河口公男の絵画:元国立西洋美術館保存修復研究員の絵画への理解はどの様なものだったか?

油彩画の修復家として、専門は北方ルネッサンス絵画、特に初期フランドル絵画を学んできた経験の集大成を試みる

自画像を描かなくなった

2024-06-13 19:00:59 | 絵画

いつの間にか自画像を描かなくなった。その理由は「鏡で自分の顔を見るのが嫌になった」からである。

時たま鏡の自分を見ることがある。ホテルの部屋のバスルームとかに「どこかの老人が映っている」のを見てビックリすることがあった。いつの間にか自分が老人であるのが受け止められない。許せない。

頭の中は「画学生」でいつまでも若いつもりだったから、恐怖に似た感情が湧いてくる。いや「若いつもり」はそのまんま。否定できない「精神性の未熟」が自分の中にあって、取り除こうとできないものなのだ。

今日、恐る恐る鏡の中の自分を見る。実は6月22日に山口市立大殿中学校の同期会が東京である。それに参加するよう返事した。どう見てもジジイとババアが集まって、どう見ても誰が誰だか分からないほど老化した顔でやってくる。みんな72か73歳だから・・・生きているだけでも受け入れて集まるのだ。恐る恐るが真実だ。

真実を受け止められるか・・・。

いや、自分は画家であるという自負があれば「自画像」を度々描き続けたレンブラント・ファン・レーンの「絵の中で息をする運命」を認めることが必要だろう。