生まれ変わっても

晩酌の時、かみさんが「生まれ変わったら何をしたい？」と聞いてきた、
「ほら、もう少し勉強しとけばよかったとか、私は本当にそう思うな」と言う、
確かにもう少し勉強しておくべきだったとは思う、
私は中卒だ、赤貧洗うが如くとまではいわないが学費以前口減らしに近い状況で働きに出た、
当時は（金が有れば高校に行けたのに）とずっと思っていたが最近は（自分の責任）だと素直に思える、
実は日立製作所の臨時工になったときに都の職業訓練所に応募し高卒程度の知識がいると言う「電子機器組立科」と言う科に合格した、
「微分積分があるので難しいとは思うが頑張りなさい」と言われ3ヶ月程毎日18時から２１時の講習に出たが結局挫折した、
恐らく当時は「高校に行けなかったから」と考えていたと思うのだが今廻りを見れば苦学で大学まで卒業した諸氏諸兄は大勢いる
やはり自分の性格のだらしなさだ、もう一度生まれ変わっても自分は同じことになるんじゃないかなとやはり素直に思う、
「もしあのまま無事資格を取って地位を得たら俺は本当に嫌味な奴になっていたんじゃないかと思う」と言ったらかみさんは納得した顔で笑っていた、実は嫌な性格なんだよ私は
歳をとって此れから出来る事も少なくなっきた、「幾つになっても遅くはない、人は幾つになっても成長する」と言う話も聞くしそういう方々も見る
無論自分も未だ隠居する気はない、が少しゆっくりとしても良いかな？という気もある
しかし本当に「上手く行ったのは廻りのおかげ、上手く行かないのは自分のせい」と思えるようになった
あるがままに淡々と生きたいと心から思えるようになったのはやはり歳のせいか
「もう一度生まれ変わっても恐らく同じだろうな、結構面白かった人生だ、未だ終わった訳でもないがな」と言ったらやはり複雑な顔をしていた、
「あ、又生まれ変わってもお母さんと一緒になるから」と言ったら思い切り大笑いをしていたが
何が可笑しい！
実は（もう一度同じ人生を生きられるなら、あの子とあの子は出来たのにな）と内心考えていたのだよ、絶対言えないがね