宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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火星の地形は強風で激しく変化する?

2014年10月10日 | 火星の探査
火星の表面では毎日のように強風が吹き、
その力によって、変化の激しい砂丘の地形が形成されている…

この事が本当なら、この風で形成される地形は、
火星探査に大きな課題をもたらすことになるんですねー


「風が火星の地形と気候を形作る要素の1つになっている」ことは、
以前から知られていて、
この風によって発生する砂塵嵐は、
地球から観測されることもあります。

ただ、火星の風の強さ、頻度、起源などに関するデータは、これまで不十分で、
砂を動かすほどの強さの風は、
火星のように大気の薄い惑星では、めったに発生しないだろうと、
多くの専門家が考えていました。


今回の研究では、
ニリ・パテラ砂丘地域の約40平方キロに及ぶ領域で、
火星の1年(687日)にわたり撮影された多数の衛星画像上にある、
砂紋の位置ずれを測定しています。

そして、この測定結果から砂の流量と、その季節変動を推定したんですねー
また、砂を動かすのに必要な風速と風力、頻度も算出。

すると、今回の調査対象地域では、
砂を動かす風は、1年の大半を通してほぼ毎日発生していて、
時速120キロ以上のハリケーン並の風速に、達することも分かってきます。

このことは火星の砂丘は、現在も移動していて、
その移動速度は、季節によって異なることを意味することに…
「砂を動かす風は、めったに発生しない」という、
広く受け入れられている見解と相反する結果になったんですねー


地形の浸食率や大気中のチリによって、大きく影響される火星の気候。

これについては、火星の風に対する理解を深めることで、
科学的な予測が可能になると考えることができます。

なので、これらのデータは、
将来の火星探査ミッションへの手助けになるのかもしれませんね。

“ひさき”がとらえた木星磁気圏の電子の流れ

2014年10月09日 | 木星の探査
木星を取り巻く強力な磁気圏の中を、
高温の電子が、木星の方へと効率的に運ばれるようす…

このようすを、日本の惑星分光観測衛星“ひさき”が、世界で初めてとらえたんですねー

このことは、
「高エネルギー粒子の集まる放射線帯が、どのように維持形成されているのか」について、
従来の学説を裏付ける重要な成果になるようです。

惑星分光観測衛星“ひさき”
“ひさき”は、地球を回る人工衛星軌道から金星や火星、木星などを
遠隔観測する世界で初めての惑星観測用の宇宙望遠鏡です。

2013年9月に、
イプシロンロケットで打ち上げられ、
木星の衛星イオの火山活動から放出されるガスが、木星の周りにドーナツ状に分布した“イオプラズマトーラス”を、
極端紫外線で観測。

木星磁気圏の外側からやってくる高温電子が、
宇宙空間で、イオン化した火山ガスに衝突するようすを見ることで、
高温電子の温度や密度を調べたんですねー

その結果、“イオプラズマトーラス”には、
外部磁気圏からやってきた高温電子が数%の割合で存在することや、
磁気圏の外側から内側へ、電子が、とても効率的に輸送されていることが、
明らかになります。

これらの電子が磁気圏内側に供給され、
高エネルギー粒子の集まる放射線帯を形成維持しているという、
これまで有力だった学説の証拠が、初めて得られたことになるんですねー
木星磁気圏の中を木星本体に向かって流れてくる高温電子。


太陽フレアの1万倍! 赤色矮星で起こった最強のスーパーフレア

2014年10月08日 | 宇宙 space
地球から60光年彼方の赤色矮星で、
X線強度が太陽フレアの1万倍、かつ2週間ほど継続的に続いた、
最強で最長のスーパーフレアが観測されました。


スーパーフレアが観測されたのは、
地球から60光年彼方にある、“りょうけん座DG”という赤色矮星の連星の片方。

連星を成す2つの星は、
どちらも質量、大きさとも太陽の3分の1ほどで、
誕生したのは3000万年ほど前とみられています。

2つの星の距離は、太陽~地球間の3倍程度と近いので、
どちらの星がフレア爆発を起こしたのかは、観測では明らかになっていません。


赤色矮星で起こるフレアは、
これまで、1日以上続かないと考えれてきました。

でも、NASAのガンマ線監視衛星“スウィフト”は、
2週間の間に、少なくとも7回の爆発を検出したんですねー
スーパーフレアは、連星系“りょうけん座DG”の一方の星で起こった。(イメージ図)

“磁気リコネクション”というプロセスで、場が不安定となり、
蓄積されたエネルギーが、爆発的に放出されるのがフレアです。

“りょうけん座DG”で観測された爆発の原因も、太陽で起こるフレアと同じで、
星の大気中の活動が活発な領域で、磁場がねじれ歪んだために発生したようです。

さらに、観測されたフレアの初期のX線放射量は、
これまでに記録されている太陽活動を圧倒するほどの激しいものでした。

今回のフレアは、それだけでは終わらず、
最初の爆発から3時間後に、また同規模のフレアが起こったんですねー

結局“スウィフト”は、11日以上にもわたり、連続する弱い爆発を観測し続けることに…
X線強度が、通常に戻るまでに20日もかかったそうです。

太陽の3分の1程度の星が、どのようにして巨大な爆発を起こせるのか?

その要因は、磁場を増幅させる速い自転にあるようです。
今回フレアを起こした星も自転が速く、速度は太陽の30倍以上だそうです。

私たちの太陽も、若い頃にはもっと早く自転していたはずなんですが、
幸いなことに現在の太陽には、スーパーフレアを起こすほどの速度はないんですねー


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽でも起こるかも? 超巨大爆発“スーパーフレア”

“はやぶさ2”11月30日に打ち上げ

2014年10月07日 | 小惑星探査 はやぶさ2
小惑星探査機“はやぶさ2”が、
11月30日に種子島宇宙センターから、打ち上げられることが発表されました。

3機の小型副衛星とともにH-IIAロケット26号機で打ち上げられ、
6年に及ぶ“はやぶさ2”の冒険が、いよいよ始まることになるんですねー


打ち上げ時刻は、
13時24分48秒に設定されていて、
打ち上げができるタイミングは、この時間きっかりの、わずか「1秒」しかありません。

なので、何らかの事情で打ち上げを延期する場合は、すぐに翌日以降の延期になってしまうんですねー

“はやぶさ2”を打ち上げるH-IIAロケットは、
個体ロケットブースターを2基持つ、
H-IIA 202と呼ばれる構成で、
4S型と呼ばれる、
直径4メートルのフェアリングが装備されます。



ロケットは打ち上げ後、
個体ロケットブースターや衛星フェアリング、燃焼の終わった第1段を、
次々に分離しつつ飛行。

そして、2度に分けた第2段エンジンの燃焼の後、
打ち上げから1時間47分15秒後に“はやぶさ2”を分離します。


多くの困難を乗り越えて、
小惑星“イトカワ”からサンプルを持ち帰った“はやぶさ”の後継機が、
“はやぶさ2”です。

先代の教訓から、先代よりもトラブルに強く、
そして、より多くの成果を持ち帰られるよう、
多くの改良が施されているんですねー

また、“はやぶさ”に搭載されていた小型ローバーのミネルヴァも、
その後継機のミネルヴァIIが2機搭載されています。

さらに、ドイツ航空宇宙センターが中心になり、
フランス国立宇宙研究センターとJAXAで共同開発された、
小型着陸機の“MASCOT(マスコット)”も搭載。

これらは“はやぶさ2”から放出され、
小惑星への着陸と探査に挑むことになります。

“はやぶさ2”が目指す小惑星“1999 JU3”は、
岩のようだった“イトカワ”とは異なり、炭素や水を含む小惑星です。

なので、“はやぶさ2”がサンプルを持ち帰ることで、
太陽系の起源と、その進化といった歴史や、
また生命がどのように誕生したかといった謎を、
解き明かすカギになることが期待されています。
2018年に小惑星“1999 JU3”に到着し探査を行う“はやぶさ2”(イメージ図)

“はやぶさ2”は現在、種子島宇宙センターに輸送され、
打ち上げに向けた準備が進められています。

打ち上げ後は、まず1年後に地球スイング・バイを実施して加速し、
2018年の6、7月頃に“1999 JU3”に到着。

そこで探査活動を行い、2019年11、12月頃に帰路に就くことになります。

そして地球に帰ってくるのが、
打ち上げから約6年後の2020年11、12月頃になるそうですよ。

NASAの探査機ドーンに問題発生! ケレス到着は1か月遅れることに…

2014年10月06日 | 小惑星探査 ドーン
準惑星ケレスに向けて航行しているNASAの探査機ドーンに、
イオン・スラスターなどの問題が発生したと発表されました。

この問題は、いまは解決しているのですが、
ケレスへの到着が、当初の予定より1か月ほど遅れるようです。
ドーンは2007年9月27日に打ち上げられ、
まず、2011年7月に小惑星ベスタに到着し、2012年9月まで探査を行っています。

その後、ベスタを離れ、
いまは次の目的地であるケレスに向けて、航行を続けていました。

でも今年の9月11日に、航行に必要なイオン・スラスターが突如停止。
探査機自体も最低限の機能のみで動く、セーフ・モードに入ってしまったんですねー

運用チームが修復にあたり、
すでに9月15日からは、イオン・スラスターの運転が再開されています。


では、なぜこのようなトラブルが起きたのか?

NASAでは、高エネルギーの放射線(宇宙線)の影響だと推測しています。

ドーンは今から3年前、
ベスタへ向けて航行していた時にも、今回と似た問題が起きていて、
原因も同じだと考えました。

この3年前の時も、また今回も、別の冗長系に切り替えることで、
イオン・クラスターの運転を再開させています。

NASAでは、不具合が発生していると思われる部分の、
修復ができるか検討されていて、
今年の後半にも実施を予定しているそうです。


また今回は、イオン・クラスターの不具合と同時に、
地球との通信に使用するメインのアンテナを、動かすことができなくなる
っという問題も発生しています。

このため、低速度の通信だけで、
状況の把握などをしなければならなかったんですねー

その後この問題は、コンピュータをリセットすることで解決したそうです。

原因については、まだ調査中なのですが、
こちらも宇宙線が原因で、ソフトウェアがエラーを起こしたのではないかと、
見られています。


この2つの問題が発生したので、
ケレスへの到着は、当初の2015年3月から1か月遅れ4月に…
でも、観測計画などへの影響はないようですよ。