今日は三月三日女の雛祭りである、と言っても何となく雛祭りの気分が出ないなぜかというと、桃の節句といっているが桃の花が咲くには一カ月まだ早いのだ、無理も無い陰暦の雛祭りをそのまま太陽暦の現代へ持ってきてしまったのだから、植物の花や果物に関連のある行事は月遅れ〇〇などと言って旧暦に近い時期に合わせてやっている地方が多くある。その最もいい例がお盆である、東京とその他一部を除いて殆んどの地方が月遅れのお盆で、毎年八月十五日を中心にテレビのニュースにもなる日本民族の大移動が起きるのである。
何といっても桃の節句は月遅れの四月三日がよいのではないか、桃の花に少し早いが陽気も暖かくしかも学校は春休みとなり子供たちには楽しい春休みとなるのでは。
我が家にはもう五十年コッチンコッチンと時を刻む掛時計がある、この時計は娘が生まれた年の桃の節句に家内の母親、娘のお祖母ちゃんが「掛時計が無いと子供の勉強に不便だからお雛様より時計が良いだろう」と買ってくれた物だ。セイコウシャの十五日巻きで当時では良い方だったのだろう。娘には可愛そうだったが外で貰ったお雛様もあったから我慢してもらい、もっとも未だ何も分らない時期だったが市営住宅には不似合いだったろう、お陰で倅や娘はこの時計で時計の見方を覚えたのだったろう。
今も俺の書斎の机の左の柱に掛かりコッチンコッチンと時を刻んでいるし、忘れず月に二回ジイーコジイーコとねじをまいている。五十年前の節句を思い出しながら。