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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

絶滅危惧Ⅱ類のハナダカバチ。ツバメシジミ、ベニシジミ、ルリシジミ、ヤマトシジミ、ウラギンスジヒョウモンが舞う茶臼山自然植物園(妻女山里山通信)

2024-07-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が36度になった長野市。茶臼山自然植物園に行きました。毎年この季節に必ず訪れています。10時過ぎに着いたときの気温は30度。湿度が低いので日陰に入るとしのげますが、日向は痛いほどの日差し。20分ほど撮影しては車に戻って休憩を繰り返しました。ただそのために帰ってからバッテリーがあがってしまいました。アイドリング状態でのエアコンはほどほどに。

 ハナダカバチ(ニッポンハナダカバチ)。いきなり凄い昆虫を発見。絶滅危惧Ⅱ類です。砂地に巣を作る肉食性の昆虫。なので海岸や河川敷に生息するのですが、なぜこんな山の中に。茶臼山は地滑りの山なのであちこちに崩れた砂の崖があるのです。ここから続く中尾山は裾花凝灰岩の砂地が各所にあるので生息できるのでしょう。

 メスが斜めに30センチほどの巣穴を掘り、幼虫の餌となるハエやアブを毒針で刺してとらえ巣に運びます。ひとつの巣には一個の卵を産み育てます。ただ人を襲うことはない様です。成虫の体長は、21~23ミリ。学校や公園の砂場に巣作りすることもあるそうです。成虫はこんな風に花で吸蜜もするのですね。花はオカトラノオ。

 飛んでいるハエやアブを空中で捉えて毒針を刺し麻酔をかけて生きたまま巣に運びます。フランスの昆虫学者のファーブルが『昆虫記』にハナダカバチの生態を記しています。世界には300種ほどいますが、まさか茶臼山で邂逅するとは思いませんでした。

 展望台から登って藤棚を超えると英国風ガーデン。色々な花と昆虫が見られます。超ラッキーなら幻のブルービーに邂逅するかも。

 シジミチョウは、まずツバメシジミを発見。ツバメシジミ(燕小灰蝶)チョウ目シジミチョウ科。後翅にある尾状突起が特徴なんですが切れて無くなっています。庭でもよく見られるシジミチョウです。

 夏型のベニシジミ(紅小灰蝶)。幼虫の食草は、タデ科のスイバやギシギシなど。

 オカトラノオで吸蜜するルリシジミ(瑠璃小灰蝶)。ヤマトシジミに似ていますが、目が真っ黒です。オスの翅の表面は水色から明るい青紫色。瑠璃色ということでルリシジミ。春先から晩秋まで、山地から田畑、人家周辺でも見かけます。幼虫はバラ科、マメ科、ブナ科植物の蕾や花を食べます。

 ヤマトシジミ(大和小灰蝶、大和蜆蝶)。幼虫の食草がカタバミなので、その周辺で見られます。

 マルバハギで吸蜜するルリシジミ。妻女山のヤマハギはまだつぼみです。

 休憩に立ち寄った丸太造りの展望台から東方の眺め。左の薄紫の花は、ヒメルリトラノオ。ヨーロッパ~北アジア原産のベロニカ・スピカータの小型品種です。中央遠くに根子岳と四阿山。手前に奇妙山。いずれも拙書に載せています。何組か子連れの家族が来ていますが、皆左のアスレチックのある森の中にいます。炎天下にいるのは私だけ。

 吸蜜中のウラギンスジヒョウモン(裏銀筋豹紋)。ここではほかにツマグロヒョウモン、メスグロヒョウモン、ミドリヒョウモンなどを撮影したことがあります。

 似たものにオオウラギンスジヒョウモンがいますが、前翅裏面中ほどに外縁に平行にぼやけた白色の点列があることや、翅頂が丸いことなどからウラギンスジヒョウモンとしました。また、翅頂に白斑がないことからオスです。食草はスミレ類で、成虫はオカトラノオ、アザミ類で吸蜜します。 吸蜜中のこの花は、キク科のヘリオプシス・ヘリアンソイデス。

 キキョウ(桔梗)の花。根っこは生薬として用いられます。根を生薬で桔梗根といい、去痰、鎮咳などの薬効があります。
「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」山上憶良。朝貌の花が桔梗のことといわれています。奈良時代に唐から入ったのですが、その当時は朝に咲く花をまとめて朝顔と呼んでいました。清少納言は、朝顔を大和のなでしこ(撫子・牛麦)として、オミナエシ(女郎花)、キキョウ(桔梗)、カルカヤ(刈萱)、菊、壷スミレと並べて褒めたたえています。

 ガウラ。アカバナ科の多年草です。和名をハクチョウソウ(白蝶草)といいます。北アメリカ、メキシコ原産。

 葉を見てすぐにタデ科と分かりました。帰って調べると、ベルカシア・アンプレ・クリカウリスだそうで、中国・ヒマラヤ・パキスタンに分布するそうです。

 茶臼山自然公園の地図。左が山頂直下で標高700mほど。右が400mほど。結構標高差があります。南側に動物園があり、北口入り口からモノレールに乗って入場できます。昼を過ぎて更に気温が上昇。ボーッとしてきたので帰ります。

 立ち寄った北口入り口から下るとネムノキの花が満開。遠くに根子岳と四阿山。

 すぐ下から南東の眺め。眼下に篠ノ井市街。奥に私がホームフィールドとしている妻女山山系。とにかく暑いので温泉へ向かいました。

 この二日前の妻女山陣場平。貝母の群生地に行くと遠くに見慣れたニホンカモシカがお尻を見せて草を食べていました。静かに横にまわると、なんと脇に小さな子供がいてお乳を飲んでいました。生まれて間もない様です。一週間も経っていないでしょう。母親が気づいて振り返りました。顔見知りなのですが、流石に生まれたばかりの子供が一緒では近づけません。しばらくして子供を促すように森の奥へ消えていきました。4月2日に撮影した彼女を確認すると、確かにお腹が大きい。彼女の家系は三代前まで全てオスメスの双子を産んでいます。今回は一頭だけ。

「村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクル」というムサビの美大生時代に彼のジャズ喫茶でアルバイトしていた当時のブログは世界中からアクセスがあります。この文章をクリックで見られます。ロンドンに5週間住んでいて、Queenのフレデイ・マーキュリーの恋人のメアリー・オースチンが勤めていたBIBAの店で当時の私の恋人が彼女からジャケットを買った話。70年代の美大生の赤裸々な日々が見られます。

好評だったブログ記事:「ブラジルへの郷愁」レヴィ=ストロース 川田順造訳 みすず書房。文化人類学、また構造主義におけるバイブルのひとつ(妻女山里山通信)は、都合によりリンク先の楽天ブログに移転しました。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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