普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

TPPと農業再生の道

2010-11-30 15:15:33 | 農村問題

 今日の読売新聞は次の様な社説を出し、紙面の1・3面の大きなスペースを割いて上記の問題を取り上げています。
農業開国 攻めの農政へ体質転換を急げ 
 環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題をきっかけに、農政の抜本改革が菅内閣の大きな課題に浮上している。
 農業団体などは「参加すれば、農業は壊滅する」と危機感をあおっているが、TPPを云々する以前に、日本の農業が衰退の一途をたどりつつあるのは明らかだ。
 日本の農業は長い間、巨額の補助金や高関税という内外の手厚い保護によって守られ、すっかり足腰が弱くなってしまった。
 政府は、その現実を直視し、今こそ生産性が高く国際競争力を持つ農業に生まれ変われるよう政策転換すべきだ。それがTPP参加の前提条件となろう。
 国内農業は危機的状況にある。農業総産出額は8兆円あまりで、ピーク時より3割減少した。農業人口は20年間で半減し、平均年齢は66歳に達した。耕作放棄地も増大する一方だ。 
(東大大学院教授の生源寺さんは「今の様に昭和一桁の人で支えられ、後継者がいない日本の農業はここ10年の内に思いがけない形で急激に崩壊する可能性がある。」と言っているそうです。)

読売が提案する対策
・まず意欲のある農家がビジネスとして成り立つ農業を展開できる環境を整えること
(自民党政権が進めていた)農地を集約して大規模化を進め、生産コストを下げる。
・資材購入や販路拡大を容易にする流通改革で、農家と消費者の結びつきを強める。 (道の駅などに象徴される農家の直接販売、農家から消費者への通信販売など)
・高品質を武器に輸出を目指す。
・こうした対策に伴う財政負担は、農業構造改革につながる事業に対象を限定する。
・コメ農家を対象に始まった戸別所得補償制度は、農業以外に安定した収入がある6割の兼業農家でなく、中核的な専業農家に支援を絞り込む。 (乏しい財源の中から安定収入のある兼業農家まで保障する余裕は無いはずです。)
 農業が課題に上がるたび、選挙を意識した族議員や農業団体が政策をねじ曲げ、改革を阻んできた。政治が重視すべきは「水田」であり、「票田」ではない。

[私の意見]
農業問題
・コメ中心の補助政策は耕作放棄地を増大させ、日本古来の二毛作で米と麦を作る田んぼがすっかり減ってしまいました。
 普通の製造業で言えば貴重な生産資源である田んぼを遊ばせるなど考えられないことです。
 生産資源と言えば高価な農業機械を年に数日しか使われていません。日本は東西に長い国ですから、リース制度などで全国レベルでの有効活用ができる筈です。
・自民党政権は農地法を改正して法人の参入をしやすくしましたが、なお50%の出資制限が大規模化と生産性向上の足を引っ張っているようです。
農業団体の責任
・農地法の基本は異業種の法人の撤退による農地の減少を防ぐ狙いもあったそうですが、ここで直ぐ浮かぶのは農家と長い間の結びつきがある農協などの農業団体です。
 今回のTPP反対運動の中心は農業団体ですが、彼らが農業の生産性や技術向上に、どれだけ貢献してきたか、また貢献できるかに就いては全く議論されていません。
 マスコミに彼らの名前が出るときは、今回の反対のように圧力団体としての活躍だけです。
 もし彼らがその総力を上げて製造業の様に生産性や技術の向上に努めたら、農業問題の可なりの範囲が解決に向かうような気がするのですが。
 農協が株式会社化して、農業技術の向上を国や地方自治体だけに頼るだけでなくて、自分たちが現地の即した技術の研究機関をつくり、私が書いたような農業機械の全国レベルの使い廻しをしたり、大手のスーパーと互角に値段の交渉にあたったり、農協が全国レベルでの産直方式の販売をするなど、もし法の規制があればそれを改正して貰うなど、やろうとすれば出来る筈です。
 それが出来ないのは農協の古い体質と、圧力団体をその使命の考えから抜け出せないためです。
自民党・民主党の責任
 今の農業を弱体化させたのは自民党政権による数々の保護政策です。
 最近でこそその体質強化にも力を入れ始めたようですが、自民党はその責任を逃げることなく背負って、農業の体質改善に努めるべきです。
 民主党政権は読売新聞の指摘をするようにとりあえずは農家の所得保障制度の適用範囲から一定の収入がある兼業農家への保障を止めるべきだと思います。
 しかし子ども手当てのように所得無視して一律に給付すると言う、どう言う思想に立っているか知りませんが、馬鹿なことを先ず止めるべきで、とりあえずは自民党政権の農業の生産性向上政策を追随しより良い物にするべきだと思います。
TPP反対者の責任
 TPPを反対するのなら自分たちは日本と農業の将来をどのようしようとしているか対案を出すべきです。
 TPPが無くても読売が指摘し、学者が指摘するように農村はこのままでは衰退と消滅の危機に曝されています。
 そしてこれからの討議には、反対者から対案が出ないときは、賛成者も司会者もその対案を出すことを要求すべきです。
 私は反対者からの建設的な提案と賛成者が考える改革案は十分に討議、妥協の余地があるような気がします。
政治家の責任
 これは農業に限ったことではありませんが次のように面倒で票にならぬことは先送りしてきました。
・公務員制度改革:民間企業ではその競争力強化のため戦後50年の間に営々として合理化を進めて来たのに、公務員制度に就いては殆ど進展がありません。その間コンピューター、コピー機械の進歩と言う物凄い省力機械が取り入れられたのに。。
・その他国会の定数削減、憲法改正と安全保障の見直し、途上国並みの膨大な国
政治家は長期的な視野で日本の在り方を考え、面倒なことを先送りせずに、一歩一歩着実かつ前向きな政治をして貰いたいものです。
・今回の農業問題も過去の反省を含めてもっと前向きな議論をし、そしてその結果の実行をして貰わねば日本の将来はないと思います。
参照:カテゴリー→農村問題

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