普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

頭脳流出で日本企業は中国に勝てるのか

2010-11-14 16:04:59 | 経済・財政

  昨夜のNHKで「追跡!A to Z「日本の“頭脳”はどこへ行く」言う次のような内容のショッキングな放送がありました。
 家電メーカーをリストラされた日本の技術者が、中国企業に転職し、「メード・イン・チャイナの家電製品」を作り始めている。中国最大の電機メーカーが2010年末に販売する洗濯乾燥機には、複数の日本人技術者が、かかわったという。番組では、中国企業に再就職しようとしている技術者に密着。中国企業の最終面接まで進んだ技術者に、突きつけられた課題とは? 日本の技術流出の舞台裏と、中国企業のしたたかな戦略に迫る。 (番組解説より)
・最近のリストラで派遣社員だけでなく開発担当の技術者まで早期退職を迫られ中国に職を求めている、中には液晶パネルでサムスンに負けた日本企業が同事業から撤退、同部門の開発担当責任者も早期退職させられたこと(wikipediaによるとサムスン電子
は日本から基本的を導入、バルブ崩壊後77人の日本人が技術顧問で在籍するなど日本人が育てたようなものですが、そのために日本人がリストラされ中国への技術流出に関わるとは!!開発担当と言う優秀な技術者はどこでも使い道がある筈と思うのですが。何で手放したのでしょう。)
・日本で学んだ後中国に戻って人材開発会社を始めた中国人の話によると、現在は大学を出て博士号を持つ人、大学を出て開発部門に最近10年間担当した人でないと、日本人の中国企業への進出が難しくなっている(詰まり底辺の技術はすでに日本から吸収してしまっていると言うのです。)
・中国企業の最終面接まで進んだ技術者に中国から、彼の今までの成果に就いてのレポートの提出を要求された。
 彼は就職できないとき、レポートの提出で彼の技術の殆ど盗まれるのではないかと心配している。 (話の具合では彼は管理関係の技術者かもしれませんが、それにしても子どもさんがまだ幼い、それこそバリバリの働き盛りの技術者のようで、馘にした出身会社の心配までしているのに何でリストラしたのでしょう。)
・中国に渡った技術者の次の趣旨の意見
 番組企画担当の鎌田靖さんの出身企業に対して後ろめたいことはないかの質問に、「全くそう言うことは考えてない、むしろ部下の中国人の育成に生き甲斐を感じている」
 「日本は人的資源と技術しかしかないと言われているのに、こんなに頭脳の流出が続いていいのか、終身雇用はどうのたのか。」
 「このような状態が続けば日本はどうなるのか」 (彼は無情にも彼を切った出身会社に反発を感じながらも、日本の行く末を心配するなど、複雑な感情を持っているようです。)
[頭脳流出の原因]
 私はこの頭脳流出の問題の根本には経営者が、
・経営の理念や基本知識やその戦略がないこと
・時流に乗りやすい付和雷同的な日本人に有り勝ちな経営者が多い
ことにあると思っています。
付和雷同型の経営と頭脳流出
・米国から持ち込まれた品質管理の考え方をQCサークル、自主管理、改善活動に変化させたものが全国の企業に広まった。 (これは終身雇用、企業への忠誠心、チームワークと言う日本古来の考え方に合っていたのと、周辺国の立ち遅れもあり大成功し、当時は政治がなにもしなかったのが日本企業の成功の原因と言われました。)
・日本のバブルで経営者の一部は不動産投資や投機に走ったが、これに警告を発したのは(私の知る限りでは)当時の日経連の鈴木会長だけ、当然のように崩壊。
・中国の台頭→日本企業の競争力の低下→非正規従業員の採用範囲の緩和で我も我もと、この彼らの採用と言う手っとり早いが社会格差など大きな影響を与える彼らを採用。
・小泉さんの米国追随の規制緩和の趨勢に乗って、成果主義や終身雇用制の廃止など日本の国民性に合わぬ考え方の導入し、一時は日本発展の原動力になっていた企業への忠誠心、チームワークなどの日本企業らしさが無くなってしまった。
・米国での住宅バブル崩壊で日本の金融機関は被害を最小限に押さえたのに、多くの製造業はその対策に乗り遅れ多くの被害を被った。
・それで米国方式の大量のリストラを行った。 (当時は非正規社員ばかり取り上げられていましたので、とうの昔に現役を去っている私は、企業の基幹となる高度の技術者まで切ると言う馬鹿げたことをするなど思いもよりませんでした。)
・そしてその人達が韓国・中国等に渡って日本得意の技術やノウハウを伝え、それがまた日本企業の首を締めている。 (その他にも金型の下請けに設計図を提出させ、それを中国の現地業者に提供するなど企業倫理など全くない論外の企業もありました。)
[日本として考えねばならぬこと]
 もう一つの問題は、企業と言うより日本として考えねばならぬのは、多分今後とも絶対に避けられないグローバル化の世界の中で、日本企業の活動の成果を如何にして日本国民の利益に反映させるかと言う問題です。 (逆のケースですが米国バブル崩壊後の非正規社員の大量解雇で、企業が日本社会に大きな影響を与えたのに、リストラされた人達の援護処置を全て社会や政府に任せてしまいました。)
 一昔は企業活動で社会に貢献するという社是をどこの企業でもあったと思いますが、今改めて日本企業の経営者の倫理観を如何にするかと言う問題になります。
 私は出来れば経団連などが現在または将来の経営者に必要な知識、スキル、倫理感、そして技術流出の与える影響と対策などを再教育する機関か、大学の学部を設置すへきだと思うのですが。
 それともう一つは日本企業の性格から考えて、全くの規制緩和し後は全て企業での自己責任など任せるよりも、政治、財界、学会などの協力、相互補完、このエントリーに関して言えば技術向上と防衛の問題など「日本株式会社」化をしなければ、「中国株式会社」や「韓国株式会社」には勝てないような気がします。
  日本と同程度またやや低いレベルだが低賃金の中国企業と、日本企業では苦戦を強いられるのは当然です。そしてまたリストラされた技術者が中国に渡る悪循環が繰り返されるかも知れないのです。

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