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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

オオミドリシジミの激しい占有行動や卍巴飛翔。休憩中を撮影。ウラゴマダラシジミとも邂逅。梅雨入り前の夏めく善光寺平。キタアカシジミ?(妻女山里山通信)

2024-06-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前日は羽化したての綺麗なオオミドリシジミがいたのですが、強風で下におりてきませんでした。翌日登りましたが前夜に雨が降ったので湿度が高くおりてこない可能性もありました。着いてみると下草に雨露は残っていましたが、湿度は低くオオミドリシジミの占有行動や卍巴飛翔(まんじともえひしょう)も始まっていました。卍巴飛翔は占有行動のひとつで、2、3頭で激しく高速でクルクル回ること。時間は数秒から十数秒で、終えると近くの日当たりの良い葉に止まって見張るように占有行動をします。

 占有行動の激しいバトルが終わると日当たりの良い葉の上で休憩。森の宝石とも呼ばれます。
 オオミドリシジミ(大緑小灰蝶:Favonius orientalis)は、チョウ目シジミチョウ科ミドリシジミ亜科に属するチョウ。オスの翅は、青緑に輝き非常に美しい蝶です。メスの翅は灰褐色。幼虫の食樹はブナ科のコナラ・クヌギ・ナラガシワ・カシワ・ミズナラなど。

 美しい翅の表の色は鱗粉の色ではなく、オオムラサキと同様に構造色です。

 構造色なので見る角度により色味が少し変わります。それもまた美しい。

 葉に止まってから近づくと逃げます。そこで止まるであろう葉を特定して、そのそばで待ちます。

 まるでエメラルドかアクアマリンの様。森の宝石です。テリトリーの占有行動や卍巴飛翔は、晴れの日の朝から始まり午前9時半から10時半頃に突然終了します。雨や曇の日には行いません。太陽が大好きなゼフィルスです。

 ミドリシジミとつくものは他に、ミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、フジミドリシジミ、ミヤマカラスシジミ、メスアカミドリシジミ、ハヤシミドリシジミ、アイノミドリシジミなどがいますが、このエリアでは最後の三種も見られます。

 シジミチョウの多くは、この時期に羽化して産卵するため、農薬散布をすると簡単に絶滅してしまうのです。同時期に林道脇などの除草もされますが、食草であるイボタノキやクヌギやヤマザクラ、カシワの幼木や若木が切られると、大量の卵が死んでしまいます。

 月末までは占有行動のバトルが見られそうです。

 占有行動が終わったので陣場平へ。貝母(編笠百合)は実が大きくなり後は枯れて弾けて種を飛ばすだけです。日本でここだけの大きな群生地。花の見頃は4月10〜20日頃です。

 ウラゴマダラシジミ。シジミチョウ科 シジミチョウ亜科のシジミチョウで、幼虫の食草はイボタノキ。成虫もイボタノキやクリで吸蜜するので、その近くで見られることが多い蝶です。イボタノキの花が散ってしまったので今は栗の木の花で吸蜜していると思います。

 やや大型のシジミチョウで、翅の裏の縁に沿って二列の黒胡麻状の紋があり、それが名前の由来です。

 堂平大塚古墳で除草した後で下山。妻女山展望台から。西の茶臼山。右奥に虫倉山。両山とも拙書で紹介。茶臼山は幼児でも登れます。

 北に飯縄山。手前は南長野運動公園の野球場と屋内プールにサッカースタジアム。その手前に千曲川。

 北東にホワイトリングとエムウェーブ。右奥に高社山。拙書でも載せていますが、歴史のある非常に面白い里山です。

 東に松代の城下町。奥に大きな奇妙山。本来は帰命山で、本名を仏師岳(仏師ガ岳)といい古代は修験の山で、戦国時代以前の山城の跡もあります。ハイカーに人気の里山で、拙書でも紹介しています。

 4日後、再び現場に。朝8時半にはすでに激しい卍巴飛翔が森のあちこちで繰り広げられていました。しかし、なかなか下りてきません。やっと山椒の葉に止まったところを撮影。

 前回に比べると3倍ぐらいに数は増えています。午後は激しい夕立になりました。大雨で翌日の撮影は難しそうです。眼の黒い線は、触覚の影です。

 あちこちでコムラサキ(小紫)の花が咲き始めました。

「鴨ロースと淡竹のピラフ」旬の淡竹に鴨のロース、新玉葱、インゲン、エリンギをコンソメパウダーとエキストラ・ヴァージン・オリーブオイル、胡椒で炊き込みます。鴨ロースの脂が行き渡って美味。淡竹は鯖水煮缶汁や天ぷらなど和風が多いのですが、洋風や中華風も合います。淡竹に海老団子や鶏ひき肉を詰めてフライも美味。豚の角煮と中華風炊き込みご飯もお勧め。淡竹の季節も終わりなので、それ目当ての子連れの熊も来なくなるでしょう。

 2年前に妻女山山系で撮影したシジミチョウ。最初アカシジミと思ったのですが、帰って拡大してみると違う。ひょっとしてキタアカシジミ(カシワアカシジミ)か? ネットで群馬のアカシジミと北海道のキタアカシジミを画像で比較しているサイトがあったので比較してみました。どちらでもないというか両方の特徴が見られる。キタアカシジミで画像検索すると、そちらに近い様な。で、「キタアカシジミ 長野県」で検索すると、キタアカシジミが絶滅危惧Ⅱ類. Vulnerable (VU).になっていました。生息する様です。信州には東信などにはアカシジミも生息します。不思議です。どういう分布なのでしょう。私が発見し撮影したナミルリモンハナバチ(ブルービー)も全く生息分布が分かっていません。
 基本的に厳密な生物の同定というのは、DNAレベルまで調べないと分からないのです。動物に限らず植物でも菌類でも粘菌でさえそうです。それらをすべて調べるほどの機関も人員も予算も時間も無いというのが現状です。

梅雨の森の宝石オオミドリシジミ。ウラゴマダラシジミ、ミズイロオナガシジミ。枯れ始めた貝母の実。熟れた実が匂うあんずの里(妻女山里山通信):羽化したての鮮やかなオオミドリシジミです。

「村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクル」というムサビの美大生時代に彼のジャズ喫茶でアルバイトしていた当時のブログは世界中からアクセスがあります。この文章をクリックで見られます。ロンドンに5週間住んでいて、Queenのフレデイ・マーキュリーの恋人のメアリー・オースチンが勤めていたBIBAの店で当時の私の恋人が彼女からジャケットを買った話。70年代の美大生の赤裸々な日々が見られます。

好評だったブログ記事:「ブラジルへの郷愁」レヴィ=ストロース 川田順造訳 みすず書房。文化人類学、また構造主義におけるバイブルのひとつ(妻女山里山通信)は、都合によりリンク先の楽天ブログに移転しました。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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