
多くの子どもにあてはまることですが、(おとなにもあてはまりますが)何かに夢中になっているとき、親から中断するように言われると、なかなか次の行動に移れないものです。
たとえば居間で、スマホのパズドラゲームに夢中になっている子に、「もう塾へ行く時間でしょ。早くしなさい」と母が声をかけます。その後、母は家事を続けます。しばらくして、「早くしなさいと言っているでしょう」と声を荒げます。
その子はプリッとして「きょうは、もう行かへん!」といって、自分の部屋に入り、ドアをパタンと閉めてしまいました。
子どもがプリっとする前に、親はどのようにするといいのでしょうか。
このようなときは、塾へ行く時間までに、段階を踏むことが効果的なようです。
塾へ行くため出発する時刻の10分前になると、「あと10分やで」、5分前になると「あと5分やで」→そして10分が経つと「さあ、出発やで」というように、前もって、予告を重ねていくと、子どもの行動が刹那的にならず、気持ちの中に見通しが生まれます。
とくに気持ちや行動の切り替えが苦手な子には、行動の見通しがもてるので、親も子どもも、比較的楽な気分で過ごせます。
これは、学校の教育でいう「ユニバーサル・デザイン」の教育に通じるものです。とくに発達障害など、困り感の強い子は突然「○○しなさい」と言われると戸惑うことが多く、行動・思考が停止して固まってしまうことがあります。
でも「今日は、3限目の国語と4限目の体育が入れ替わり、時間割が変更になります」と、前もって予定が伝わっていれば、2限目が終わると、体操服に着替えるという見通しがもてます。そして比較的スムーズに次の活動への切り替えができます。
このように、あらかじめ予定を伝えておくことは、どの子にとっても、見通しがもてることになります。つまり「ユニバーサル・デザイン」の教育はすべての子にとって役に立つ教育であると考えることができます。