送り出す思い

昨夜、古い友人の奥さんから電話が有った、数年来寝込んでいた友人の病気が悪化し、先日来再入院していたが今日医師から「会わせて置きたい人が居たら連絡を」と言われたらしい、２０代から色々一緒に遊んで来た、互いに子供が遅くて「一緒に養老院に行って毎日麻雀でもするか」と言うような付き合いだったがお互いに遅い子供を授かって子供繋がりでもずっと親しく付き合って来た、若い時の不摂生がたたり糖尿病と高血圧で倒れたのは5年ほど前か、４月頃見に行ったが此方の顔を思い出すのに時間が掛かる程になってしまっていて思い出しても数分で分らなくなってしまう程に思わず涙が流れた、しかし彼は不思議そうな顔で私の顔を見ているだけだった、気にはなっていたのだが今自分の足元も不安定で中々行けず昨日の電話になってしまった、思えば随分大勢の人を見送って来た、最初に母親から父親、兄達、義兄、と親族関連でも７人を数える、そして友人達、その内２人は私より若い、そして又見送る事になりそうだ、お陰で葬式の知識は随分着いたがありがたくもない、行くもの達より残る人達の顔を見るのが辛い、
翻って自分も考えなければとも妻と話をする事が多くなる、そんな年では無いのだがこう身近で続くとつい考えてしまう、自分は早く両親を亡くし家族の縁が無いせいかあまり墓の事は考えていない、少し前は「散骨」が良いかと思っていたのだが最近は良く聞くようになった自然葬が良いかなとも思い出した、骨を埋めてそこに好きな木を植える、覚えているならその木を見て思い出してくれれば良いし忘れてしまえば自然の林になる、しかし最近はかなり怪しい業者も出来て来たらしい、又犯罪上この場所に死体を遺棄されると非常に分りにくくなるからと当局も難色を示しているらしい、いずれにしても死んだ本人は分らないのだからどうでも良いのだが、友人達を見送るとやはり手を合わせる場所が有ると思いを見つめるのには必要なのかなとも思う