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本の“続きを生きる”

2015-01-17 08:15:00 | 編集手帳

1月15日 編集手帳

 

活字中毒者を自任する人は世間に多いが、
読書嫌いを公言する人はあまりいない。
“傑物”と称される成功者には、
なおのこと稀(まれ)である。
ホンダの創業者、
本田宗一郎さんはめずらしい一人であったろう。

〈僕は、 
 本を読むのが嫌いだ。
 本というものは過去のものしか書いていない〉。
ソニーを創業した井深大さんが著書『わが友 本田宗一郎』(ゴマブックス刊)に収めた本田語録にある。

日頃「活字文化」の旗を振っている小欄には少々困ったお説 だが、
『本』がお題の歌会始の儀を報じる記事を読んでいて、
ハタと気づいた。
終生衰えることのなかった溌剌(はつらつ)たる精神が言わせた言葉であったか、
と。

〈この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる〉。
今年の入選者では最年少、
小林理央(りお)さ ん(15)(神奈川県)の一首である。
書物に書かれてあることの“続きを生きる”生涯青春を貫いた独創と情熱の企業家は、
「わが意を得たり」と泉下でほほ笑んでいよう。

欧州経済に濃い霧のかかるなか、
多くの企業が手探りで船出をした年の初めである。
その人、
いま世にありせば、
の思いを深くする。

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原油価格下落 ロシアとアメリカ

2015-01-16 08:00:00 | 海外ネットワーク

1月11日 NHK海外ネットワーク


いつもの年明けと同じように華やいだ雰囲気に包まれたモスクワの町。
しかし今のロシア政府にはお祝いムードに浸る余裕はない。
去年から原油価格の下落が続いているためである。 
(12月25日 政府閣僚会議 ロシア プーチン大統領)
「今年に限っては政府関係者は長期間の休みを取る余裕はないはずだ。」
プーチン大統領は閣僚たちに新年の休暇を返上してでも対応にあたるよう異例の指示。
原油価格の浮揚にまさにロシアの国の命運がかかっているからである。
2000年に就任以来 急速な経済成長を背景に権力基盤を固めていったプーチン大統領。
その経済成長を支えてきたのが安定した原油価格だった。
原油の輸出はロシアの国の歳入の4割をも占めている。
しかし去年7月以降 その原油価格は大幅に下落。
原油に支えられてきたルーブルの価値が下がりロシア経済にも影響を及ぼしている。
食料品や家電製品も輸入に頼っているためロシアでは去年1年間で物価は11%余上昇したとみられている。
(市民)
「年金では暮らせないのではと心配。」
「政府には知恵を絞ってもらい生活に困らないようにしてほしい。」
原油安は中小企業を中心に人々の雇用にも打撃を与えている。
中でも観光業では倒産が相次ぎロシア全土で4,000人が失業したと推定されている。
(旅行会社社長)
「倒産の順番を待っているようなものだ。
 この先どうなるかわからない。
 状況を見守るしかない。」
こうした状況にプーチン大統領は地場産業を育てるなどして
原油の輸出に依存してきたロシアの経済構造を改革するとしている。
(ロシア プーチン大統領)
「経済の多角化を必ず実現させ
 現在の経済的な苦境を切り抜ける。」
しかしウクライナ情勢をめぐって欧米から経済制裁を受けているいま
こうした改革を進めるのは容易なことではないと専門家は指摘する。
(経済アナリスト)
「構造改革まで行うとすればロシアに混乱をもたらすことになる。
 いまロシア経済にたくさんの課題を抱えさせるのは大きなリスクとなる。」

ロシアとは対照的に原油安が人々の購買意欲をかき立て経済にとって追い風になるとみられているのがアメリカ。
アメリカではガソリンの価格が大幅に値下がりしていることを受けて大型の車の販売が特に好調である。
マイカーに使うガソリンの値段が下がったぶん資金に余裕が出来た人たちが次々に新車の購入に販売店を訪れている。
(新車を買った男性)
「退職者には1ドルでも安いと助かる。
 買う決断を後押ししてくれた。」
アメリカの新車の販売は10か月連続で前の年を上回っている。
GDPの70%以上を占めるとも言われる個人消費。
原油安が消費拡大をけん引して好調な景気につながっているのである。
(エネルギー分野に詳しい経済アナリスト)
「原油安はアメリカにとってプラスでGDPを押し上げる可能性がある。
 消費者はガソリンにかけていたお金で他の物を買うことが出き好循環となる。」

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円安の日本 人気の旅行先  不動産が投資対象に 

2015-01-15 08:00:00 | 海外ネットワーク

1月11日 NHK海外ネットワーク


正月の東京。
バスから降りてきたのは台湾からの旅行客。
去年 過去最多となった海外から日本への旅行者。
中でも台湾からは人口の9人に1人が日本を訪れた計算である。
円安の中一番の目的は買い物。
同じブランドでも日本で買う方が台湾より安いとして化粧品や衣料品が人気である。
袋一杯にまとめ買いする人も少なくない。
「円安はとてもありがたい。
 なんでも安く買える。」
「夢中になってどんどん買ってしまった。」
台湾の旅行会社にとって日本への旅行客は収入の柱である。
旅行客をさらに増やそうととりくみを進めている。
日本を繰り返し訪れている人を「達人」に認定。
日本でのおすすめの過ごし方を紹介してもらっている。
達人のひとり 郭さんはこれまでに60回以上日本を訪れた。
郭さんが紹介するのはお得な買い物の仕方。
台湾の3分の1の値段で買い物をしたこともあるという郭さん。
どの商品をどこで買うと得をするのかなどブログなどで日本の魅力を紹介している。
(郭さん)
「日本での買い物はより魅力的になってきている。
 私の経験をみんなに知ってもらいたい。」

日本には投資家たちも注目している。
東南アジアの金融センター シンガポール。
円安のいま日本の不動産がターゲットである。
先月 投資のためにと日本のマンションを販売する説明会が開かれた。
売り込んでいるのは東京都心にあるマンション。
銀座などに近く収益性が高いとアピールする。
説明会にやってきたのは公立学校の教師やIT企業の社員など
夫婦共働きで所得を増やしてきた人たちである。
投資が目的の参加者たちは実際に物件を見ることなく次々に購入を決めていった。
販売開始から3か月で用意した30部屋はほぼ完売となった。
(説明会に参加した人)
「円がとても安い。
 シンガポールドルを円に替えることは大きな利益を生む。」
シンガポールでは近年 不動産市場へ資金が流れ込みマンションの価格が高騰するようになった。
一方東京はシンガポールと比べて住宅価格は低い水準にある。
今回売り出された東京都心の新築マンションは2LDKの物件で約6,700万円。
シンガポールでは同じような物件が1億円以上はするという。
(不動産投資をアドバイスする会社 米倉稔社長)
「外国から見ると日本の不動産の割安感がますます強まっている。
 今のうちに投資しておこうという人がほとんどだ。」
東京には専門家も注目している。
世界150か国余で会計のコンサルティングを行っている会社では
オリンピックの開催が決まった東京を
今年アジア太平洋地域で不動産投資が活発に行われる年のランキング第1位に挙げている。
(市場調査の専門家)
「日本の見通しは良好だという見方だ。
 市場の関心は高い。」
投資家たち
そして旅行客。
円安が呼び水となり日本への関心は一段と高まっている。

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展望2015 ④中国 日本との関係改善は?

2015-01-14 08:00:00 | 報道/ニュース

1月8日 キャッチ!


去年11月の日中首脳会談後にさまざまなレベルでの対話が再び軌道に乗り始めている。
会談の直後には財務省が2年7か月ぶりに話し合いの場を設け
12月には両国の政府や企業が環境分野での協力を話し合うフォーラムが2年ぶりに開かれている。
その一方で12月にも開催されるとみられていた日中韓3か国による外相会談はまだ開催の見通しがたっていない。
中国側が日本との話し合いにあまり積極的ではないからだとされている。

去年11月に2年半ぶりに行われた日中首脳会談。
習近平国家主席に笑顔は無く
安倍総理大臣とはほとんど目を合わせなかった。
ぎこちなさが際立った会談だった。
(木寺昌人大使)
「これまで長い間日本と中国の亜間は特に政府間で厳しい状況が続いていた。
 それが昨年11月 APEC首脳会議の機会に安倍総理と習近平国家主席が会談して
 これから日中関係を改善していくということで一致し大きな一歩を踏み出した。」
首脳会談で両国は戦略的互恵関係に立ち戻って関係改善を目指すとともに
偶発的な衝突を避けるための海上連絡メカニズムの実施に向けた協議を進めることで一致した。
そもそも日中関係が冷え込むきっかけとなったのは
3年前に日本政府が尖閣諸島を国有化したことに中国側が強く反発したことだった。
中国では反日デモが全土に拡大。
日系のスーパーや工場などが略奪や放火の被害を受けた。
一方 尖閣諸島の周辺では中国当局の船が日本の領海へに侵入を繰り返した。
また尖閣諸島を含む東シナ海の上空では中国が独自の防空識別圏を設置し
空と海で緊張が高まった。
さらに安倍総理大臣が就任から1年を迎えた一昨年12月
靖国神社を参拝したことに中国は態度を一段と硬化。
日中関係の悪化は決定的となった。
今回首脳会談が実現したとはいえ
尖閣諸島をめぐる対立や靖国参拝をはじめとする歴史認識の問題は依然として両国間の火種として残っている。
(木寺昌人大使)
「そういった困難があっても日中関係全体を支配してしまわないようにコントロールしていくんだという
 戦略的互恵関係の考えに沿って大局的観点に立って日中関係を未来志向のものにしていくことが大切。」
一方で中国は尖閣諸島や歴史認識をめぐる問題で譲歩する考えはない。
習近平政権は去年
第二次世界大戦で日本が降伏文書に署名した翌日に当たる9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と定めた。
また旧日本軍が多くの中国人兵士や市民を殺害したなどとされる南京事件の起きた12月13日を「国の追悼日」とした。
いずれも日本に対する厳しい世論を高めるカードとして利用する狙いがあるとみられる。
(中国 習近平国家主席)
「歴史は変えることはできず
 事実は巧みな言葉や言い逃れによって消し去ることはできない。」
戦後70年にあたる今年
中国は抗日戦争勝利70周年の節目として大々的なキャンペーンを準備している。
中国の指導部には共産党が旧日本軍に勝利したことで今の中国があるとして
抗日戦争の歴史をいわば共産党支配の正当性に利用しようとする意図がみられる。
安倍政権の出方によっては日本に対する圧力を強めてくる可能性がある。
(木寺昌人大使)
「日本は70年間胸を張って平和国家としてやってきた。
 この方針は何ら変わることはない。
 この点について中国側はすでに理解しているが
 日本側としては平和国家としてやってきたことを強調する機会にしたい。」
日中関係は今年このまま改善の方向に向かうのか
対立に逆戻りするのか
大きな岐路に立たされている。
中国にとって歴史認識の問題で安倍政権と妥協することは許されない。
習近平主席は大みそかの演説で去年の成果として
9月3日を抗日戦争勝利金日
12月13日を見ん近事件の追悼日に
それぞれ法に基づいて定めたことを上げた。
「国家 民族 平和のために尊い命を失った人々の犠牲と貢献を
 我々は時代がどう変化しようと永遠に深く心に刻むべきだ。」
こうしたなか中国の経済にかつてのような勢いはなくなっている。
習近平政権は去年7,5%程度だった経済成長率の目標を今年はさらに引き下げざるを得ない。
中国ではこれまでの経済成長によって裕福になった人は一部で格差社会は進んできたとされている。
それでも高い成長率に支えられ前の年よりは少しは楽に暮らせるかもしれないという希望が人々の不満を抑えてきた。
景気が減速すればその不満は直ちに政権に向かい共産党支配の正当性を揺るがしかねない。
習近平政権がそうした不満をそらし求心力を取り戻すために抗日を利用する可能性は排除できない。
その場合9月3日の勝利記念日に大々的な式典を行い
そこにロシアのプーチン大統領や韓国のパク・クネ大統領を招いて対日批判を展開する恐れがある。
中国は安倍政権に対する不信感をぬぐい切れていない。
安倍政権はこれまで日本が続けてきた平和国家の歩みを変えようとしているのではないかと疑っている。
安部総理が再び靖国神社を参拝しないかどうかを始め
日本の国会で集団的自衛権や憲法改正がどのように議論されるのかが注視されるものとみられる。
また戦後70年の今年発表される安倍総理大臣談話がどのような内容になるのか
過去の植民地支配と侵略への反省を表明した村山談話を踏襲するものなのかどうか
慎重に見極めるものとみられる。
ただ中国の指導部も行き過ぎた反日キャンペーンは日本国民の対中感情を悪化させることは十分に理解している。
このため習近平主席もこれまでの演説で一般国民と一部の軍国主義者を分けて取り上げ
一般の国民に対しては繰り返し友好を呼びかけている。
日本の対中感情は刺激したくはないが
さりとて安倍政権に甘い顔はできない。
中国の指導部はそんなジレンマに落ちいっているのかもしれない。
(木寺昌人大使)
「今まで長く停滞していた対話や協力を一つ一つ進めていくのは手間がかかる。
 長い目で日中関係を築いていくという視点が大事。
 これから本当にいい関係にしていくにはやるべきことがたくさんある。」
日中は首脳会談で一致した連絡メカニズムに向けた話し合いを1月中にも再開する方向で最終的な調整を行っている。
尖閣諸島周辺では首脳会談後も中国当局の船が日本の領海への侵入を繰り返して
不測の事態につながらないか懸念されている。
日中の防衛当局者が緊急時に連絡を取り合う海上メカニズムが実施されれば
海上や空での偶発的な衝突を避けるのに大いに役立つはずである。
こうした日中間で協力する取り組みがひとつずつ実施されれば
たとえ時間がかかっても日中関係は改善に向かうものと期待される。

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展望2015 ③アジア成長の“3つのカギ”

2015-01-13 08:00:00 | 報道/ニュース

1月7日 キャッチ!

2015年 アジア3つのキーワード
・ASEAN共同体
・中国
・「イスラム国」の影

ASEAN10か国が国際競争力強化をめざし今年12月に発足させるASEAN共同体。
域内の国と国の壁を可能な限り低くして人・もの・金の往来をスムーズにし
東南アジアをひとつの地域として機能させるというものである。
関税は原則ゼロ。
規制を緩和し外国企業の参入をしやすくする。
国境を越えたmade in ASEANを促進する広大な生産基地としても
6億人の巨大市場としても
魅力的な地域を作り出そうという野心あふれる戦略である。
そのために欠かせないのが交通網の発達。
インドシナ半島を縦横に結ぶ幹線道路「経済回廊」の整備が急ピッチで進んでいる。

タイ北西部人口約10万に町メーソート。
ミャンマーと接するこの町はいま好況に沸いている。
国境にはミャンマーへの輸出品を乗せたトラックが並んでいる。
積み荷は農業用のトラクターや建築資材など。
去年のメーソートの貿易額は約2,000億円(前年比30%増)。
(運送業者)
「ミャンマーから来る車も増えて国境はいつも大渋滞だよ。」
「“経済共同体”への期待で利益も増えているよ。
 給料も上がりそうでうれしいね。」
輸出品の中にはちょっと変わったものもある。
中古の自転車のほとんどは日本で使われていたもの。
(自転車輸出企業 社長)
「3か月で輸出量は倍になった。
 こんなに急増したのは初めて。」
町はいまショッピングセンターやマンションの建設ラッシュで地価も値上がりしている。
総工費50億円の建設中のマンションは1戸約1,000万円で売り出したがすでに8割が売却済みである。
購入しているのは貿易の拡大を見越したビジネスマンや投資家である。
中には中国や韓国の投資家もいると言う。
(不動産会社 社長)
「“ASEAN共同体”の発足で最も大きな影響を受けるのがこの町です。
 この町が発展し続けるのは間違いありません。」
ミャンマー政府も貿易促進の政策を打ち出している。
増加する貨物に対応するため税関施設を拡張。
大量の積み荷の検査を書類の申請を同時に行うことで通関業務をスムーズに行うためである。
この日 タイの副商務省がミャンマーの税関を視察。
両国はさらなる貿易の拡大に向け今後も協力していくことで一致した。
(タイ商務省 アピラディー副大臣)
「ASEAN共同体の影響はタイだけでなく周辺国にも拡大します。
 この国境からインドやバングラデシュにも輸出できるようになり
 期待を上回る闘志がこの地域にもたらされるでしょう。」

政治的にも国力にも差がある10か国のため一筋縄というわけではない。
だが発足がそこに見えてきたということで内外の期待は膨らんでいる。
日本企業もASEAN全域に進出を加速させている。
この地域の元々の成長のスピードに加えてチャイナ+1の選択肢としても進出を突き動かした。
この動きはASEANの主要国でありインドシナ半島の中心に位置するタイで顕著である。
進出企業をささえるため日本のメガバンクがタイ資本の銀行を統合あるいは提携しこの地域での展開力を確保。
地方銀行や信用金庫も拠点を相次いで開設した。
この地に日本が営々と築いてきた足場をここにきて急速に拡大強化をしている。
国別のタイへの直接投資額は日本が他を引き離してトップであること
タイ在住の日本人がこの10年で倍増していることがデータとして裏付けている。

ASEANでは道路だけでなく鉄道網の整備
工業団地の開発
電気、水道などインフラの整備が不可欠でしばらくは膨大なインフラへの投資が見込まれる。
これを狙って存在感を増しているのが中国。
中国は有り余る生産力を途上国に輸出することに国策として取り組んでいて
中心に鉄道を据えている。
日本も新幹線のノウハウと技術を前面に打ち出して安倍総理自ら売り込みを図ってきたが
中国が強力なライバルとして浮上している。
12月19日 中国の李克強首相とタイのプラユット暫定首相が
タイの南北を縦断する鉄道の建設計画について双方で協力を進めていくことで合意した。
(中国 李克強首相)
「この鉄道を発展させインドシナ半島の総合的な鉄道網にしていく。」
タイ東北部のノンカイから南北を縦断し首都バンコクや港湾地帯にあるラヨーンまでを結ぶ総延長約860㎞にわたる。
中国政府としてはこの鉄道を将来的に中国南西部の昆明までつなげ
ASEANへの物流網を確保する狙いがあるものとみられる。
鉄道が建設されるタイ東北部の町コンケン。
現在の鉄道の運行は1日6~7本でバンコクまで約8時間かかるため新たな鉄道の建設に期待を高めている。
中国による鉄道建設に期待する理由は他にもある。
地元経済界は鉄道建設を機に交通インフラの整備に乗り出そうとしている。
地元の企業経営者で作る団体が計画するのは専用の道路を設けてバスを運行する交通システム。
総工費約900億円で市内に5つの路線を敷く計画である。
コンケンは北に向かうとラオス
東に向かうとベトナムにつながる交通の要所に位置している。
鉄道と道路の整備でASEANのハブとして発展できると期待を高めている。
(物流関連企業 社長)
「コンケンは経済共同体の中心都市になれる。
 交通や貿易などによってコンケンは徐々に発展を遂げるだろう。」
タイの中央政府もこの計画に注目している。
中国の協力をてこに遅れていたこの地域の開発を一気に進めようとした。
「鉄道の建設で中国との行き来が活発になる。
 貿易や投資 観光やビジネスが促進されるだろう。」
ASEANの成長を取り込もうとする中国。
そしてそれを巧みに利用しようとするタイ。
ASEAN経済共同体の発足を前に駆け引きがすでに始まっている。
(マレーシア マハティール元首相)
「日本はこれまで輸送・技術・投資などでASEANやマレーシアに貢献し
 また東南アジアの人々を受け入れ学ばせてくれました。
 日本の貢献は大きく特に投資分野においては絶大です。
 日本は今後も技術移転に協力してくれると思いますが
 それはあくまでも部分的なものであって残りの技術開発は私たち自身で行わなければなりません。
 今日の開発は日本のおかげで常に学ばせてもらった。
 日本はいまも我々の模範なのです。」

インターネットが発達した今イスラム国の影響は直にアジアのイスラム教徒に及んでいる。
留意しなければならないのはアジアには何億人ものイスラム教徒がいるということ。
2億人にのぼる世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアを始め
マレーシア、フィリピンといった東南アジアは各国の当局は神経をとがらせている。
当局は10年余り前にアルカイダの影響を受けた東南アジアのイスラム過激派組織が
インドネシアをはじめ各地で爆弾テロを起こしていることを忘れてはいない。
アジアの専門家はアジアにおけるイスラム国について
アルカイダより巧妙かつ強力だと警告している。
すでにインドネシアだけでも500人がイスラム国に渡ったと当局は公表している。
当局が恐れるシナリオは
イスラム国帰りの過激派のメンバーが足もとでテロを引き起こすことや
イスラム国をアジアでも作ろうとする動きである。
アジアの成長と期待とともにそれを阻む要因として注視したい。

 

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展望2015 ②欧州・中東 深まる対立と懸念

2015-01-12 08:00:00 | 報道/ニュース

1月6日 キャッチ!


(31日 プーチン大統領)
「2015年には多くの課題はあるが
 効率的・創造的かつ効果的に取り組めば良い年になるだろう。」
プーチン大統領はすでに経済的困難から脱するために最悪2年は必要かもしれないと
国民に忍耐を訴えている。
しかしこのまま国民の暮らしが改善する兆しが見えないとなると政権への不満が高まることも予想される。
そうなるとプーチン大統領は内閣改造や中央銀行総裁の更迭などに追い込まれかねないという観測も出ている。
ロシアが事実上の債務不履行に追い込まれた1998年当時とは違って
ロシアの外貨準備高はまだ十分にあるという見方が現時点では支配的である。
しかしロシア発の不況が他の資源国や新興国全体に広がるという恐れはぬぐいきれない。
ロシアとしては目先の対策はもちろんだが輸出の7割をエネルギーに頼るという経済の構造改革を急ぐ必要がある。
ルーブルの急落の背景にはウクライナ情勢による欧米との対立があり
EUによる経済制裁の影響で国際金融機関からの借り入れや借り換えが出来なくなった影響が大きいと言われている。
これに対しロシアはヨーロッパ産の農産物の輸入禁止といった対抗措置を取っていて
制裁合戦はヨーロッパ経済にも大きな影響を及ぼしている。

リトアニアはかつてソビエト連邦の一部だったこともありロシアと経済的に強く結びついている。
このためロシアによる輸入禁止措置の影響はとりわけ深刻で
対象となる農産物は9億2,000万ユーロ(約1,300億円)分にのぼるとみられている。
これはGDPの2,7%にあたりユーロ加盟国の中でも群を抜いている。
(青果生産者協会 シロンキエネ会長)
「出荷はますます困難になり今や本当に望みが薄れています。
 来年は農地の3分の1を生産停止にする必要があります。」
ロシアに輸出される農産物の主力となっているのがニンジン。
リトアニア中部にある国内最大のニンジン生産農家では2013年の輸出の70%がロシア向けだった。
しかし突然の金融措置で国内やEU域内に売り先を変更せざるを得ない状況である。
同じ境遇のポーランドやオランダなどとの競争にさらされるなか
EUによる支援を受けてもなお価格は20%以上下落した。
新たな設備投資の計画は中断せざるを得ず
従業員の給料も支払えなく恐れが出ている。
(農業主)
「ロシア頼みだったので価格が落ちました。
 輸出再開を待つしかありません。
 プーチン大統領は自らの力を見せつけるために
 他国を追い落とし優位に立つためウクライナ危機を利用しているのです。」

このまま対立を続けていても双方のダメージが大きくなるばかりである。
しかし双方の首脳の発言からは根強い不信感がうかがえる。
(31日 メルケル首相)
「ロシアと敵対したくはないが力の強さをいいことに国際法を無視することは容認できない。」
(18日 プーチン大統領)
「ベルリンの壁が崩壊したあと欧米はNATOを東に拡大させないと約束したがすぐにその約束を破った。
 新たな壁を築いたのは彼らだ。」
ウクライナ情勢をめぐっては1月15日にロシアとウクライナ、ドイツ、フランスの4か国の首脳が会談を行う予定である。
関係改善の糸口を見いだせるか注目されている。
3年前の信用不安の引き金を引いたギリシャでは大統領が選出できず
1月15日に総選挙が行われることになっている。
ギリシャでは世論調査では緊縮財政に反対している急進左派連合が優勢となっている。
前回の信用不安を受けてEUは危機管理のためのメカニズムを整備している。
しかしギリシャの政局の混乱はヨーロッパ経済の大きな不安要素となるのは間違いない。
こうした事態を受けてECBヨーロッパ中央銀行が国債などを買い入れて市場に大量の資金を供給する
量的緩和に踏み込むのではないかという観測が広まっている。
スコットランドの独立で揺れたイギリスでは今年5月に議会選挙が行われる。
議会選挙ではイギリスとEUの関係が争点の一つとなる。
EUが加盟国の権限を抑えて巨大化していくという現状にイギリス国内から不満の声が高まっているからである。
キャメロン首相はすでに選挙に勝利すれば2年後にイギリスがEUにとどまるべきかを国民投票で問うという方針を示していたが
4日 可能であればこの投票を前倒しして行いたいと表明した。
そうしたなかで注目を集めているのがイギリスのEUからの独立を掲げるイギリス独立党(UKIP)。
豊かさを求めて大量の移民が入ってくることへのイギリス国民の反発などを背景に支持を拡大している。
(UKIPイギリス独立党 ファラージュ党首)
「ヨーロッパは好きだがEUは嫌いだ。
 移民には反対しないがイギリス政府がコントロールできるようにすべきだ。」
UKIPの獲得議席数によってはイギリスとEUの関係
ひいてはEUの将来に影響を及ぼしかねない。
イギリス国民の選択にEUの内外の目が注がれている。
今年は第二次世界大戦が終わってから70年。
ヨーロッパに二度と戦火を起こさないという強い決意で始まったヨーロッパ統合だが
今年はこれまでの統合の成果とその将来をあらためて考える年になりそうである。

隣り合わせの中東では「イスラム国」をどう食い止めるかが課題となりそうである。
1年前にはシリアの内戦でアサド政権と戦う反政府勢力の中の過激派グループに過ぎないとみられていた「イスラム国」。
6月にイラク第2の都市を突然制圧した後勢力を急速に拡大した。
インターネットを駆使した巧みな広報戦略で戦闘員を募り
イラクとシリアに渡った外国人戦闘員は80か国以上 1万5,000人にのぼるとみられる。
一時 イラクの首都バグダッドに迫る勢いを見せ
危機感を抱いたアメリカは有志連合を呼びかけてイラクとシリアへ相次いで空爆に乗り出した。
これまでの空爆でナンバー2とされる指導者など複数の幹部を殺害し
イラク軍が支配地域を一部を奪還するなど勢力の拡大は食い止めている。
しかしイスラム国の戦闘員は市民に紛れて活動しているため空爆の効果には限界があるうえ
アメリカをはじめとする有志連合も地上部隊の派遣には及び腰である。
さらにシリアではアサド専権、反政府勢力、イスラム国の三つ巴の戦いとなっていて
イスラム国に結束して立ち向かえない状況である。
こうしたなかイスラム国の過激な思想に影響を受けたとみられるテロが
有志連合に加わっているカナダやオーストラリアなどで相次ぎ
国際社会にとって大きな脅威となっている。
国際社会は戦闘員や資金の流れを断つなどしてイスラム国に対する包囲網の構築を目指しているが
60以上の国と地域からなる有志連合の間では足並みの乱れが表面化することも多く
その壊滅には程遠い状況である。
イスラム国にはヨーロッパ各国からも社会から疎外された多くの若者が参加している。
また空爆に参加しているヨーロッパの国でもテロの懸念も高まっている。
イギリスとフランスによって第一次世界大戦後にひかれた今の中東の国境を認めないイスラム国を
アメリカと協力しながらいかに封じ込めるか。
ヨーロッパが引き続き模索する年となりそうである。




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展望2015 ①好調 アメリカ経済の行方

2015-01-11 10:04:34 | 報道/ニュース

1月5日 キャッチ!

雇用状況が改善し個人消費も堅調なアメリカ経済。
アメリカは今年3%の成長が見込まれている。
リーマンショック後の家計が抱えていた過剰な借金がようやくなくなってきていること
失業率が5%台まで下がって雇用状況が改善し賃金が上昇する兆しが出ていること
そして原油価格の下落が要因に挙げられる。 
アメリカ経済は個人消費が70%を占めている。
原油価格は去年の夏から約半分に値下がりした。
ガソリンが下がったぶん他の買い物に回せるお金が増えたわけで
約10兆円の減税があったのと同じ効果があるという試算もある。

原油の下落の恩恵をいち早く受けているのが自動車産業。
去年の販売台数は2013年を上回り1,600万台に達したとみられている。
日系メーカーも軒並みフル生産の状況が続いている。
(トヨタ自動車ミシシッピ 浜口昌史社長)
「アメリカ市場の回復とともにたくさんの注文を頂いている。
 通常の生産能力は17万台だが残業などを重ねて今年は19万台の見込みだ。」
アメリカ市場はさらに伸びるとみて自動車関連メーカーも新たに大規模な投資に踏み切っている。
横浜タイヤはミシシッピ州に360億円かけて新工場を建設中で
今年秋からトラック用タイヤ年間100本を生産する予定である。
(横浜タイヤ製造ミシシッピ 山本忠治社長)
「アメリカは人口が毎年増え
 自動車の保有台数も増えている。
 タイヤの需要も堅調だとみている。
 アメリカは世界トップ市場のひとつで最重要市場だ。」
人材確保のため横浜タイヤはミシシッピ州立大学の一角に臨時のオフィスを置いた。
地域の情報を集めるとともに即戦力となる学生の採用を進めるのが狙いである。
一方大学側も企業に協力して教室を提供。
新工場の従業員のための研修がすでに始まっている。
(大学生)
「新工場への就職は絶好の機会です。
 日本の技術製造を学び自身のキャリアアップにつなげたいです。」
(ミシシッピ州立大学 調査研究センター テレサ・ガミル副所長)
「工場進出はこの地域だけでなく州全体の安定につながります。
 その恩恵は次の世代も含めアメリカ全体で続いていくでしょう。」
景気の拡大が続くアメリカでは日本の高度な技術を導入する動きも広がっている。
今年アメリカの3つの都市で初めて日本メーカーが開発したバスの“運賃収受システム”が導入される。
日本から送られた社員の指導のもとで現地で組み立て作業が急ピッチで行われている。
新しいシステムではICカードのほか複数のコインを同時に投入できる。
日本メーカーならではのきめ細かい工夫が評価された。
(レシップ社 杉本眞社長)
「顧客満足 
 お客様が何を望んでいるか
 それをいかに実現していくか
 日本人特有の誠実さや物事をやり抜くことが評価されたと考えている。」
現在はトラブルが多くたびたび運行が遅れる原因になっているだけに
地元の自治体も日本の新しいシステムの導入に期待を寄せている。
(交通当局 担当者)
「大きな変化です。
 とても使いやすくなるでしょう。」
(ルイビル市 グレッグ・フィッシャー市長)
「日本企業は的確かつ柔軟に問題を解決してくれます。
 ケンタッキー州ではより多くの日本企業の進出に期待しています。」
世界経済のけん引役となるアメリカ。
その拡大する市場を目指す動きが活発化している。

もちろんアメリカ市場には日本だけでなく世界各国が参入しようとしている。
日本ならではの技術やモノづくりのこだわりを持って顧客のニーズを丁寧にくみ取っていけば
日本企業がさらにアメリカでビジネスチャンスを切り開く可能性が大いにある。
原油安にはマイナス面もあり
テキサス州をはじめとするシェール関連産業では新たな投資を取りやめるところも出ていて
地域経済が影響を受けることは避けられない。
いまのところ個人消費を押し上げる効果の方が上回り
原油安はアメリカ経済全体にとってはプラスとみられている。
(カリフォルニア大学バークレー校 アイケングリーン教授)
「原油安は世界経済にとってプラスです。
 アメリカにも好影響を与えている。
 エネルギーを輸入しているヨーロッパ諸国にも良い影響が出ます。
 日本や中国などの経済にも同様の理由でよい影響を与えます。
 一方でロシアやベネズエラ 中東の産油国にとっては打撃です。
 2015年の世界経済に何らかの影響があるでしょう。
 産油国の1つで事態が悪化すれば影響はその国だけにとどまらないでしょう。
 ロシアのプーチン大統領は窮地に立つと極端な行動をとる傾向があります。
 国内問題から国民の目をそらすために外交で冒険的な行為に出るかもしれません。
 ロシアにはリスクがあると言えるでしょう。」
アメリカ経済の今後の最大の焦点は金融政策である。
アメリカは今年半ばにゼロ金利政策をやめて金利引き上げに踏み切るという見方が強まっている。
利上げのテンポは緩やかになるという見方が一般的だが
実際に金利の引き上げに踏み切った場合
新興国からの資金がアメリカに還流する動きが加速してさらにドル高が進む可能性があるという見方もある。
アメリカの金融政策の転換が世界の金融市場にどんな影響を及ぼすのか注意深く見ていく必要がある。
来年の大統領選挙には教頭では元フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ氏が立候補に前向きな姿勢を表明した。
しかし支持率は10%余にとどまっていてまだ混戦模様である。
一方民主党はヒラリー・クリントン元国務長官が民主党支持者の間では60%以上の支持を集めている。
ただここのところ自らが民主党支持者だとする人の割合が下がっていて
ヒラリー氏が国民全体から支持を集めることが出来るのかまだ予断を許さない。
この背景には景気回復が続く中でも豊かさが実感できないという国民の不満が根強く
オバマ政権が有効な対策を打ち出せていないことがあるとみられている。
金融危機のあと富裕層の所得は5%増えたが
中間層以下ではほとんど増えていない。
格差は一段と拡大している。
(カリフォルニア大学バークレー校 アイケングリーン教授)
「アメリカでは不平等の問題は長い時間をかけて形作られました。
 アメリカの平均賃金は1980年代から上がっていません。
 金融危機と高い失業率が人々にこの問題を気付かせたのです。
 長年続いてきた問題の解決には長い時間をかけた対応が必要です。
 教育や大学へ行かない人に対する職業訓練の内容を改善するべきです。
 富裕層への増税も必要です。
 ここ20年ほどの間に富裕層への税率は劇的に下がりました。
 アメリカ社会としてどう対応するのか議論が必要です。」
アメリカでは白人と黒人、ヒスパニックとの格差が一段と顕著になっている。
こうした不満が警察官による黒人殺害事件に端を発した抗議行動の背景にあるという見方も出ている。
2016年の大統領選挙に向けて民主党と共和党は
中間層が豊かさを実感できるような具体的な政策を打ち出し支持を広げることが出来るかが
候補者選びのひとつのカギになる。

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言論テロに屈せず  明日も喋ろう 弔旗が風に鳴るように

2015-01-10 08:00:00 | 編集手帳

 1月9日 編集手帳

 

宗教の絡んだ流血事件が起きるたびに、
やりきれない気持ちで思い出す五行歌がある。
〈問題が神ならば/人間が代わりに/闘うことはない/神同士が/闘えば済むことだ〉(山田武秋、市井社『五行歌秀歌集1』)

「神は偉大なり」と叫びながら銃を乱射したという。
フランスの政治週刊紙『シャルリー・エブド』 のパリ本社が襲撃され、
編集長など12人が殺害された。

週刊紙がイスラム教の預言者ムハンマドを風刺する漫画を掲載したことに対する“復(ふく)讐(しゅう)”ともいわれる。
動機が何であれ、
正気の沙汰とは思えぬ蛮行を心から憎む。

言論機関が脅されて書くべきことを書かずに済ませることは、
ない。
書く量が増し、
表現に鋭さが加わるだけである。
言論テロからは、
おのが信奉する神の評判を貶(おとし)める逆効果しか生じないことを襲撃者は知っていい。

朝日新聞阪神支局の襲撃事件を想起した方も多かろう。
何年か前に事件現場の支局を訪ねたとき、
壁に自由律の俳句が掲げてあったのを覚えている。
作者は詩人の小山和郎さんである。
〈明日も喋(しゃべ)ろう/弔旗が風に鳴るように〉。
その言葉を、
改めて胸に刻む。

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苦境に立つパク政権 日韓関係の行方

2015-01-09 08:00:00 | 報道/ニュース

12月25日 キャッチ!


4月に起きた旅客船セウォル号の沈没事故。
政府の対応のもたつきに国民の怒りが集中した。
パク・クネ政権は2013年2月の発足以降 最大の危機に直面した。
(パク・クネ大統領)
「今後 犠牲者の魂を悼み
 安全の重要性をかみしめるために追慕碑を建て
 4月16日を“国家安全の日”としたいと思います。」
涙の談話発表の翌月の統一地方選挙で与党は劣勢を挽回。
選挙に強いと言われる朴大統領の定評を裏付けた。
11月には長年の懸案だった中国とのFTA自由貿易協定を締結。
経済対策にも力を入れていることをアピールした。
11月末 そのパク政権を揺るがす報道が飛び出した。
パク大統領の元側近が大統領府の人事に介入したと記される内部文書が流出し
その内容を韓国の新聞が特ダネとして伝えたのである。
記事の内容は衝撃的だった。
大統領元側近のチョン・ユンフェ氏が密かに大統領府の高官に対し秘書室長の追い落としを支持したというものだった。
渦中の秘書室長とはキム・ギジュン氏。
大統領の側近中の側近として知られる。
記事はこの秘書室長の追放を支持したチョン氏こそが陰の実力者だと記されていた。
大統領は繰り返し疑惑を否定する。
(7日 パク大統領)
「ゴシップで国全体が揺らぐとは本当に恥ずかしい。」
「“秘密ルート”や“陰の実力者”と報道すれば疑惑があたかも存在するようで受け入れられません。」
(最大野党 報道官)
「検証もないまま大統領の発言を国民が受け入れることは困難です。」
大統領の指示を受け検察は直ちに調べに着手。
出頭したチョン氏が口にしたのは別の疑惑の人物の存在だった。
(大統領 元側近 チョン・ユンフェ氏) 
「国政に介入したことは事実ではない。
 火遊びをした者が誰なのか
 やがて明らかになるでしょう。」
チョン氏が批判したのは誰なのか。
もう1人の人物にも焦点が当たる。
大統領の実の弟のパク・チマン氏である。
パク・チマン氏とチョン氏が大統領への影響力を競い合い
その対立が文書流出への背景にあるのではないかという見方が広がった。
(大統領の弟 パク・チマン氏)
「知っている事実のままに話をする。」
流出の経緯を知っているのではないかと捜査の対象になった警察官が刺殺する事件も起きた。
検察の捜査は長引いている。
「市民が信頼できない政権になってしまった。」
「国民は背信を感じる。」
大統領に近い人物らが国民の見えないところでうごめき政治に手を突っ込んでいるのではないか。
パク政権への不信感が強まっている。

パク政権は今回のスキャンダルによってさらに風当たりが強まっている。
旅客船沈没事故以外にも
大統領が首相に指名した候補者が問題を指摘されて就任できなかったりといったつまづきがあった。
しかし政府の危機対応や人事上の問題と受け止められていた。
ところが今回の問題は朴大統領を取り巻く人たちの間で起きた。
政権初のスキャンダルと指摘される所以である。
(ミョンジ大学 シン・ユル教授)
「“秘密ルート”という話が出て権力が私的に行使されていると国民は疑惑を持ち失望している。
 大統領支持層の50歳代で支持が落ちる現象がみられます。」
当面の焦点は内部文書流出の経緯をめぐる検察の捜査だが
結果がどうであれパク政権が支持を一気に取り戻すことにつながるとは思えない。
ここにきて年明けに首相をはじめとする閣僚や大統領府高官の入れ替えを断行するのではないかという観測が流れている。
大統領が人事の刷新を図ることで政権へのマイナスイメージを払拭しようとしているのかもしれない。

パク政権は北朝鮮との対話を急ぐ必要はないと考えている。
いま国際社会の間で北朝鮮によるサイバー攻撃や人権問題がクローズアップされているだけに
なおさらそうした思いを強くしている。
また中国についてパク政権は引き続き関係を深めて経済的な利益を確保するだけでなく
将来 朝鮮半島が統一する際に中国の協力を得ることに備えをおくことに当面重きを置く構えである。
来年 日本と韓国の国交正常化から50年という節目である。
安倍政権の今後の動きを注視するとともに
従軍慰安婦の問題をめぐって日本との間で解決に向けた道筋を見出せるかどうか
模索するものとみられる。
冷え込んだままの日韓関係の現状を疑問視する声は韓国にもあり
国内世論の動向によってはパク大統領が関係改善に踏み出す可能性はある。
ただそれはパク政権に確かな基盤があってこそ可能である。
今回の大統領府をめぐる騒動がきっかけでパク政権が残り3年余の任期半ばで求心力を失うことにもしなった場合
日韓関係は厳しいまま推移することになりかねず
日韓の外交筋からは懸念の声も出始めている。

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日本経済を元気に ③どう狙う 次の一手 原油安をいかせ

2015-01-08 08:00:00 | ビズ プラス

12月21日 BIZ+SUNDAY

神奈川県の自動車部品メーカー 秦野精密。
年商50億円。
エンジンやブレーキの部品を作っている。
部品を作る過程で潤滑油を大量に使っている。
この会社では潤滑油などにかかる経費は年間4,360万円。
それが原油安安の影響で来年1月から7%減る。
(秦野精密 淵脇忠夫社長)
「年間305万5000円節約できる。
 大きい。
 助かる。」
原油安のメリットをどう生かすのか。
“次の一手”を狙う
いま淵脇さんは原油安で浮いた資金を使って攻めの経営をしようとしている。
最新鋭の機械を導入し部品の生産効率を上げ
新たな取引先を獲得しようとしている。
(秦野精密 淵脇忠夫社長)
「前から設備を計画して思いも含めてほしいなと思って。
 新しいものを入れられる体質が出来てくるのではないか。」
エコノミストの永濱利廣さんは
原油安のメリットを中小企業は最大限に生かすべきだと言う。
(第一生命経済研究所 主席エコノミスト 永濱利廣さん)
「日本国内からの所得の流出が8兆円以上抑制できる。
 これによって来年度の経済成長率は原油安で0,7パーセント押し上げられる。
 大きなインパクトが期待できる。」

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日本経済を元気に ②消費拡大のカギは?とことん“極める”

2015-01-07 08:00:00 | ビズ プラス

12月21日 BIZ+SUNDAY

家電量販店の掃除機売場。
日本の家電メーカーだけでなく海外メーカーも数多く参入。
激しい開発競争が続いている。
そんななか一見普通に見える掃除機が今大ヒットとなっている。
東京町田氏に住む石川アツ子さん。
70代の石川さんが一戸建ての家を掃除するのは一苦労。
そんな悩みを解決してくれたのが本体の重さわずか2キロの掃除機だった。
「本当に軽いから2本の指でも持てる。」
これまでの掃除機の約半分である。
階段でも片手で持ち運べ楽に掃除が出来る。
(石川アツ子さん)
「便利。
 本当にいいものが開発というか出てきたのでうれしい。
 友だちに広める」
この掃除機を作ったのはパナソニック。
その戦略とは?
とことん“極める”
いま掃除機の市場では吸引力やデザインをめぐって熾烈な競争が繰り広げられている。
新たな需要を掘り越すためこのメーカーが目をつけたのがシニア層。
掃除機の軽さを極めればライバルに勝てると考えたのである。
しかし軽量化を実現するのはそう簡単ではなかった。
開発チームが取り組んだのは掃除機を覆うカバーの軽量化。
樹脂に変えて強化プラスチックを編みこんだ薄いシートを使うことを決めた。
ところが初めて扱う素材だったため他の部品と上手く接着できなかった。
(パナソニック 掃除機設計チーム 黒木義貴リーダー)
「並大抵の今ある技術の組み合わせでは絶対できない。」
部品の接着が出来るようになったのは1年半後。
ようやく掃除機が完成した。
長年培ってきた技術で他社にない特徴を極める。
その戦略が成功につながった。
(パナソニック 掃除機設計チーム 黒木義貴リーダー)
「ノウハウが蓄積できて新しいものを生み出せた。
 日本の工場だからこそできると信じている。」

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記日本経済を元気に ①地方再生のカギは?“ありのまま”を売り込め

2015-01-06 08:00:00 | ビズ プラス

12月21日 BIZ+SUNDAY

 

大分県宇佐市安心院町は過疎が進む山あいの小さな町である。
これといった観光名所もない町にやってきた観光バスから降りてきたのは韓国からの旅行客。
町を訪れる外国人観光客は年間1,300人。
新たな産業が生まれようとしている。
観光客が泊まるのは農家。
なぜ海外からこんな山里にやって来るのか。
そこにはこの町独自の観光戦略があった。
“ありのまま”を売り込め
“ありのまま”を売り込むとは地元の人たちの普段の暮らしを体験してもらうこと。
たとえば農家の家。
「この家はいつ建てられたのですか?」
「日本の年号で明治28年。
 120年くらい前。」
古い民家は都市化が進む韓国で減っていて
観光客の興味を引くことが出来る。
家の畑で採れた野菜は郷土料理の団子汁にして観光客にふるまう。
ホテルに泊まったら決して食べることのできないごく普通の家庭の味が受けている。
「素材が生かされていてとてもおいしい。」
なぜこの町は“ありのまま”に注目したのか。
きっかけはこの町を訪れた韓国の旅行代理店の職員の一言だった。
“あなたの町には東京や京都などの観光地にはない魅力がある”
何気ない風景や暮らしの中に観光資源が眠っていることに気付かされた。
(NPO法人 安心院町グリーンツーリズム研究会 宮田静一会長)
「田舎暮らしはぜいたくな暮らしをしている。
 そのおすそ分けということです。
 自分の生活が恵まれていることに気が付いた。」
観光客の宿泊を受け入れている農家は現在60軒。
年に300万円稼ぐ農家も現れ
町に1億5千万円の経済効果をもたらしている。
(NPO法人 安心院町グリーンツーリズム研究会 宮田静一会長)
「小さいですけど成長産業だと思う。
 必ず来たときに感動を与えられるよう農家に努力してもらっている。」
この町に暮らす人そのものも大きな観光資源になっている。
時枝仁子さん(61才)は田舎ならではの人とのつながりを大切にする精神で観光客をもてなしたいと考えている。
(民宿を経営 時枝仁子さん)
「お客様という感覚ではなくて
 自分の肉親が帰ってきて
 寒かろう
 暖かいものが食べたいだろうとか
 そういうことを自分だ勝手に思って。」
観光客の中には都会で暮らす人も少なくない。
まるで故郷に帰ったようだと話す人もいる。
「食事を作る母の姿を思い出して泣きそうになった。
 素晴らしい体験。」
1泊2日 農家の宿泊体験。
町を離れる前 ある観光客は長年愛用してきた大切な指輪をプレゼントした。
何気ない普段の暮らしにこそ宝がある。
小さな山里の挑戦が続く。

 

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米との関係改善へ キューバで高まる期待

2015-01-05 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月21日 NHK海外ネットワーク

アメリカとキューバ。
半世紀以上にわたって国交を断絶してきた両国の関係が歴史的な転換点を迎えた。
アメリカのオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は同時に演説し
国交正常化に向けた交渉を開始すると発表した。

“カリブ海の真珠”とも称えられる風光明媚な島国キューバ。
アメリカ南部のフロリダからわずか150キロほどのところにある。
アメリカとの関係改善の動きに国民は喜びに沸いた。
革命後いまも続くアメリカの経済制裁。
50年前から建物や道路などインフラ整備は進んでいない。
深刻なのが物資の不足である。
首都ハバナの中心街にある大型スーパー。
キューバ一の品ぞろえだといわれるこの店の商品棚もガラガラに空いている。
国交正常化で物資の持ち込みが緩和されれば品薄も改善するのではないかと期待されている。
「経済制裁でかなり不自由な思いをしている。
 制裁解除となれば多くの利益をもたらしてくれる。」
関係改善を待ちわびてきたのが外貨獲得の手段として国を支えてきた観光業である。
キューバの革命広場。
車の輸入が制限された結果
現役で走るアメリカ製のクラシックカーが人気である。
訪れるのは主にロシアや中国など友好国からの観光客。
(中国人観光客)
「キューバは大好き。
 景色がいい。」
そこにアメリカの観光客が加われば経済再建を後押ししてくれると期待されている。
(レストランの従業員)
「キューバとアメリカは大きな可能性を持っている。
 だから観光がのびればキューバの経済も成長するだろう。」
アメリカの文豪ヘミングウェイが20年以上にわたって暮らし執筆をつづけるなど
キューバは世界の数々の芸術家や作家を魅了してきた。
自らも多くの芸術家をはぐくんできたが
アメリカに活動の場を広げようとしても渡航禁止などの厳しい制限を受けてきた。
カルロス・アイレスさんも関係改善を期待している芸術家の1人である。
観光客向けに絵画を売って生計を立てている。
制裁の緩和で往来が自由にできるようになれば
アメリカの人たちに自分の作品を売り込むチャンスが飛躍的に増えるのではと考えている。
(カルロス・アイレスさん)
「これまでとは異なる両国の関係になる。
 特に芸術の分野には利益をもたらす。
 長い間待ち望んでいたことだ。」

キューバが一番に期待しているのは金融取引を対象にした制裁の解除である。
金融制裁の結果 アメリカはもちろん友好国からの送金もままならず
多くの外国企業がキューバに投資することが出来なかった。
制裁解除で投資環境が劇的に改善し外国からの投資も期待できる。
このほかアメリカに亡命した家族からの送金が増えて生活が楽になるのではないかと期待の声も上がっている。
ラウル・カストロ議長は
“キューバがアメリカに民主主義からの変化を求めなかったように
アメリカもキューバに社会主義体制の変化を求めるべきではない”
と述べアメリカをけん制した。
経済を立て直したいものの急激な変化は望まず
あくまでも現体制を維持しながら国民の生活を改善したい考えである。
格差が生まれれば国を支えてきた社会主義体制
つまり国民の平等が揺るぎかねないという懸念がある。
経済の再建と体制の維持のバランスを計りながら
アメリカとの国交正常化交渉に臨むことになる。



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“2つの被災地”教訓を胸に

2015-01-04 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月21日 NHK海外ネットワーク


10年前の年の瀬
インド洋の沿岸地域一体が巨大な津波に襲われた。
インド洋大津波は東南アジアだけでなくアフリカの東部にまで到達。
死者・行方不明者 合わせて22万人超の未曽有の被害をもたらした。
このときインドネシアのバンダ・アチェでは津波で6万人以上が犠牲になった。
あれから10年。
建物の再建など町の復興は進んだものの
災害に強い町をどう築いていくのかという課題は残ったままである。
そのバンダ・アチェで
東日本大震災で自らが学んだ経験を生かそうとしているインドネシア人の男性がいる。

今年10月 バンダ・アチェ市で行われた津波を想定した避難訓練。
10年前に大津波の経験を忘れないようにと毎年行われている訓練。
しかし参加者の中には当時のことを思い出し泣き出してしまう人もいた。
この訓練を企画したのはバンダ・アチェ市の職員 ハフリザさんである。
自らも大津波で被災したハフリザさんは
訓練に住民の1%程度しか参加せず落胆した。
大津波から10年
他の地域から移り住んできた住民も多く
津波に対する危機感が薄いとハフリザさんは感じている。
「ここに最近住み始めたのでよくわからない。」
「災害に備える必要はない。」
さらに再建された町の作りも防災を意識したものではないとハフリザさんは指摘する。
(ハフリザさん)
「海のそばに住宅が無秩序に建てられている。
 いざというときに避難しにくくなっている。」
大津波のあと町の復興を急ごうと急ピッチで住宅が再建された。
そのため道幅は狭く曲がりくねったまま。
避難路の確保など災害への備えが後回しになってしまったとハフリザさんは考えている。
(ハフリザさん)
「災害を意識した町の復興計画を立てなくてはいけない。
 住民と共に考える必要がある。」
実はハフリザさんは今年3月までの1年間
日本で防災対策を学んでいた。
JICA国際協力機構の支援で
震災の被災地 宮城県東松山市で研修を受けていた。
被災者から直接話を聞いたハフリザさん。
日本では学校が避難所に指定されていること。
そして避難ルートの決定に住民の意見を取り入れていることを初めて知った。
日本人ひとりひとりの防災意識の高さをハフリザさんは感じた。
(ハフリザさん)
「興味深かったのは住民自ら災害に備えて必要なものをそろえていたこと。
 住民が意識することがとても大切。」
日本で自分が学んだことを生かしたい。
帰国したハフリザさんは災害に備えることの大切さを住民に知ってもらおうと動き出した。
目をつけたのは大津波のあと市内に建てられた津波からの避難場所となるビル。
屋上に救助用のヘリポートを備えた4階建てのこのビルは普段はコミュニティーセンターとして使われている。

6年前に日本のODA財布開発援助で建てられた。
しかしここが避難場所となることは住民の間に十分には浸透していない。
こうしたビルを住民が気軽に足を運べるっ場所にしようと
ハフリザさんはインターネットの環境を整備。
さらに津波の写真展を開くなどして住民に防災の大切さを呼びかけていく計画を立てた。も
帰国後も週に一度は東松山市を連絡を取り合っているハフリザさん。
大津波から20年になるバンダ・アチェの防災対策を万全なものにしていきたいと決意をあらたにしている。

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冬の枝になぐさめあり

2015-01-03 08:00:27 | 編集手帳

1月1日 編集手帳

 

この季節にだけ姿をお見かけするご近所の一家がある。
わが集合住宅の前が公園になっていて、
縁取る形に落葉樹が植わっている。
冬、
向こう側の景色を覆っ ていた葉が落ちて、
そのお宅の玄関が枝の間に見え隠れする。

面識があるわけではなく、
ろくに名前も存じ上げない。
この冬は遠目にも伸びた男の子の背丈に、

流れた1年という時間を感じている。
「あ、オメデト」と、
窓から一方通行の賀詞をつぶやくだけのおつきあいである。

〈春の枝に花あり/夏の枝に葉あり/秋 の枝に果あり/冬の枝に慰(なぐさめ)あり〉(内 村鑑三)

花や葉や実のある頃は気づかず、
それらが消えた冬を迎えて、
初めて見えてくる景色がある。
順風のもとで何不足なく生きてきた人が、
逆境に立たさ れて初めて、
人の情けのぬくもりを知るのと似ているかも知れない。

悲しい出来事をしばしば取り上げる小欄はさしずめ、
紙面の片隅に開いた北向きの小窓だろ う。
人々の心の葉が枯れ落ちたとき、
元気いっぱい寒風に駆け出すあの男の子のようになれたらいい。
枝に「慰」のある冬木立の景色をお目にかけられたらいい。
小窓の願いである。

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