粘菌探しの旅は続く。夏休み最後の山登りとして、かねてより登山地図には全く載っていないが、小菅村の案内看板に描かれている「源流探索ハイキングコース」を歩いてみようということになった。ちょうど大菩薩峠の東の中腹にあたる部分である。この辺りは東京都水道局が管理する東京都民の水瓶の現流域のひとつだ。
中里介山の未完の大河小説『大菩薩峠』で有名な峠であるが、1878年(明治11年)、柳沢峠の開削によりルートが変わるまでは、武蔵と甲斐を結ぶ青梅街道の重要な峠であり、そして標高1897mの峠は最大の難所でもあった。以前牛ノ寝通りの大ダワで、小菅村から大菩薩峠を越えて旧青梅街道を歩いているというご夫婦に出合ったことがある。その方に聞いたのかは忘れたが、この峠を越える道は国道であったことがあるそうだ。それほど丹波山村や小菅村の人たちにとっては、人や物資の移動の重要なルートであったということだろう。
現在は、甲府側の上日川峠まで車で来て、大菩薩まで登るというお手軽なコースが主流になってしまい、小菅側から登る人はほんのわずかになってしまったということだ。私達は、林道小菅線を終点まで行き、そこからフルコンバ(フルコンパ小屋跡)を経て(ところでフルコンパって何語?)荷渡し場から大菩薩峠をピストンし、源流探索ハイキングコースを牛ノ寝通りへ辿り、榧ノ尾山の先から林道終点へ戻るという酔狂なコースを選んだ。酔狂というのは、普通は大菩薩峠まで行ったら熊沢山、石丸峠と辿って玉蝶山から牛ノ寝へ下るのが普通だからだ。
当日は、気温は20度と低いものの前日まで梅雨のような天気が続いたせいで、森の中は湿度90パーセント以上で、それが応えた。お陰で、撮影に手間取ったのもあって大菩薩まで3時間半もかかってしまった。実を言うと粘菌撮影が目的だったので初めは大菩薩へは行かないつもりだった。しかし、だらだらと荷渡し場まで長~い森の中の湿った陰鬱な登りを続けてきたら、どうしてもパノラマの絶景を見ずには帰れないと思うようになって、荷渡し場で急遽峠まで行くことに変更したのである。それは大正解であった。「介山荘」では、天然水の小豆ミルクと煮込みおでんとビールと絶景が迎えてくれた。ところで荷渡し場であるが、ここで塩山側と小菅側の荷物を交換した場所ということで名付けられたところだそうだ。
「源流探索ハイキングコース」は、ハイキングなんてあたりのいい言葉とは裏腹に実にスリルある道であった。実際コース入口は、止めの枝で塞がれており、標識には「山道」なんてちょっとふざけた文字が書かれていた。「山道」なんて標識は初めて見た。行ってみたら崩落箇所あり、片側が谷に切れ落ちた湿ってヌルヌルの木道が何カ所もあり、熊さんとのありがたくない出会いの危険性もありというコース。アップダウンも結構ある。しかも湿度は時に100パーセントで、ついには私のデジカメがまったく作動しなくなるほどだった。
しかし、何度も現れる多摩川の源流の水は、超軟水で冷たく甘露であった。苔むした森は「もののけ姫」に出てくる森のようだと子供達が言っておった。結局、牛ノ寝通りに出るまで1時間半ほどかかったが、実に楽しいコースであった。虫も鳴かない谷の最深部で谷底から見上げると、一瞬何かが耳元でささやいて通り過ぎた気がした。
写真左上は、源流部から見る牛ノ寝通りと三頭山。右上は猛毒のヤマトリカブト。左下は、濡れて艶めかしいツリフネソウの花。右下は、胞子を飛ばした後のサビムラサキのミクロの林で戯れる、小さなクモの親子。
モリモリキッズにフォトドキュメントをアップ。ぜひご覧ください。
中里介山の未完の大河小説『大菩薩峠』で有名な峠であるが、1878年(明治11年)、柳沢峠の開削によりルートが変わるまでは、武蔵と甲斐を結ぶ青梅街道の重要な峠であり、そして標高1897mの峠は最大の難所でもあった。以前牛ノ寝通りの大ダワで、小菅村から大菩薩峠を越えて旧青梅街道を歩いているというご夫婦に出合ったことがある。その方に聞いたのかは忘れたが、この峠を越える道は国道であったことがあるそうだ。それほど丹波山村や小菅村の人たちにとっては、人や物資の移動の重要なルートであったということだろう。
現在は、甲府側の上日川峠まで車で来て、大菩薩まで登るというお手軽なコースが主流になってしまい、小菅側から登る人はほんのわずかになってしまったということだ。私達は、林道小菅線を終点まで行き、そこからフルコンバ(フルコンパ小屋跡)を経て(ところでフルコンパって何語?)荷渡し場から大菩薩峠をピストンし、源流探索ハイキングコースを牛ノ寝通りへ辿り、榧ノ尾山の先から林道終点へ戻るという酔狂なコースを選んだ。酔狂というのは、普通は大菩薩峠まで行ったら熊沢山、石丸峠と辿って玉蝶山から牛ノ寝へ下るのが普通だからだ。
当日は、気温は20度と低いものの前日まで梅雨のような天気が続いたせいで、森の中は湿度90パーセント以上で、それが応えた。お陰で、撮影に手間取ったのもあって大菩薩まで3時間半もかかってしまった。実を言うと粘菌撮影が目的だったので初めは大菩薩へは行かないつもりだった。しかし、だらだらと荷渡し場まで長~い森の中の湿った陰鬱な登りを続けてきたら、どうしてもパノラマの絶景を見ずには帰れないと思うようになって、荷渡し場で急遽峠まで行くことに変更したのである。それは大正解であった。「介山荘」では、天然水の小豆ミルクと煮込みおでんとビールと絶景が迎えてくれた。ところで荷渡し場であるが、ここで塩山側と小菅側の荷物を交換した場所ということで名付けられたところだそうだ。
「源流探索ハイキングコース」は、ハイキングなんてあたりのいい言葉とは裏腹に実にスリルある道であった。実際コース入口は、止めの枝で塞がれており、標識には「山道」なんてちょっとふざけた文字が書かれていた。「山道」なんて標識は初めて見た。行ってみたら崩落箇所あり、片側が谷に切れ落ちた湿ってヌルヌルの木道が何カ所もあり、熊さんとのありがたくない出会いの危険性もありというコース。アップダウンも結構ある。しかも湿度は時に100パーセントで、ついには私のデジカメがまったく作動しなくなるほどだった。
しかし、何度も現れる多摩川の源流の水は、超軟水で冷たく甘露であった。苔むした森は「もののけ姫」に出てくる森のようだと子供達が言っておった。結局、牛ノ寝通りに出るまで1時間半ほどかかったが、実に楽しいコースであった。虫も鳴かない谷の最深部で谷底から見上げると、一瞬何かが耳元でささやいて通り過ぎた気がした。
写真左上は、源流部から見る牛ノ寝通りと三頭山。右上は猛毒のヤマトリカブト。左下は、濡れて艶めかしいツリフネソウの花。右下は、胞子を飛ばした後のサビムラサキのミクロの林で戯れる、小さなクモの親子。
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