該当者不明の約5000万件の年金記録について、1975万件(38・8%)が社会保険庁のコンピューター上で持ち主を探す「名寄せ」作業では、持ち主の特定が困難なために、すべての記録の持ち主を特定するという政府の公約が実現不可能になったことで、舛添厚生労働相はへの野党から一斉の非難の声が上がった。
読売新聞は名寄せ問題、民主が厚労相の辞任要求で、
野党は同日、政府の責任追及の姿勢を一段と強めた。民主党の山岡賢次国会対策委員長は、国会内で記者団に「舛添厚生労働相は最後の1人、1円まで払うと国民に約束した。国民に対する背信行為であり、ただちに謝罪し、辞職すべきだ」と述べ、舛添氏の辞任を求めた。ただ、参院での舛添氏への問責決議案提出については、「明々白々な政治家の責任だから、出す必要もない」と否定した。
(中略)
一方、町村氏は記者会見で、公約違反との指摘が出ていることについて、「5000万件の記録の名寄せを来年3月までに完了する、と、7月5日に政府・与党でまとめた。すべての行き先を確定するところまで説明したつもりはない」と述べ、公約違反にはあたらないと反論した。さらに、「7月5日の国民への発表と、今やっていることとは何ら違いはない。政府は一生懸命、5000万件の記録を少しでも解明できるよう努力する」と強調した。
と報道している。
[約2万件の名寄せ困難で笑うものは]
この報道を見て心に引っ掛かったことが2つある。
一つはこの報道を見て北叟笑んでいるのは誰かだ。
もう一つは公約違反とは何かだ。
升添んがもし辞職するとしたとき、一番喜ぶのは厚生労働省の内部まで手を突っ込んで引っかき回されては困る官僚だ。
他の官庁もそうだが、猫の目のように変わる大臣のお蔭で、数々の不祥事や失政、それをもたらす内部の制度や環境にも手を付けられずに、実質的に官僚の思うままに、国を動かすことが出来た。
特に厚生労働省はその対処の拙さから、下記のような余りに多過ぎ、大き過ぎる問題を引き起こしてきた。
・消えた年金問題、年金制度の見直し、年金の横領、社保庁の解体
・薬害、公害問題
・医療制度の破壊の危機
・高齢者負担増加の凍結
・少子・高齢化に関する福利・福祉行政
・健康・介護保険負担の増加
・派遣労働者法改正→社会格差の発生
などなど多くの問題が山積している。
私の講読している読売新聞も彼に対する批判記事の多い中で、
それに関連して12日の「よみうり寸評」だけは彼に同情的なコメントをしている。
〈ひどい岩山とアイスバーン〉――年金の「名寄せ」作業の困難さをこう例えて、舛添厚生労働相が「ここまでひどいとは想定していなかった」と言った◆その岩山とアイスバーンは長い長い社会保険庁の怠慢、でたらめが作り出したものだ。年金記録をコンピューター入力する作業の際、仕事量が増えないようにキータッチの回数まで労使で取り決めた◆そんな覚書まで交わした笑い話のような甘い作業の果てにひどい岩山とアイスバーンが今に残った。〈史上最低の役所〉の評もあり今更驚くこともないはずだが「ここまでひどいとは」◆と厚労相が言うのだから、ひどさは底無しということだろう。従って、年金の持ち主を探す名寄せ作業の期限は〈エンドレスかも〉とこれも厚労相◆「最後の1人、最後の1円までがんばってやる」と言っていたはずだが、エンドレスなら永遠に持ち主不明の年金記録もある程度残ることになりそう。社保庁は底無しに無責任な役所ということだ◆年金は預かっても支払いは先。そこにあぐらをかいて岩山とアイスバーンができた。
今までの政治の一面は政治家と官僚の戦いだ。
今ここで小泉さんや菅さんのような大物(?)さえ手を着けられなかった、または手を付けなかったことに、色々批判されながらも敢然と挑戦している升添さんの足を公約違反の理由(これさえ下記のに疑問がある)で引っ張ろうとしいるのはおかしいと思う。
それも今こそ厚生労働省の改革の絶好な時期なのにだ。
いつも言うことだが、共産、社民がいくら本気になって升添さんの足を引っ張っても良い。
然し、民主党は表向きは彼をいくら批判しても良いが、私の言う様な大局を見て裏では政治家としてやる気満々の彼を応援して、官僚と立ち向かう位の腹芸は出来ないのだろうか。
これをまた今までの民主党の言う様に何でもかでも全て政府の責任だ責めて済む問題だろうか。
民主党はその支持母体の自治労の人達を助けて、結果的に官庁の改革を遅らせて良いのだろうか。
[公約違反とは]
与党は公約を掲げて、選挙を戦うが、その実施に当たっては、国会審議の進み方や、状況の変化、思わぬ事態の発生とうにより、その成果が公約と違ったものになるのは当然だ。
それを全て公約違反とし不信任決議を出したら、国の運営が何もできなくなる。
今後このような事態にならぬ為には、公約の最後に製品のコマーシャルのように「事態の変化など不測の状態が起きたときはそのまま実施出来ないこともあります」と言う注記をいれねばならぬだろう。
正に漫画だ。
私の考える公約違反とは公約したことを全く実施しないか、形式的だけ済ますことで今回の場合は、公約履行不十分で、違反ではないとおもう。
一方野党の公約の場合はどうだろうか。
例えば、民主党は国会の定数削減を公約にした。
それを国会が終わりそうな今でも提出してない。
これは私の定義によれば、完全な公約違反だ。
これもまた同じ言いかただが、共産、社民の公約なら良い。
どうせ言うだけで出来ぬのだし誰も気にもしていないから。
然し民主党は違う。
事によると政権を取るかも知れないし、そうでなくても参院で多数を占めているので、国会→国政に大きな影響力をもっている。
民主党は公約の定数削減を放っているのは責められるべきだ。(自民党は同様な法案の提出の準備にかかっていると言うのに)
民主党はその公約の重みが自民党と同様に大きなものと自覚すべきだ。
その民主党が自民党が公約の達成のために、努力をした結果その100%達成が出来ないと判って、政府を批判出来るだろうか。
マスコミは今までのやり方から考えて、事を面白おかしくするために、街頭のインタビューで、批判の意見ばかり報道するだろうが、世論調査すれば今回のことを公約違反と思って居ない人が多数を占めると思う。
[政府、自民党へ]
私は福田さんの組閣時に 福田内閣への提言 で前記のような厚生労働省の当時(今も)の状況からみて、
升添さんががもっと働き安いように、強力な副大臣をそれも複数付けるとか、適当の部下を付けて貰ったらどうだろうか。
彼が上司としてのリーダー・シップを取れるか、或いは単なる批評家で終わるかの次第によっては、福田さんの直接の指導や協力が必要になるのかも知れない。
と書いたが、その私の心配が実際のものとなって現れた。
仮に解散、総選挙になってときに、厚生労働省の問題が大きく自民党に影を落とすことになる予感がする。
今こそかれの周辺の強化、福田さんや町村さんの協力や助言のもとに同省の改革を進める時期に来ていると思う。
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