いつの間にか自画像を描かなくなった。その理由は「鏡で自分の顔を見るのが嫌になった」からである。
時たま鏡の自分を見ることがある。ホテルの部屋のバスルームとかに「どこかの老人が映っている」のを見てビックリすることがあった。いつの間にか自分が老人であるのが受け止められない。許せない。
頭の中は「画学生」でいつまでも若いつもりだったから、恐怖に似た感情が湧いてくる。いや「若いつもり」はそのまんま。否定できない「精神性の未熟」が自分の中にあって、取り除こうとできないものなのだ。
今日、恐る恐る鏡の中の自分を見る。実は6月22日に山口市立大殿中学校の同期会が東京である。それに参加するよう返事した。どう見てもジジイとババアが集まって、どう見ても誰が誰だか分からないほど老化した顔でやってくる。みんな72か73歳だから・・・生きているだけでも受け入れて集まるのだ。恐る恐るが真実だ。
真実を受け止められるか・・・。
いや、自分は画家であるという自負があれば「自画像」を度々描き続けたレンブラント・ファン・レーンの「絵の中で息をする運命」を認めることが必要だろう。