では原子力が安全で安心であることをどうやって実現するのか
 その実現に向けた協力について取り上げられるはずだ。」
東アジアで中国を重視してきた前のサルコジ政権。
オランド大統領は“中国から日本へ”と軸足を移そうとしていると言われている。
シュバイツァー氏は民主主義や人権といった価値観を共有する日本とフランスが協力すれば
アジア太平洋地域の安定にも貢献できると考えている。
(ルイ・シュバイツァー氏)
「日本とフランスには共通の価値観がある。
 これは極めて重要なことだ。
 もはや中国を無視することは誰にもできないが
 我々の価値観を中国が受け入れるようにすべての国が協力していくべきだ。
 アジア太平洋地域の安定は日本の国益であるばかりでなく世界中の国の利益でもある。
 日本とフランスはこの地域の安定にともに努力していくべきだ。」

フランス人の日本人に対する親しみの念がかつてないほど強まってきている。
20年前は日本食や日本文化は一部の知識人やエリート層だけが好むものだったが
いまや一般の人に日常生活に食い込んでいる。
20年前の日本人のイメージは“お金儲けはうまいが休みもとらずに働くアリ”
といういささか侮蔑的なステレオタイプが支配的だった。
それが東日本大震災で人々が示した他人を思いやる心や規律のとれた行動が
多くのフランス人に深い感銘を与えた。
フランスでは利害に基づいた国同士の友好関係を“理性による結婚”とたとえるが
国民同士の草の根のレベルを見るかぎり
フランスと日本のあいだは“愛情による結婚”が可能になるという土台が整いつつある。
オランド政権の幹部が日本との関係をパートナーシップというが
経済はもとより政治や安全保障あるいは文化といった幅広い分野でともに手をたずさえて行こう
という意味合いが込められている。
とかく経済面だけがクローズアップされがちな中国と最も違う点である。
日本とはお互いに補い合う関係を目指していく
たとえば今回の首脳会談でも取り上げられるテロ対策。
テロが頻発するアフリカや中東地域
日本が比較的弱いとされている地域の情報について
フランスが伝統的に強いとされる地域で情報を提供する代わりに
アジアで活動するフランス人やフランス企業の安全を確保するために
日本の助けが必要という意味合いである。
オランド政権は今回の大統領訪日を
包括的なパートナーシップを築くための重要な一歩としたいと位置付けている。
日本とフランスとの関係は
日中や日米、米中との関係に比べても差し迫った懸案があるわけではないが
そのぶん共通の価値観を土台に
世界の将来を見据えた成熟した協力関係を築いていける余地があるはずである。
そのためにも経済の再生を通して国際社会での存在感をとり戻すことが
日仏どちらにとっても大きな課題となっている。

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フランス 日本へのまなざし ② 改善できるか?高止まり失業率

2013-06-05 08:11:48 | 海外ネットワーク
6月2日 NHK海外ネットワーク

去年国民の熱狂的な支持を受け17年ぶりに社会党の大統領となったオランド大統領。
(フランス オランド大統領)
「変化を求める動きは欧州各地で起きている。
 あなたたちはその一員だ!」
ところがいまは“オランド大統領の公約ここに眠る”という墓標まで。
格差の是正を掲げる大統領がまず目指したのが富裕層に極めて重い負担を強いる税の導入だった。
しかし富裕層は強く反発し資産家や有名人がフランスを離れ国籍も変える事態となった。
支持基盤だったはずの労働組合からも反発の声が。
企業の大規模リストラを廃止するとしていた大統領は景気が回復しない中
一転 リストラを容認したのである。
今年3月の失業率は11%とこの15年で最悪の水準にまで悪化。
雇用が改善する兆しは見えていない。
就任から1年の会見でオランド大統領は自らの政策への理解を求めた。
「人気の最後まで政策の成果を見届けて欲しい。」
雇用の改善を迫られる中打ち出したのが
若者と中高年層の雇用を同時に確保することを目指す世代契約制度の導入。
中小企業が26歳未満の若者を正社員として雇用すると同時に
55歳以上の熟練労働者などを62歳まで雇用すれば
国は企業などに3年間で1万2,000ユーロ約160万円を補助する。
企業の業績悪化で改組される若者を減らすとともに中高年層にも長く働いてもらうことで
企業にも国にも利益となることを目指している。

フランス中部ブロワにある従業員40人ほどの建設会社は
景気の低迷で不安定な経営が続いていたため補助金を受け取れるこの制度を活用することにした。
その結果 これまで育ててきた職人を解雇しないで済んだと言う。
(建設会社社長)
「景気が厳しいなか補助がもらえるのは助かる。
 制度のおかげで従業員を雇い続けられた。」
この制度によって契約社員から正社員になることができたキリアン・ソリエさん(19)。
職業訓練学校を卒業したソリエさんは去年 会社に契約社員として採用された。
しかし同世代の若者が多く失業している中いつ職を失うか不安を抱いてきたと言う。
(キリアン・ソリエさん)
「正社員になることができホッとしている。
 家族も『自慢に思う』と言ってくれた。」
ソリエさんとともに正社員になることができたブリュノ・オリビエさん(56)。
キャリア30年のベテラン職人だが一昨年 勤めていた会社が倒産。
その後いまの会社で契約社員として働いていた。
制度には雇用の確保だけではないメリットがある。
企業の中で熟練労働者の技能や知識が着実に若者に受け継がれていくのである。
オリビエさんは長年培ってきた技能や知識をソリエさんに伝えられることの喜びを感じている。
(ブリュノ・オリビエさん)
「彼がいい仕事ができるよう一歩ずつ進歩してほしい。
 私はそのためにいる。」
高止まりが続く失業率を限られた財源でどう改善するのか。
オランド政権の対策に労働問題の専門家は高い関心を寄せている。
(OECD 雇用問題主任担当官)
「世代契約制度は他に例を見ないフランスの革新的な政策だ。
 どこまで効果をあげるのか他国も導入すべきか注目している。」

この制度は中高年の人たちを雇うことが必ずしも若者の雇用を奪うことにはならない
ということを示す取り組みとしていま注目されている。
今年3月から始まったばかりなので制度を活用する企業はまだ限られているが
オランド政権としては深刻な雇用状況を改善に向かわせるきっかけにしたいと考えている。






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フランス 日本へのまなざし ① フランスの今

2013-06-04 08:45:54 | 海外ネットワーク
6月2日 NHK海外ネットワーク

フランスで根をおろす日本の文化。
カンヌ映画祭では日本の映画が再び評価された。
「日本は文化活動が盛んな国で人々も尊敬できます。」
「経済大国で向上心の強い国ですよね。」
いまフランスでは景気が低迷し失業率が高止まりしている。
不況から抜け出すためにもオランド大統領が打ち出しているのが“日本重視”である。
(フランス オランド大統領)
“世界第3位の経済大国・日本はフランスの偉大なパートナーだ。”
今週そのオランド大統領が就任後初めて日本を訪れる。

「面白い文化がたくさんあって行ってみたいわ。」
「ハイテクだね!」
パリの巷で日本への好意的な声が聞かれる中 
地元の人たちを夢中にさせているのが日本食の店。
慣れない箸を使ってワインと一緒にうどんを味わうのがフランス流である。
「きょうのうどんは『とてもおいしい』。」
人気の武道ももはや柔道だけではなく剣道も。
「面うちが得意。」
「一目見たとたん やるしかないと思ったんだ。」
剣道の愛好家はこの10年で1,5倍に増えたともいわれる。
日本のものづくりへの評価も高まる一方である。
フランス北部にあるトヨタの工場では
フランス政府が認定する“メイド・イン・フランス”に選ばれたことを示すシールが
1台1台に貼られている。
部品を一定の割合で国内で調達し組み立てを国内の工場で行ったことが評価された。
フランスのメーカーが人件費の安いアフリカに生産拠点を移す中
国内の雇用の創出に貢献したと認められたのである。
メーカーでは販売に弾みがつくことを期待している。
(トヨタ現地生産法人社長 佐野真琴さん)
「ここで競争力 実力をつければ
 来たるべき時に大変良い成果を出せると思って従業員一同頑張っています。」
一方のフランス自動車業界。
景気の低迷による販売不振に加え競争力のある日本車が増えることを警戒している。
(プジョー 販売店代表 フィリップ・ボンノムさん)
「今も競争は厳しく今後さらに厳しくなるでしょう。
 各メーカーはもっと頻繁に新しいモデルを投入せざるを得ないでしょう。」

経済の不振は地方でさらに深刻である。
南部の都市ニーム。
「きのうのパン屋」と名付けられた店では前の日に売れ残ったパンを半額で売っている。
美食の国フランスで人々がこよなく愛するパン。
1日に4回焼く店も少なくない。
しかしこの店では売れ残ったパンを無料で譲り受けるため
早朝から他のパン屋をまわっている。
こうしたパンを格安で売り出したところ毎日ほとんど売り切れの状態。
少しでも食費を切り詰めようという人が増えているからである。
「悲しいけどパン代を削らないといけない。」
「冷凍やスーパーのものと比べればおいしい。」
町の競売所で行われたオークションで出品されていたものはどれも質流れ品。
ニーム公営質屋では十分な収入を得られない人たちが
暮らしの足しにするために身の回りの品を質に入れている。
1日で120人もの人が訪れた。
「よく利用しています。
 請求書の支払いのために。」
持ち込まれる品の大半は金やプラチナなどのアクセサリーだと言う。
(ニーム公営質屋代表 アンドレ・モリニエさん)
「ここに来られる人は値段がつくものを持っているだけまだ幸せです。
 売れる物すら持っていない人もたくさんいるのですから。」

フランスの人たちの価値観が変わってしまうほど景気の低迷は深刻な影響を与えている。
今のヨーロッパ経済を表す言葉として
rannce
Italy
Spain
Holland
FISHというのがある。
いずれもユーロ圏有数の経済規模の国でありながら景気の低迷が深刻である。
一時期危機的だった信用不安を抱える国々に変わって
いまはFISHが最大の懸念材料となっている。
なかでもユーロ圏第2の経済大国フランスはその筆頭格になるわけで
ドイツの経済が比較的好調なのとは対照的である。
1年前 オランド政権を誕生させた原動力となったのは経済の立て直しを望む有権者の声だった。
しかしこの1年で国民の期待は失望に変わりつつある。
支持率は5月には24%にまで下がり政権発足1年の時点で
歴代の大統領の中でも最低の水準に落ち込んである。
この不人気ぶりの最大の原因が一向に改善しない雇用である。
失業率は高止まりしこの15年間で最悪の水準になっている。
このためオランド政権はヨーロッパでも過去に例のない雇用対策を打ち出して
国民の信頼回復につなげようとしている。


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