わたしが中学3年生の学級担任をしていた頃の話です。
大阪府は今もそうですが、府立高校の入試レベルは階段状に難易度が分かれており、生徒が進学を望む高校の合格可能性を学級担任は見極め受験指導をします。
生徒も親も、たいていの場合、「少しでも上の高校へ行きたい」という願いをもちます。
しかし、中学校はギリギリの学力で受験生するよりも、すこし学力的に余裕がある高校を選ぶように指導します。
合格ラインぎりで受験するのと少し余裕をもって受験するのとでは、入学後の成績に影響するからです。
第1志望校の低位より第2志望校での上位では、入試時点ではわずかな違いの実力にもかかわらず、入学後の成績は第2志望校の方が高くなるのです。
この傾向は、とくに学力上位校に現れやすいのです。
それは、入学後の本人の自己効力感が関係するからです。
「自分ならきっとうまくできる」と自分の可能性を信じている子どもは、進路や進学に明るい希望を持ち、努力して学習を続けます。
しかし、第1志望の最低位になってしまうと、学力の高い優秀な同級生と自分を比較して、自分に対する自信を失い、努力することをやめてしまうのです。
進学校への入学を果たしたにもかかわらず、入学直後のテストで低い成績を取ってしまい、下位層から浮上できなくななるのです。
受験校を選択する際の大切なことは、他人との競争に勝つことではありません。
社会に出た後に活躍していれば、学生の頃に受験に失敗したなどという話は取るに足らないことです。