私のところに某火災保険会社から通知が来た。
地震保険の改定の通知だ。
その中で地域ごとのと家屋の構造による地震保険料の一覧表が付いていた。
それには近時の地震研究による全社一律の改定ですと注記がしてあった。
その保険料の高いものから並べると、
東京、神奈川、静岡 1,690円~3,130円
千葉、愛知、三重、和歌山 1,690円~3,060円
埼玉、大阪 1,050円~1,880円
長野、岐阜、滋賀、京都、兵庫、奈良 650円~1,270円
茨城、山梨、愛媛 910円~1,880円
徳島、高知 910円~2,150円
で最低の 500円~1,000円
は岩手、秋田、山形、福島、富山、石川、栃木、群馬、福井、鳥取、島根、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島
が占めている。
この数字から読み取れるのは
・日本の主な工業の中心地帯では福岡県を除いては、東京、神奈川、千葉、愛知、三重、大阪、兵庫とも全て地震の保険料が高いこと、
・日本の行政、金融の中心地である東京、大阪でもトップ・スリーに入っていること、
・首都圏や京阪神の人口は日本の総人口の20%近くを占める人口の密集地だ。
・この保険料の算定は損害保険会社の存続に関わる問題なので、地震の発生頻度や規模の推定には相当に高い精度を持っていること、
などだ。
我々の記憶にある範囲では、地震により兵庫は壊滅的な打撃を受けたが、福井、福岡では老朽化した家屋の倒壊以外は他は僅かな損害で済んだ。
私の住む福岡県で言えば、損害は玄海島での家屋の倒壊の他に福岡市のビルのガラスの破損程度で済み、工場が集積している北九州地域では殆ど被害がなかった。
この事実は損害保険会社の地震発生の予測の精度が可なりのものだという実証になると思う。
(なお私事だが、私が地震保険に入ったのは火災保険にそれがくっついていることと、地震保険の保障範囲に風水害の項目が入っているからだ。何故なら今は異常気象の影響からか台風が殆ど逸れるが、昔は福岡県は台風の進路として有名だったからだ。)
今地域格差の是正のために、法人税の見直しや「ふるさと納税」の話しが出ている。
これは東京、愛知、大阪などの余裕のある財源を他の地域に廻そうと言うものだ。
然し当該地域の知事の反対やその額が兆にも満たない僅かな数字でその効果は知れたものだ。(貧乏人の癖に偉そうに言うな。)
それよりも地震の危険分散のためにも、もっと基本的な工場や行政や金融機能の分散も考えるべきだと思う。
戦前派が見たおかしなこと でも書いたが、
このような偏った工業地帯や人口密集地のレイアウトは日本に取って最善だろうか。
そうかと言って家具の配置のように直ぐレイアウトの変更ない。
然し、長期計画で今後の工業地帯の全国的な拡散は地方の活性化の見地からも考えるべきだと思う。
大型の製品などの生産は運送費のことも考え無ければならないが、軽量、小さいサイズの製品の製造やIT関連のサービス産業は地方に展開しても余り支障がないような気がする。
また昨日書いたように、小麦価格の上昇こそビジネス・チャンスだと捉えて、民間企業が農村で新たな展開を図っても無駄には終わらないと思うし、政府もそれをもっと積極的かに支援するのが地域活性化の近道と思う。
地方の活性化のための「ふるさと納税」より地方への立地する企業への減税の方が遥かに生産的で然も持続性があると思う。
その点から言えば、政府は政府機関の地方分散は率先して推進すべきだと思う。
関東、東海、阪神などの地震災害の復興などより工場や官庁の拡散配置の方が遥かに、経費がかからず然もより効果が大きいと思うのだが。
開発途上国の明らかな特徴は首都圏への人口の集中で、先進国ではこれが可なり分散化していると聞く。
その例外が日本で、途上国なみに首都圏に1千万を越える人が住んでいるそうだ。
その首都圏に地震が発生すれば、先の阪神の地震どころの騒ぎ所では無くなる。
それに増して政府機能が全く停止してしまうがそれへの対案は持っているのだろうか。
日本は狭い国だ。
だから都市機能や工場の分散は他の広大な土地を持つ国に比べれば遥かに容易で、その分散による機能の低下は知れたものだ。
地震学者は大きな地震は半世紀中に起こる確率が高いと言っている。
北朝鮮の核開発問題で、もしテボドンが東京に命中したらどうなると言う話が良く出るが、私はその確率より地震の来る確率の方が高いと思う。
首都圏にいつかは地震が来ると判っているのに、何も手を着けようとしない政府。
政府も政党も地震学者が言っているが、今に金がないのでそれどころではないと思っているのだろう。
そして、多分そんなことはないだろうとぼんやり思っている(希望的観測)のだろうか。
それともその時は自分はとうに引退しているからいいわと思っているのかな。
参照:
カテゴリー → 地方分権と再生
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