シンクロナイズドスイミングの井村雅代さんは、以前に中国チームのコーチをしていました。
井村さんご自身の講演で聴いた話を紹介します。
北京オリンピックを前にして、四川省出身の中国チームの選手が故郷を離れている合宿中に、四川省大地震が起こりました。
それは2008年のことでした。
家のことが気になる。でも、オリンピックが迫っており、戻ることもできない。
不安で胸が張り裂けそうになり、動揺して、シンクロを投げ出しそうになる選手を励ましたのは、井村コーチの言葉でした。
考え抜いた末に、井村コーチが選手に投げかけた言葉は、「ここは北京です。みんながあなたを応援しているよ」でした。
その人のことを想い、ひねり出した言葉は、聞く人の胸に届きます。
コーチが選手にできるのは、もちろん技術指導ですが、それ以外にメンタル面を支えることです。
試合前に選手が抱く不安要素を取り除くことであるのかもしれません。
翻って、教育や子育てで教師や親ができるのは、子どもの不安を取り除き、子どもがくじけそうになる心を、自信をもってものごとに向かっていけるように変えることではないかと思うのです。
たぶん、コーチというものは、子どもが幼い頃は「指導者」の役割がおもです。
しかし、思春期の頃は、「指導者」的役割を残しながら、「理解者」になるのが教師や親の役割でないかと思います。
私たちは中学生と接するときには、子どものよき指導者・理解者として、信頼関係をもとにした教育・子育てをするのです。
子どもが教師や親を信頼していればこそ、子どもの力を引き出し、意欲を喚起します。
また、信頼してくれている大人の期待に応えたいとして、子どもは取り組むのです。
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