今までのように政治の農業問題先送りでは日本沈没??
仮想敵国”は韓国 TPPで一気追撃促す産業界では概略次のように報じています。
・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり賛否両論が渦巻いている。
・2国の自由貿易協定(FTA)などので韓国から電子機器輸出に遅れをとり、更にEUとのFTA締結で自動車でも遅れを取る可能性が出てきた。
・日本の産業界はTPPで遅れを一気に取り戻したいとしているが、韓国のTPP参加は時間の問題とされている。
・それに対して農業関係者から反対論が相次いでいる。
・アジア通貨危機で窮地に陥った韓国は政府主導の経済立て直しを推進。これに対し、日本は「国を開く」ことができるのか。
この報道を見てFTA、PTT推進の一番の障害となる農業問題に就いて韓国はどのように処理しているのか、ネットで調べた所、「大西良雄ニュースの背後を読む」の「TPPというバスに乗り遅れ、韓国に負ける?」 と言う記事を見つけました。
非常に的を得た意見と思いますので、是非最後までご覧下さい。
「1.5%の第一次産業のために98.5%のかなりの部分が犠牲に」
日本のFTA比率は、すでに韓国より大きく劣っています。将来もその差が広がりそうです。なぜ日本のFTA比率が高まらないのか。その理由は、ひとえに日本の農業問題の深刻さと農業保護を叫ぶ政治家にあります。
TPPの交渉役をまかされた前原誠司外相は、そのことを見事な表現で言い当てています。「第1次産業のGDPに占める割合は1.5%に過ぎない。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」と。
正確に言いますと、農林水産業の総生産は5兆6295億円で08年度のGDP494兆円の1.14%です。前原氏の数字よりさらに小さくなります。この1.14%に足をすくわれ、日本は自由貿易の輪の中に入れず、産業の競争力をどんどん劣化させているのです。
農水産業が自由貿易交渉の阻害要因になるのは韓国も同様でした。しかし、韓国には「自由貿易で生きる」という政府の決断、政治家のリーダーシップがありました。韓国企業は1997年のアジア通貨危機の後、大胆な経済構造と経営改革に踏み切り今日の競争力基盤を築きました。韓国政府はこれに歩調を合わせて輸出立国へ大きく舵を切ったのです。その武器がFTAでした。
そして韓国はFTA締結を進めるために、国内農業に対する体系的な構造改善策を採用しました。FTA締結に備え農業・農村総合対策として総額119兆ウォンにのぼる中長期の投融資計画を打ち出ししたのです。国内農業に大きな影響が予想される韓米FTAの締結に際しては総額20.4兆ウォン(当時100ウォン=12円)の投融資計画(2008年~2017年)を追加しました。
「小沢・鳩山連合の妨害で日本の産業も日本の農業も共倒れの危機に」
誤解がないように述べておきますが、韓国の農業・農村対策は、日本の民主党が実行している小規模な兼業農家、日曜農家にも小遣いをばら撒くような選挙目当ての戸別所得保障制度とは大いに異なります。
2007年に韓国政府が発表した「韓米FTAに対する農業部門への支援策」によりますと、
「農業人のうち、趣味で農業を営むものや農業以外の所得が高い兼業農家は農業政策支援の対象から除外する」
「農業を主業とする農家と農業法人を韓国農業の中枢として育成していく」
「高齢農業人の経営移譲を誘導する政策を拡大し、農地など生産要素が専業農業者に集中できる環境を整えていく」
とうたっています。
韓国の農業対策の主眼は、専業農業者の育成や規模の拡大による農業生産性の引き上げ、ひいては農産物の輸出競争力の引き上げにあることは明白です。韓米FTA締結で追加された投融資支援20.4兆ウォンのうち94%に当たる19.2兆ウォンは競争力強化に当てられます。
日本は韓国に倣って、日本経済の衰退を招かないために「98.5%」の産業のためにFTA締結を推し進め、その犠牲になるとされる「1.5%」の第一次産業のための抜本策を採用すべき時に来ているというほかありません。
財源はあります。現在でも、上述した5.6兆円の農林水産業の総生産を維持するために国と地方自治体あわせて毎年3.9兆円もの農業予算が投じられているのです。農家への戸別所得保障を含むこの農業予算のすべてを抜本的に組み替え、FTA締結に備える農業対策費用に回せばよいのです。
そうしなければ今後も農業後継者は現れません。現在65.8歳に達する農業就業者の平均年齢は10年後には75歳になり、日本の農業は崩壊しかねません。小沢・鳩山連合の言うまま、TPPというバスに乗り遅れ、後継者が出てこない農業を現状のまま放置すれば、日本産業も日本農業も共倒れになってしまうでしょうね。とても残念ですが......。
[私の意見]
私は大西さんの意見に賛成なので重要と思われる部分にアンダーラインを引いた以外特記することはありませんが、表題のように政治と農業問題に就いて書いて見たいと思います。
日本の政治の大きな特徴の一つは少子化の様にややこしいこと、800兆を越す国債のように票にならぬことは先送りする一方、票になることは一生懸命にすることです。
正に農業問題がそうでした。
自民党政権は生産力の乏しいコメに778%もの輸入関税が示すように、農業に徹底した保護政策を取りました。
これで農業団体からの票の獲得の役にたちましたが、消費者は米国などに対して遥かに高い米を食べさせられているのですが、消費者の農業従事者に対する同情もあり、これが消費者の票の減少には余り繋がりませんでした。
それで起きたのは農業団体の政府依存体質と圧力団体化です。 (例えば農協で農業技術研究機関を持っているなど聞いたことがありません。)
最近になって自民党政府もやっと農業の生産性向上策を取り始めましたが、幸か不幸か、民主党に政権を奪われ、農家の戸別所得保障制度という、大規模農業に逆行する政策を進めています。
もう一つ日本にとって不幸なことは、大きな経済環境の変動な当たって、攻撃的な経済政策で対応しなければならないときに、韓国は人権派弁護士だった盧武鉉さんから実業家出身(現代グループ)の李明博さんと大統領が変わったのに、日本では実業家出身の麻生さんから、博愛の鳩山さん、社会運動家の菅さん、権力闘争のためには手段を選ばない小沢さんの率いる民主党政権になったことです。
大西さんは「農家への戸別所得保障を含むこの農業予算のすべてを抜本的に組み替え、FTA締結に備える農業対策費用に回せばよい」と言っていますが、農家の戸別所得保障は民主党の目玉政策で、それを引っ込める可能性は少なそうですし、TPPに反対する鳩山・小沢グループは党内の半数を占めています。
そして最大野党の自民党内にも農林族などがTPP反対に廻っています。
テレビでは経済の専門家が、日本企業は中国どころかFTAでEUへの関税ゼロの韓国へ工場を持って行くか知れないと言っています。
私が最初に書いた様に、面倒なこと票にならぬことを今までのように先送りすれば、日本沈没まで行かずとも浸水位になりそうです。
菅さんや谷垣さんのリーダーシップを期待したいのですが、果たしてどうなるのでしょう。
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参照:TPPへの参加促進を-政府は農業を含む大胆な構造改革を推進せよ-