普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

鳩山政権とマスコミの役割

2009-09-20 11:55:14 | 鳩山内閣

[マスコミ特にテレビの報道姿勢とその影響の大きさ]
・小泉政権時代
  自民党をぶっ壊す発言、郵政改革反対者追放、刺客派遣などの小泉さんの作戦に乗せられて、選挙の真っ最中まで自民党に偏った報道、郵政選挙で小泉さん大勝。 (その後の小泉政権時代の報道については後記)
・安部政権時代
  政治と金の問題の追求、小沢さんの地方の疲弊を突いた戦略に加えて、参院選中の赤城さんの「絆創膏」報道で安部さんの大敗。
 安部さんの突然の辞任問題の追求、その原因となったねじれ国会を利用した小沢さんの党利党略による国会運営については殆ど触れず。
・福田・麻生政権時代
  安部・福田・麻生の三人とも国民の信任を受けていない批判(正確には議会制民主主義の日本では、国民は選挙で自民党を信任しているので、小泉さんの任期期間中に誰が首相になっても違法ではない)、徹底的なネガティブ・キャンペーン、それに加えて麻生さんの失言、発言のブレ、中川昭一さんの朦朧会見がマスコミの鴨になる。
・麻生さんの国会解散
 今まで殆ど批判の対象にならなかった、民主党のマニフェストに焦点があたり、それに対する批判とまで行かないが政策に対する「突っ込み」が入り、今までの報道だけては判らなかったことが見えてきた。
 一例を挙げれば、公務員経費2割削減の公約は、実は地方分権に伴う業務が地方に移管されるのに伴う公務員を地方に移動、その費用は補助金で当てることで、政府の公務員経費は削減にはなるが、国全体としては何の削減にもならないことがテレ朝の「報道ステーション」で判明。 (私はこの選挙前の報道姿勢はもの足らないこともありましたが、評価して良いと思います。)
・麻生さん大敗
 解散前までのマスコミのネガティブ・キャンペーン、麻生さんの公務員制度へ腰が引けた態度と、選挙直前の自民党内の混乱、同制度に取り組む民主党の政策が受けて民主党大勝。
(それと誰の責任でもありませんが米国発の大不況も重なりました。)

[鳩山政権誕生以後のマスコミ、特にテレビの報道姿勢]
 鳩山政権の政策に関しては、新聞ではその問題点を指摘しているが、テレビに関しては、大臣などを登場させてその意見を紹介するだけ、それに対する批判も突っ込みも全くなし。
 政権誕生のお祝い気分かも知れませんが、私の意見では(多少の問題があっても)歓迎できる民主党の政策は公務員制度改革とその他のいくらかの政策だけで、その他は昨日も書きましたが、八ツ場ダム建設中止など問題含みのものばかりです。
 テレビもマスコミとしてのプライドと見識を持っているのなら、諸大臣の発言をそのまま報道せずに、識者にそれに就いてのコメントをさせるべきだと思うのですが。

[マスコミ、特にテレビの役割]
 それに就いて昨日のNHKの放送で面白いことがありました。
 朝の「経済ワイドビジョン」で経済産業省の直嶋大臣が出演して、温室効果ガス25%削減の中期目標についての紹介がありました。
 その時ゲストのワタミ会長の渡邉 美樹さんが、「自社でも温室効果ガス削減に協力する目的で全店の照明をLEDに変えるなど全社をあげて環境対策をしたが、その費用は数億かかる。その負担は企業にとって非常に大きなものになる。鳩山さんは海外で25%削減など言う前に国民の前で、充分に説明するのが先決だ」と批判的な発言をしました。
 それに対して直嶋さんは、「25%削減すると言うのは、各国がその方針に賛同して呉れるのが前提で、もしそれがなければ日本だけが25%も削減する訳でない」と答えていました。
 その夜、同じNHKの「追跡!A to Z」で国土交通大臣の前原さん、行政刷新担当大臣の仙谷さんに加えて、環境大臣の小沢鋭仁さんが出席していましたが、他のテレビと同様に唯質問するだけの放送でしたので、同じ温室効果ガス25%削減目標については民主党の公式見解の奇麗事の説明で終わりました。
 この二つの報道の中でどちらが評価されるべきかは明らかです。
 経済界の多くの人達は25%の削減目標に危機感を抱いて反対を表明しています。
 然し、直嶋さんの説明によれば米国や中国などの主要排出国など全ての国が賛同しなければ、日本も25%の削減はしないと言っています。
 今までの報道によれば、鳩山政権の主張に対して、米国はあるいは賛成するかも知れませんが、中国を始めとする、開発に遅れた国が賛成する確率はほぼ0%と言って良いでしょう。
 詰まり反民主の立場の人から言えば民主党は実現不可能な奇麗事を公約でぶち挙げただけだと言うことになります。
 私は直嶋さんの考えは真っ当だし、鳩山さんの意見が世界に通らなくても、国内向けには麻生さんの約束の8%より多めの数字目標に落として環境対策を進めるし、またそうで無いと引っ込みがつかないとおもいますが。

[マスコミ、特にテレビは批判精神を忘れるないこと]
 私のひが眼かも知れませんが、マスコミ特にテレビは(自分たちがそれに大きな影響を与えた)内閣の支持率に弱いようです。
 今、鳩山内閣の支持率は75%近くあるそうです。
 そうかと言って何でもかでも無批判にその政策を報道して良いのでしょうか。
 同じく高い支持率を誇った小泉さんはつぎのようなキャッチフレーズでマスコミの人気をあつめました。
・米百俵精神:困窮状態に得た米百表をそのまま使わずに将来のため教育費に使った事→実際は財政改革のために教育費の削減
・三位一体:(1)国庫補助負担金の廃止・縮減、(2)税財源の移譲、(3)地方交付税の一体的な見直しだが、実際は財政改革で補助金削減、税源の移譲なし?→地方の疲弊
・三方一両損:現実は保険料引上げなど国民の負担が増え、健保組合、医療機関は負担派殆どなしまたは逆に負担減
 その他も多くの問題がありましたが、この僅かな例をあげても、マスコミの追求姿勢は支持率の低い安部~麻生政権への追及姿勢に比べれば遥かに弱かったような気がします。
 そして小泉改革の影が国民生活に大きな影を落としそれが自民党大敗の大きな要因となっています。
 マスコミ特にテレビはその前に書いたような政局へ及ぼす力の大きさ、小泉政権時代のマスコミの対応の反省をして、大きな支持率を持つ民主党政権にたいしても批判姿勢を忘れたら、また今までのような難しい時代の再現となるような気がします。
 当面の民主党の政策の紹介のときは、必ず野党となった自民党員か民主党と距離を置いた識者を同席させて、 (偶然にも?NHKが民主党の温室効果ガス25%削減の本音を引き出したように)鳩山政権の公約や本人の主張の本音や問題点を引き出して見せることが、日本のためだけでなく民主党の為になることだと思います。

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