普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

民主党と八つ場ダム問題

2009-09-09 10:57:46 | 民主党

 政権を握った民主党の意向を受けて、国土交通省が今月3日、本体工事の入札を延期した群馬県長野原町の八ッ場(やんば)ダム問題が一気に浮上してきました。
参照:八ッ場ダム建設問題
 
       「建設反対」ゼロ? 八ツ場ダムで試される民主の「実行力」

[八つ場ダム建設停止の影響]
 報道によると次のような問題があるようです。
・地元の温泉旅館組合組合長:「中止となれば、地元住民は途方に暮れ、観光再建計画でも、再度ゼロからの再考を余儀なくされ、ダメージは計り知れない」などとする声明文を発表。
 利水・治水のため建設事業費を負担してきた利根川流域の1都5県では、慎重論が相次いだ
・石原都知事:「国の意思で(工事が)中止になったら当然、(負担金を)返還請求する」、「いつ、どんな干ばつにさらされるか分からない」、「あそこまで造ったものを放棄するっていうのはちょっと私には考えられない。政府として冷静に判断してもらいたい」と話した。都はダム建設事業の負担金として、08年度までに457億円を支出している。
・福田栃木県知事:「栃木県は治水だけだが、利水・治水両方を求めている県もあり、流域県の意向を確認したうえで、工事推進の是非について判断していくべきだ」と発言。
・上田埼玉県知事は:「1都5県が共同で(民主に対して)何らかの アクションを起こさざるをえない」。
・森田千葉県知事:「中止と決まったわけではない。地元の人たちの話、関係都県の意見も十分聞いてくださると信じている」と話す。
・八ツ場ダムの地元、高山長野原町長や茂木東吾妻町長らも民主党に対して建設中止の撤回を要請。
・八ッ場ダムは利水・治水・発電の多目的ダム。総事業費4600億円のうち08年度末までに7割の3210億円が執行済み。本体工事に備えた仮排水トンネルが完成、付け替え道路や鉄道の整備が進む。家屋移転が必要な470世帯のうち357世帯が代替地などへ移転した。

事業継続よりも費用増の可能性
 執行済み分のうち、治水面で1都5県が525億円、利水面で1都4県と流域市町村が1460億円を負担。自治体の撤退以外の理由で事業が中止になった場合、利水費は特定多目的ダム法で建設負担金を全額返還するとの規定がある。だが、治水費には規定がなく、返還をめぐって混乱する可能性がある。
 さらに、事業を継続して完成までに必要となる費用に比べ、中止した場合に自治体への返還を迫られる金額の方が上回り、総事業費が膨らんでしまう可能性もある。 
  (今日の読売も同じことを書いていました。)
  (なお建設停止後も続行される生活関連再生事業費や、工事停止で直接の被害を受ける地もと住民への生活保障費支払いの費用もかさむのでしょう。)
・八ッ場ダム建設をめぐり、6都県の住民が各知事を相手取り建設事業費の支出差し止めを求め、計6件の訴訟を起こしている。このうち、東京、前橋、水戸の3地裁で原告側が敗訴し東京高裁に控訴した。残る3件は地裁で係争中。
  これに対して民主党の対応について、
・埼玉県の上田知事の「見直し要請」に、民主党はネクストキャビネット国交相の長浜博行氏は「国費支出については、今後の事業費再増額の要因はいくつもあるので、広い視点から見たとき無駄な公費の支出をなくすために、一刻も早く中止すべきと考える」と、理解を求めた。
・ また、「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法(仮称)」をつくり、ダム建設を中止した場合の生活再建・地域振興を進めるとしている。
・ダム建設を中止するには国が関係自治体に意見聴取する必要があるが、ダムの受益地にあたる1都5県も、地元自治体も「建設反対」の声はほとんど聞かれず、中止の同意を得るのは簡単ではなさそうだ。

[私の意見]
  この問題に就いては、中止の問題点に絞って書きましたが、建設当初から今まで反対をし続けたグループもおり、建設続行か停止の何れが正しいか私には判りません。
 唯はっきりしているのは、
  民主党が八つ場ダムと同じ扱いをしている熊本県の川辺川ダムは、
・その影響は熊本県に限られている
・地もとの蒲島熊本県知事、福島八代市長が反対している
のと違って、影響が1都5県に及ぶこと、八つ場ダムに関係する地方自治体の首長が殆ど全てが反対していることです。
  これに対して昨夜某テレビに出た民主党関係者は、今回の関係都府県の圧勝は民主党の八つ場ダムの建設停止の賛成の意志を示したもの、また政権を預けた民主党の意志は国民の意志だからこれにしたがって貰わねばならぬと言っていました。
  本当は誰でも知っているように、民主党に投票した人達の最大の期待は唯一つ「政権交代をしてくれ」と知っているのに、このような苦しい言い訳をしなければならない、彼のこわばった顔が印象的でした。
  彼も言っていましたが、公共工事削減の象徴的な八つ場ダムの建設停止は民主党に取っては絶対に避けられない ことです。
  しかも、民主党の意向を受けた、国土交通省の本体工事の入札を延期をいつまでも放って置く訳には行かず、政権発足の最初に取り組まなければならない問題で、 
 そのつまずきの今後の政権運営に大きな影響を受けるのでしょう。
  関係の地方自治体の首長を如何に説得出来るか?
  民主党の圧勝は八つ場ダム反対の民意を代表したもの?だとして強引に押し切れるか?
 建設停止の方が続行より金額的に有利だと証明できるか?
 それとも工事停止のまま解決を先のばしできるか?
 その間に近頃の異常気象で局地的な豪雨や干ばつが発生したら?
 などなど心配性の私からみれば疑問だらけです。
 この問題も私が6日の「鳩山政権の抱える不安材料」に書いたように、選挙目当ての受けのよい公共工事削減の対象として、余りよく考えもせず八つ場ダムの建設停止をマニフェストに入れたのでなければ良いのですが。
 自分で撒いた種は自分で刈るしか他にありません。
 何れにしてもなんども書きますが、この問題の処理も鳩山さんの政治力にかかっていると思いますが。

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