宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

小惑星への衝突の証拠を隕石で発見

2014年07月20日 | 宇宙 space
小惑星で3番目に大きいベスタ由来と考えられているHED隕石から、
高い圧力下で形成されたシリカの高圧相が、世界で初めて発見されました。
これは、小惑星ベスタが激しい天体衝突を経験したことを示す証拠になり、
太陽系の歴史をひもとく手がかりになるんですねー
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NASAの探査機ドーンが2011、2012年に小惑星ベスタに接近して、鮮明な写真を送ってきました。
ひずんだ地形のベスタの表面には、無数のクレーターが存在したんですねー
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この探査結果などから推測できるのは、
「約10億年前に起きた天体衝突でベスタに巨大なクレーターが形成され、
その際に弾き飛ばされたベスタの表層物質が地球にHED隕石として飛来した」
っというものでした。

ただ、天体衝突時に発生する超高圧力・高温に伴って生じる高圧相は、これまでHED隕石から見つかっていませんでした。

この謎を解くため、1924年に西アフリカのブルキナファソに落下したHED隕石のひとつ、ベレバ隕石のかけらから2グラムを入手して研究することになります。
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ベレバ隕石から発見された
シリカの高圧相の電子顕微鏡写真
そして、電子顕微鏡や集束イオンビーム加工装置による最新のナノ分析技術を駆使して、
この隕石に、シリカの高圧相を見つけ出すことに成功します。

解析結果からは、シリカの高圧相は8~13万気圧もの力を受けていたことが分かることに…

このような超高圧状態を作り出せるのは、天体衝突だけしか考えられないんですねー

シリカの高圧相と放射年代を考慮すると、
HED隕石に記録された天体衝突は41億年前で、
ベスタの巨大クレーター形成時期を、
約10億年前とみてきた従来の説とは一致しませんでした。

これにより、HED隕石の起源と、
地球への飛来プロセスの研究は見直されることになります。

太陽系は46億年前に誕生し、初期には激しい天体衝突が起きていました。
38~41億年前は、月へ多数の天体が集中的に衝突した時期とされ、
後期隕石重爆撃期と呼ばれています。

なので、今回HED隕石で見つかった41億年前の衝突の痕は、
月だけでなく、小惑星など太陽系の様々な天体で、隕石の重爆撃が起きたことをうかがわせるんですねー