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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

お食事中のメスを自分は何も食べずに守り続けるカブトムシのオス(妻女山里山通信)

2013-07-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨明けの後、ほとんど夕立もないため、樹液バーも樹液の出が悪いようで、場所取り合戦が熾烈を極めています。その中でも最も強いのがカブトムシの仲間。オオスズメバチが来ようと、オオムラサキが来ようとびくともしません。そんなノコギリクワガタとカブトムシのオスの、これぞオスの鏡というような生態を撮影したので紹介します。まずノコギリクワガタから。樹液を吸っているのはメス。それを多いかぶさる様にして守っているのがオス。オオスズメバチやアオカナブンが、樹液にありつこうと近づくと、悉く角で蹴散らし、時には下手投げで放り投げます。それは見事なナイト(騎士)ぶりです。

 次はカブトムシ。やはりメスをガードしています。交尾の後にはメスを角で放り投げたりもするのですが、こうしてしっかりガードしています。実際のところは、メスでもオオスズメバチが2、3匹で頭突きしても微動だにしないのですが、それでもオスはこうしてガードするのです。しかし、オスは武器であるその角が弱点でもあるのです。角が邪魔になってメスの様に狭い隙間に頭を入れて樹液を吸う事ができないのです。ですから餓死しやすい。成虫になったカブトムシの天敵は鳥や蛇、イノシシなどですが、成虫になり、産卵まで辿り着けるものが極わずかなことから、こういう交尾後のメスを守るという生態を獲得したのでしょう。ちなみに、よく頭だけ残ったカブトムシの屍骸を見ますが、たいてい烏に襲われたものだと思います。

 これは別の樹液バー。カミキリムシの幼虫あたりが開けた穴から樹液が滲みだし発酵して白い結晶になっています。大量に出ると、外にまで溢れて白い塊の山になります。舐めてみたことがありますが、かなり甘く美味しいものでした。体の大きな人間には感じられませんが、発酵しているためアルコール分があるのでしょう。たくさん飲んだオオスズメバチがフラフラするのはよく見ます。写真は、オオムラサキのオス8頭が円になって男子会をしているところへ、メスが一頭で乗り込んできてオスを蹴散らしたところです。翅を広げているのは邪魔するなという意思表示。オスは驚いて一旦全て飛び去ったのですが、すぐに戻って来てにじにじと近寄り、メスのご機嫌を窺いながら一緒に吸い始めました。離れている一頭は、樹液ではなくメスに興味があり、交尾を迫ろうとしているのです。それが次の写真です。

 メスが樹液を吸っている背後から近づき、体を曲げてゲリタニアという海老の尻尾の様な交尾器でメスを捕獲しようと忍び寄ったのですが、運悪くオオスズメバチがやって来てしまいました。それとメスにゲリタニアが触れて、メスがさっと飛び退いたのがほぼ同時でした。安易に擬人化してはいけないのですが、「なにするのよ!」と言いたげなメスと、ゲリタニアを出したままの間抜けなオス。我関せずと樹液を吸うオオスズメバチとアオカナブンという微笑ましい?構図です。

 これは別のオオスズメバチ。アオカナブンやカナブンが団体で樹液を吸っているところへオオスズメバチが乗り込んで来ました。この後、右側にいたアオカナブンなどを全て頭突きで追い払いました。カブトムシさえいなければ彼らの天下です。この撮影時、レンズフードの先端からオオスズメバチまでは20センチあるかないか。結構緊張します。アオカナブンがなかなかどかない時や、落としても落としても次々と現れると、見ていてもいらだって来るのが分かります。以前そういうとばっちりを受けて、100mも追い掛けられたことがあります。二回転んで最後は杉林に回転レシーブの要領で飛び込んでセーフ。幸い刺されませんでしたが。ポイズンリムーバーは必須です。

 最後はアオカナブンと一緒に樹液を吸うオオムラサキのメス。一見長閑で平穏な光景に見えますが、オオムラサキにとっては結構危険を孕んでいるシーンなのです。というのは、アオカナブンにオオムラサキの口吻がなにかの拍子に触れたりすると、アオカナブンが脚で強く払いのけることがあるからです。口吻は柔らかい筋肉質の雨樋がふたつ合わさったような構造ですが、以外と簡単に切れてしまうのです。カブトムシの一振りなら間違いなく切れるでしょう。実際シーズン中には必ず口吻が切れた個体を見ます。しかし、それでも死ぬ事はありません。深い所へは差し込めませんが、なんとか5ミリでもあれば樹液は吸えるからです。以外に逞しいものです。

 梅雨明け後、信州でも34度の猛暑が続きましたが、8月は低温と長雨になる予報になっています。昆虫達にも厳しい季節になるかもしれません。灌水してやっとズッキーニも大きくなり、バジルも咲き始めたのですが、ミツバチやハナアブがほとんど来ません。モンサントのラウンドアップ(奇形児が生まれたベトナム戦争の枯れ葉剤)などの欧州各国では禁止されている、ネオニコチノイド系やグリホサート系、フィプロニルなどの神経毒性農薬が使われている影響だろうと思われます。なんと日本では、100円ショップでも買えるという異常事態。畑には使うなと書いてあるのですが、信じられないことに、空き地や庭の除草に使う人がいるのです。4、5年前は、バジルの花が咲くと数えきれない位の虫達が集まったものでした。急速に環境が破壊されています。TPPに入ると、遺伝子組み換え作物とセットで猛毒の農薬が売られ、日本の伝統野菜は壊滅します。自家採種さえ違法になります。それは日本の食文化の終わりを意味します。

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■ツイッターMORIMORIKIDSは左のサイドバーでご覧頂けます。主に原発情報、地震情報を呟いています。非常に重要な情報を選んでツイートしています。ときには自然、歴史も。写真もアップします。福島第一原発からは、今も毎日2億4000万ベクレルの放射性物質が流出しています。事故は終わっていません。太平洋は死の海になろうとしています。現実を学び見ないと生き残れない時代です。原発はほとんど止まっているのに電気は足りています。それでも原発は必要ですか。

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